コラム

 公開日: 2018-03-23 

お彼岸の墓参で感じた事

【お彼岸の墓参にて】

 3月21日のお彼岸は東京ではあいにくの天候でしたが、お墓参りに出かけた方も多かったのではないでしょうか?

 私も痛めた膝をかばいつつ、母の眠る菩提寺にお参りに行ってきました。 無論お参りが主目的でしたが、もうひとつ仕事に関連することもあり、バッドコンディションを押して出向いた理由がありました。

 実は菩提寺の近く、さらに付け足せば、菩提寺よりも最寄り駅に近い場所に昨年5,000基の収用能力を持つ「機械式納骨堂」が開業していたのです。 1基とは骨箱の収納場所で通常でも2~3体分は収納できますから実に1万5千人以上の遺骨を納められる一大納骨堂でした。

 最も足を運ぶであろう「お彼岸」の日に、いったいどのくらいの参拝者が来るのか=「納骨堂契約者」がいるのか? これだけの規模で果たして採算は取れるのか? もともとこの界隈は由緒ある寺社が多く残っており、ある意味「お墓の激戦区」の中で、勝算はあるのか? など等、縁も所縁もない納骨堂でしたが気になったのです。 


【急増する都心のお墓】

 お墓と言っても、急増しているのは機械式の納骨堂で、昨年1年間だけでも都心だけで約3万基、今年の開業予定では既に判明しているだけで約2万8千基が開業を予定しているとのことでした。 たった2年で約6万人以上の遺骨の収納スペースが出現します! 機械式だけで、この数字ですから都心の「納骨堂バブル」は今や絶頂期を迎えたのではと考えたくもなります。

 私もお世話になる予定の我が家の納骨堂は、機械式になる以前の形式で、地上には納骨スペースは無く、観音堂に故人を模した木製のミニ立像が安置され、通常はそこでお参りを済ませます、遺骨はその真下に設置され、エレベーターで地下におりますと所謂「コインロッカー式」の収用スペースとなっており、2人用から最大で4人用のサイズの納骨スペースが並んでいます。 ~言い換えれば、さほど広い敷地ではないこじんまりとした納骨堂という事ですが…

 コインロッカー式の地下納骨堂・・・ これだけでも、従来のお墓、墓参りとのギャップを感じたものですが、最近の機械式と比べればまだ、従来の名残を感じさせるものでした。 


 【最近の都市型納骨堂の傾向】

 さて、私も含めた納骨堂利用者(=檀家と言えるかどうか?)が今の場所を決めた理由とは、概ね以下のようなものでした。

・都心であること
・最寄駅から徒歩圏内、出来たら10分以内のこと
・経路上に坂や階段がないこと
・屋内の納骨堂で天候に影響されない場所であること
・バリアフリーでお参り出来ること
・周囲に「魅力的な」繁華街があること

 最後の項目は、より家族が揃って墓参りに行き易くなる理由だそうで、前項で挙げた新たに登場した(予定の)機械式納骨堂は 浅草、赤坂、麻布十番、目黒、上野等の「繁華街」が至近にありました。


 以前にも紹介しましたが「機械式」納骨堂は、一般的にはカードキーを用いて複数設置された金融機関のATMコーナーのような仏壇スペースの場所まで専用スペースに収納されている故人の骨箱がベルトコンベアのように移送され、仏壇の正面真ん中の場所に届けられるという形式です。 基本的に灯明も線香も火を使わない形式の物で代用されています。 安全面からは一理ありますが、未だにあまりの合理性が納得できず、契約を取り止めるケースも少なくないようで、意外に子供世代の方が躊躇するとのことでした。  人間心理は一筋縄ではいかないようですね。


 【供給過多に潜むリスク】

 この様な大規模な機械式納骨堂の開発は当然ですが、寺単独で出来るものではなく、民間業者主導で告知・宣伝を含め建物の建設を請け負い運営を宗教法人で(公益法人の場合も)行うというパターンが一般的ですが、このような急激な施設の増加に見合う需要があるのかという点が大きなリスクとなるのです。 ここまで競合が激しくなれば、ユーザーは少しでも「条件のいい」納骨堂を選びます、既に以前には考えられもしなかった「成約特典」や見学だけで「お土産品」用意などの「販促策」を打ち出す有様です。

 作ったはいいが、見込み以下の成約数だったなら・・・?

 空っぽな納骨堂でも機械式ですから定期的なメンテナンスや維持管理費は発生します。 規模が大きければ比例して費用額は膨らみます。 契約数が当初の見込みを下回ったまま時間だけが経過していけば、「経営破たん」は必至です。

 最悪な場合、敷地内の立ち入りを禁じられお墓参りも改葬も出来なくなる恐れまで出てくるのです!


【地方の止まらない墓じまい】

 この一方、地方にある地上墓は減少の一途に頭を悩ませています。 人口動態のデータからも分かるように、大都市、特に首都圏への人口集中は、地方にある実家の空き家化と代々の墓の撤去や移転といった行動を伴うものでした。

 首都圏であっても、例えば県内のやや郊外にあった一族の墓を県庁所在地や東京隣接地域に構えた自分たちの代の実家近くに移す傾向が強く、さらにはもともと県庁所在地近くにあった場合でも自分たちの生活拠点が都内に移した場合には都心の、先に挙げたような納骨堂に移設する傾向が非常に目立ってきています。

 私の主な業務の一つである「墓じまい」~「改葬手続き代行」等は、これまで受任した案件のほぼ100%が改葬先が都心の納骨堂でした。 

 改葬元の地方のお寺での業務の中で「まだ改葬を申し出る檀家はましな方、音信不通になった檀家が最近は増えてきたのがあまたが痛い・・」という住職の声を聴くことも少なくはありませんでした。 詳細は省きますが、改装となればなんだかんだで100万円単位の出費は必至です。 無縁墓のまま放置された墓も何度となく目にしてきました。


 今年も既に3件の都心への改葬手続きの代行依頼を受任しています。
仕事柄、依頼を受けた業務ついては粛々と遂行するだけの話ですが、地方からの改葬が一巡した後のお墓の概念がどのようなものになってくるのかが、非常に気になった次第です。

  

【終わりに】

 さて、冒頭で書きました開業早々の大規模都市型納骨堂の動向ですが・・・
これは、今後の業務に大いに参考になったということだけ、お伝えすることとします。 

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