コラム

 公開日: 2018-03-30 

貴方には幽霊口座、ありませんか?

【今日のポイント】

 タイトルは「幽霊口座」としましたが、最近は「休眠預金」というようです。 下手をすれば開設した当の本人が口座の存在自体を忘れているような場合も無きにしもあらず!  特に私の様な転勤族のサラリーマンの皆さんは覚えがあるのではないでしょうか?

 今日は最終的には相続問題にも関係してくる「忘れられた口座」について紹介していきたいと思います。



【自身の体験から】

 私が以前勤めていた会社は全国に営業網を持っていたため、東京から名古屋、博多から千葉などのように全くの別天地への赴任が当たり前の世界でした。

 まだ20代、30代の頃は都銀(今や死語?~今でいうメガバンクです)の拠点網がその地方によってバラつきがあり、ATMの数も少なく、稼働時間も成約が多かった時代でした。 おまけに仕事は定時で終われるようなものではない為、引き出しに苦労することが多かったのです。 そうなると自然と拠点数が多く使い勝手がいい「地方銀行」に新たに口座を開設してしまうのです。

 地方に異動しても2,3年でまた転勤でしたから、もしかしたらまた便利な土地に異動になるかもと、当初の都銀の口座はキープしたままにしていました。
 
 そのうち、会社の方針で2つの口座に給与振り込みが可能になりました。 単身赴任家庭用に自分の生活口座と家族の為の口座を設けたのです。 独身者にも平等にこの制度が適用されたので、この時に、全国区であるゆうちょに新たに口座を開設しました。 その後も異動を重ねたため、一時期には最大5行の金融機関に口座を持った状態になったのです。

 自業自得ですが、妻帯していれば、このような手続きは家人に任せておけばいいのですが、おひとり様の私は全て自身で始末をつけなくてはいけません、結局異動前に時間が取れずに解約しないままに放置した口座が生じたのです。

 

【旧口座はどこにある?】

 さて、いろいろ異動を重ね、ようやく東京に戻った時に気付いたのが「学生時代から使っていた最初の都銀の口座」が行方不明になっていました。 今に続く銀行間の合併や支店や拠点の統廃合によって私の持っている通帳の銀行名も支店名もこの世から失くなっていたのです!!

 支店のあった建物自体が何のゆかりも無い商業施設と化しており、まずは統廃合の歴史を遡って今の名称を確認、その代表番号に問い合わせをして数十年前に存在していた支店を承継する支店を聞き出しました。

 現時点で残金がどのくらいあるのかが一番知りたい事でしたので、電話口で尋ねましたが、当然の如く、拒否されました。
そこで解約の手続きについて確認を取って、窓口に出向くこととなりました。


【手続きに必要な書類等】

 用意したものは、
氏名、現住所、生年月日が記載された公的証明書 = 運転免許証
旧住所から現住所が証明出来る戸籍の附票、住民票の写し等
~私の場合、全国区で転々としていた為、苦労しました。

 実は最も苦労したのが 当時使用した届出印でした。
思い当たる場所に保管した印鑑全てを照合し全て異なることが判明し
結局「届出印の紛失届」なる書類を追加し、
新規に印鑑登録することで漸く必要な準備が整いました。

 苦労した結果は、残高200円前後という惨状で、思い切り赤字の結果となりました…

 この一件の他にも地方で開設していた口座を解約したかどうかが分からず、
手紙のやり取りで必要書類を用意し、調査をした結果、解約済みだったというケースもありました。
ここでも、結果的には高額ではないものの、無駄な出費に終わったのです。


【休眠預金の問題点】

 改めて忘れられた口座の持つデメリットをまとめてみましょう。

 調査の結果、仮に残高があったら、基本は引き出し~口座解約の為に印鑑持参で窓口に出向くことになります、それが難しいのであれば、指定した現在使用中の金融機関の口座に振り込んでもらうことになります。 出向くとなると、場所によっては相応の交通費が発生します。 振込の場合も指定口座への振込手数料がかかりますから私のように微々たる残高の場合は割の合わない赤字清算になる可能性があります。

 この前段階では調査に必要な各種書類の発行の為の手続きと発行手数料も発生しています。 手続きに必要な書類等は各金融機関に規定がありますから、当該の金融機関に事前に確認しておく必要があります。

 また、女性が過去の休眠預金を調査する際には場合によって別途手続きが加わります。 最近は女性と言えど営業職で転勤族というケースは珍しいものではなくなり、出先で結婚し、そのまま定住することも少なくありません。 女性の多くは結婚で姓が変わるので 休眠預金調査の為には旧姓を証明する為にさらに戸籍謄本が必要になってきます。

 このように、手間も時間も費用もかかり、その結果が無駄骨という結末になることが少なくないのです。


 また金融機関にとっても10年以上も稼働実績のない口座は管理負担だけが発生する厄介者になります。 この様な事態を防ぐために、今では10年以上取引が無い1万円以上の残高の口座がある場合、事前に金融機関から通知文書が郵送されるようで、さらに一部の銀行では通知後、年間の管理手数料をその口座残高から引き落とすようにしています。この傾向は他の銀行も波及すると言われています。
 
 こうした事態を受けて、この1月に「休眠預金等活用法」が施行されました。 これは10年以上取引のない休眠預金はNPO法人等を通じて公益活動に回されるというものですが、その後預金者が手続きをすれば利子を含めて引き出しは可能という制度です。


 【相続財産調査のネックに】

 このように、口座開設した本人が行う場合でも繁多な手続きを強いられる休眠預金調査(解約手続き)ですが、これが故人の財産調査の一環となればよりその手続きは煩わしいものとなります。 まずその存在自体を家人が知らなければ調査をすることもなく、当事者自身が未解約の口座を把握していなければ、確実に闇の中です。

 私のように「大山鳴動して200円」であれば、笑い話で済みますが、金額によっては遺産相続のやり直しや争続発生の火種ともなり兼ねません!!

 特に、還暦前後のサラリーマンで転勤の経験が多かった方は、まだ記憶がしっかりしているうちに今一度過去の保有してきた口座の処置について確認してみては如何でしょうか?

 また我々還暦世代の親の代でもサラリーマン経験者は少なくなく、この世代になるとより旧口座の追跡は煩雑になります。 自分たちの足跡を追うと共に、高齢になった親の足跡も今のうちに追うようにして下さい。

 自分たちの相続の為と、自分からの相続を容易なものにするために。

この記事を書いたプロ

寺田淳行政書士事務所 [ホームページ]

行政書士 寺田淳

東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル7F ハローオフィスC-3 [地図]
TEL:03-5157-5027

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