コラム

 公開日: 2017-11-27 

親の実家を相続する50代世代は「土地は負動産化する」ことを知りましょう!

【今日のポイント】

 前回は賃貸暮らしに生じるリスクいついて紹介しましたが、今回は持ち家、それも親が持ち家を有している場合の想定すべきリスクについてです。


【80代・親世代のマイホーム事情】

  すべてが当てはまるとは言いませんが、多くの場合現在70代後半から80代の世代は東京近郊でマイホームを持つ場合、当時の新興住宅地である都心から1時間以上の通勤時間を覚悟の上で購入しています。 私の父も当時片道1時間半をかけて通勤していました。 実際の乗車時間はそれほどでなかったのですが、幸か不幸か?始発駅が最寄駅だったため、早めの出発を厭わなければ目的地まで座っていけたのです。

 「狭いながらも楽しい我が家」に続く言葉で「遠いながらも楽しい我が家?」というのが当たり前の世相でした。 同じ世代、同僚同士で同じニュータウンの土地を購入し、次々と家を建てて引っ越してきたものでした。

 しかしながら同世代ばかりに偏った年齢構成のニュータウンは年々住人と比例して「高齢化」し、その後のバイパスの完成や、鉄道駅の新設などで街の中心は他のエリアに変わってしまったという例も、少なくありません。 その結果近くにあって便利だった商業施設の縮小、撤退が相次ぎ、さらに連鎖反応でバス等の本数も削減の一途という傾向が続くのです。


 【将来性に疑問の残る土地にある我が家の負動産?】

 上記の例は東京近郊で言えば中央線、総武線、常磐線といったJR各線を始め私鉄沿線でも立地条件によって「普通に」みられる光景となっています。 貴方の実家は今どういう環境下にあるでしょうか?

 一軒家でなくとも、団地ごと、マンションごと劣化し老いているエリアも少なくありません。 そういった状況にある不動産はそう遠くない将来に「売ろうにも売れない」「買い手がいても話にならない価格」といった状況から、親自身で始末をつけることないまま「相続発生によって、自分たちの相続不動産」になってしまうのです! 

 私の周囲の50代は持ち家派、賃貸派が半々といったところですが持ち家派にとっては「住む可能性がほぼ皆無の」「今や暮らしに不便、アクセスも悪い」親の実家の扱いに苦慮します。 さらに夫婦そろって一人っ子の場合、お互いの実家を相続するという状態も想定する必要が出てきます。 3軒の家持ちと言えば、聞こえはいいですが、実態はどうでしょう?

 

【負動産になりやすいケースは?】

 上記の内容をまとめてみましょう。
1)現時点で公共交通機関がない、あるいは以前と比べ著しく本数が削減された。
2)最寄駅の周囲の商業施設が撤退・縮小の連続になっている。
3)特に大型商業施設が撤退しその後どこも入居してこない。
4)周辺住人の年齢が高齢化している。
5)小学校等が統廃合(それも他地区に)され子供の姿が減った。
6)医療施設(個人病院から公営の施設まで)も人口減・高齢化に伴って移転した。

 このような傾向に歯止めがかからない地域の土地はほぼ売ろうにも買い手を探すのに一苦労で、専門の不動産売買業者に依頼しても思惑通りの商談はかなり難しいでしょう。

 希望通りの買い手が現れるまでじっと待つ、でもいいのですがその間に家屋は確実に劣化、土地の売値も下落していきます。実勢売価が変動しても不動産評価額はほとんど変わりませんから、固定資産税は一定のままで、売値だけが下がるという困った状態になっていきます。 家も補修やメンテをしなければ周辺住民にも迷惑をかけるリスクが拡大しますから放置も許されません。 住む当てもない家を補修し、毎年の固定資産税は昔と変わらない額を納付し続ける…

 住む気もないのだから家は解体・撤去すると決心してもその解体費用もバカにはなりません。 ケースバイケースですが、200万円前後というのが相場の様です。 加えて更地になれば固定資産税はこれまでの6倍に跳ね上がります!! 進むも退くも留まるも、持ち出す方のおカネの問題がついて回ります。


【かくして相続財産の筆頭から転落】

 土地神話の時代の栄光は遠くに去り、今や取り扱い注意の財産筆頭という立場になりつつある不動産ですが、さらに子供たちにとっても「相続発生時に、誰がこの外れ籤を引くのか?または押し付けるのか?」で「争族」と化すケースが多くなってきたのです。 

 戸建てでこの有様ですから、マンションの場合はより深刻です、マンション(団地を含め)には運命共同体の同居住人が存在するからです。 マンションの場合月々の管理負や共益費が発生します、相続人が決まらなければ当然その分の支払いはされませんから必要額は満たされません。これが1棟につき何名も発生したら? 中古マンションでは次の入居者を期待することも難しく、限界集落ならぬ限界マンションになりつつあるのです。 マンションの場合都心まで1時間以内という好アクセスの立地であってもこの状態になりつつある例は少なくないようです。 結局分譲マンションだけの場合、販売価格に応じることが出来る世代は概ね同世代になり易く、その結果マンション全体が同時進行で「老いていくのです。」


 【2028年の現実】

 野村総研のデータによりますと、これから約10年後の2028年には日本には約1,772万戸の空き家が出てくるとあります。この時の総戸数が約6,899万戸と想定しており、実に約25%超が 空き家となっているとのことです!

 人口減少が続く中、空き家だけは増加の一途では益々都心部への一極集中になっているとしか思えませんね。 そうなれば中古の戸建てやマンション、あるいは更地化した土地であっても買い手がつくか、ついたとしていくらなのか? 不安材料ばかりが増していきます。

 では、一気に解決するとして「相続放棄」を決断すれば?

 確かに負動産の問題からは解放されますが、現金やその他の財産があった場合はそれも放棄することになります。 そこまでする必要があるのかどうか? また兄弟姉妹がいれば問題解決を放棄し丸投げしたことになりますから、先に述べたように「争族」に発展するリスクは避けられません。

 では、相続税の代わりに「物納」では?

 物納には「正確な不動産登記」が必須です。仮に物納を前提に土地を実測した場合、その面積が登記簿に記された面積と異なっていた場合は、国は後々隣接地の所有者からの申立てを避ける為物納を認めません。 きれいな土地しか受け付けないのです。 同様に境界線が非常にあいまいなままの土地なども当事者間で解決することが前提とされます、その為の調査費や実費は全て相続人が負担することになります。 物納するにもお金と時間と手間がかかるのです!

 今50代で親から不動産を相続しても、10年後には今度は自分たちが親の立場で子に対して不動産を引き渡すための準備を始めなくてはいけません。 先送りを続ければ、子や孫の代にまで「負動産問題」を負わせることになる!

  今や土地は永遠(に資産価値の高い存在)ではなく、負の存在にもなるものという点だけは、50代の貴方は肝に銘じておいて下さい。
 

この記事を書いたプロ

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行政書士 寺田淳

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TEL:03-5157-5027

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