コラム

 公開日: 2017-12-05 

知っておいて損は無い 相続税に関する最新情報あれこれ

【今日のポイント】

 今年も残り1ヶ月を切りましたね、毎年この時期になりますと「喪中連絡」が届きます。 年賀状の宛名を早めに印刷している時に限って、この手の連絡が続くのは偶然なのでしょうか? また仕事柄、喪が明けてからの諸準備、特に相続に関する準備は大丈夫かと気にしてしまいます。

 今回は、細心の相続税関連の情報をランダムに採り上げてみたいと思います。


【過ぎたるはなお…?】

 賢い節税、等のタイトルの書籍などでよく書かれているのが、「仏具は非課税扱いです」という項目です。

 この根拠とされるのが、相続税法一二条二項にある「墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるものは課税されない」という記述です。 これを根拠に黄金の仏鈴や仏具を購入し、相続税非課税品目として子や孫に財産を承継する?

 ですが、純金製である必然性は何かと問われると、確固たる理由はありません、~準ずるものと認めるのは税務署の判断であって個人の独断ではないのです。

 さらに、貴重品だから万が一を用心してあろうことか日常は貸金庫に保存していたケースがあったようです。
これでは毎日用いられるべき仏具とは扱われていない=高付加価値の財産という事を公表していると同じことで、結果的に相続財産と判断され、課税されたとのことでした。

 止めを刺すようですが、仏具には加工賃が発生します。 仮に純金の塊から仏具を作成した場合、当然ですが購入時の価格ンは手間賃が上乗せされています。 ですが売却時には金の含有量でしか売買は成立しません! つまりは苦労して下降した結果、買った時より「損する価格」でしか売れないのです。


【制度は変わるもの】

 これまたよく言われている節税方法ですが、「生前贈与の非課税枠の活用」 ~即ち 1年間で110万円までの贈与は非課税扱いになるというものですが、この非課税枠が制度化されたのは意外に新しく2001年からなのです。

 という事は仮に今年相続が発生した場合は、2001年の制度改定直後から利用してきたとしても最大で16年間分で110万×16=1,760万円までしか適用されません。 税制改訂は毎年のように行われていますので、勝手な判断で20年間110万円づつ生前贈与されてきましたなどと主張すれば、語るに落ちる ことになります。 下手をすれば却って徹底的な税務調査を招くことにもなり兼ねません!

 制度は年々変わります、 現行の基準の設定時期程度は必ず事前確認するようにして下さい。


【認定するのは税務署】

 前述した仏具もそうですが、これは相続税の対象であるかどうかは税務署の判断で決められます。

 相続人との間に解釈にギャップが生じるものの代表例としては「名義預金」があります。 代表例としては奥さんが日々の生活費を工夫してやりくりし、へそくりとして自分の口座に貯めたものが該当します。 なんとなく「自分が苦労してひねり出した財産なのだから、これは私のもの」と思いがちです。 でも元々のおカネの出どころは 夫の稼ぎに変わりはなく=相続財産の対象となるのです。 共稼ぎの夫婦でしたらまだ釈明の余地はありますが、専業主婦では確実に相続税の課税対象になります。

 また、事実正統な相続で申告も納付も済ましたと思っていても、税務署から思わぬ事柄についての問い合わせが来るものです。 特に事前に確認、資料の用意をしておくと後々苦労しないものとしては以下のものがあり、どういう点に税務署が注目するかをまとめておきます。

・故人の入院、入所期間 と故人名義の口座からの入出金の記録の確認
 本人は当然この期間は自分では出向けない訳で、誰がどういう目的で入出金を行ったかに注目します。

・相続人の年収  預貯金額の妥当性の確認
 生前に財産を相続人の口座に移していないか?分不相応な預貯金があるかどうかに注目します。

・故人の世帯の平均の生活費 (1ヶ月単位等)
 相続人に手渡しで現金を渡せば異常な支出が記録されます、この生活費の履歴に注目します。

・故人のすべての取引金融機関名と支店名口座名など
 相続財産の全貌把握の為にはいろいろな側面から注目します。

 

補記)

 ちょうどこのコラムの下書きを進めている時に、新聞紙上で来年度の税制改正に関する記事が掲載されていました。その中から相続に関連する内容をピックアップしました。

◎ 小規模住宅の特例の「活用」に制限を。

 本来の意味として相続発生の3年前から持ち家に暮らしていない=賃貸暮らしをしている相続人(通称家なき子)の場合で、330㎡までの土地については「評価額を8割減額」 することが認められています。~小規模宅地の特例

 これを「応用する形で」 節税する方法があります。

 仮に実家を所有している70代の親が健在で、既にマイホームを持ち、成人に達した子供を持つ40代の家族がいたとします。まず40代の親は自分の子にマイホームを生前贈与します。名義上親である自分たちは「子供の家に間借り」する形にしておきます。

 そのまま3年以上経過して70代の親が亡くなった場合、親名義の実家の宅地を相続するときには先に書いたように「3年以上家なき子になっている40代の子」であることから、実家の相続については評価額を8割減にすることが出来ます。

 確実に3年以上経過する(迄親が健在であるか)保証は無いとは言うものの、早めに備えておけばこの適用は大きな節税効果を生じるのも確かでした。 特に実家の評価額が高額と想定される場合ではマイホームの生前贈与を補って余りある節税効果が期待出来ます。

 ですが、さすがに国もそう甘くはなく、2018年度の改正では「もとは自分名義の家に相続時に暮らしていた場合」や「3親等内の親族名義の家に住んでいた場合」はこの特例の対象から外す方針のようです。



◎ 社団法人の設立による節税に制限を。

 もともと社団法人は相続税の対象外とされてきましたが、2008年からは営利目的での設立も認可されており、加えてこのようなケースでも相続税の対象外とされてきました。

 この制度を活用する方法として、親がまず一般社団法人を設立し自分の資産を法人に移し、その後子に法人の代表に就かせれば資産には相続税がかからないという手段を活用するケースです。 これを繰り返せば、事実上相続税は一度も納めないまま次代に継承が可能でした。

 社団法人の設立には費用が掛かりますが、それも原則として登記費用の6万円だけです。 設立の要件にしても「公序良俗に反しなければ」全ての事業が対象という「緩い」ものでした。 手間としては登記手続きだけ、費用も登記手数料だけで相続税が合法的に免れる訳ですから利用しない手はありませんね。

 事実2016年の社団法人の設立件数は6,075件で、5年前と比べると180%増となっているようです。 どういった内容での設立なのか、大いに気になるところです。

 これについてもさすがに拙いと思ったのでしょう、改正案では「親族が代表に就いた場合には非課税の対象から外す。」とするようです。

 この様に相続税の抜け穴、節税方法に対して毎年のように国も手を打ってきます。 昨年まで通用したから今年も大丈夫という甘い見通しでは後になって税務調査で痛い目にあることになり兼ねません。

 相続発生、又はそろそろ節税を考えるという方は、この手の情報については常に目を光らせておく必要がありますね。

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