コラム

 公開日: 2018-02-09 

 恒産なきもの 恒心なし

【今日のポイント】

 私が独立した時は60歳の定年を迎えた時にはある程度今後の人生における仕事をどうするか? 最優先で考えるべきと主張していました。 悠々自適で半年から1年は骨休めしたいという考えは禁物!と思ていましたが、開業後半年もしないうちに60からでは間に合わない! 50代、せめて55になったら準備に入らなければと、スタートラインを前倒ししにしました。

 ですが、2018年を迎えさらにスタートラインは40代にまで前倒ししなくてはと思い始めたのです。

 今日はそのことについて紹介したいと思います。




【恒産なきものは恒心なし】

 あまり一般的ではない言葉ではないでしょうか? 出典は「孟子」で、意訳しますと 「定まった財産や職業がなければ、定まった正しい心を持つことができない。」 「物質面での安定がないと、精神面で不安定になる。」といった意味になります。

 ここで私が気になったのは「物質面の安定ありき」という考え方でした。 良識ある、節度ある行動を目指そうとしても、一定の財産や定職に就いているというバックボーンが無ければ実行は困難と解釈できることでした。
 
 さらに意訳を重ねますと、「安定した収入と安定した仕事がなければ、長期的な計画を立てたり、慎重な行動を起こす余裕をなくし、その日その日を生きるのが精いっぱい。」となります。 

 これと似たような意味を持つ言葉に 「衣食足りて礼節を知る」がありますね。 

 こちらは広く知られていると思いますが、その意味するところは同じで「生活の安定・保証が無ければ物心共に余裕のある生活は出来ない。」となります。


 

【転職・独立にも通じる言葉】

 なぜこの言葉を採り上げたのか? 冒頭に書いたように、第二の人生を託す第二の仕事を考える、特にサラリーマンにはほとんどの場合「定年退職」という「締め切り」が設定されているのです。 締め切りが来ればいやでも次の人生を考える環境に移らなければいけません。

 ですが逆に考えれば、「定年までは」 安定した収入と仕事は継続しているという事です。

「いやいいや、年々ボーナスはカットされ、賃金も横ばいさ」 という反論もあると思いますが、それでも今の収入を別の仕事で得ようと思えばどれだけ大変かは少しでもシニアの「市場相場」を調べれば痛感するはずです。

 だからこそ、恒産(安定した収入、確保された仕事)あるうちに 次のステージの準備を始めるのです。 まさに物心両面で保証がある在職中(の40代)であれば、急かされることも、焦ることもなく客観的に自分自身を棚卸が出来、自分の履歴の総ざらいも余裕をもって取り組めるのです。 これこそが恒心ある状態ということなのです。

 40代、仕事も脂が乗り切った世代で日々多忙な中でそのようなことにまで手を拡げられるのか?
この様に考える方も少なくないと思います。 ですが、当面の収入の基となる仕事に恵まれているからこそ、1年先、5年先、10年先について思いを馳せることが出来るのです。 不安定な仕事、収入で暮らす中では、明日どうしよう?今月をどう切り抜ける?といった程度にしか気が回らなくなるのです。

 残念ながら60才を迎えて私のところに相談(むしろ愚痴ですが)に来る方が相次いでいます。 多くの場合、私がいた会社と同じような早期退職制度の対象者になった時に何も考えず、深く考えずに漫然と会社の残ることを決めた結果、最終段階に行き着いてしまったのです。 今から(60才から)何をするか、何をしたいかを考えることは決して手遅れとは言いません、ですがかなり限られた時間の中でより集中し濃密な時間をかけて第二の人生を決めるのですから、厳しい社会環境の下で相当な苦労を覚悟しなくてはいけませんね。

 このような事態を望まないのであれば、今40代の貴方は、今だからこそ「恒産あるうちに」 「恒心を持って」 第2の人生計画に臨むことを意識してもらいたいものです。

この記事を書いたプロ

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行政書士 寺田淳

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