コラム

 公開日: 2017-11-13 

 成年後見制度~親の後見人になる場合の注意点は?

【今日のポイント】

 認知症を始めとして、病気や事故で判断能力が著しく低下した場合、成年後見制度によって、当事者の生活支援や財産管理をする後見人が選ばれることは、もうご存知かと思います。

 特に、高齢になった親に後見人が必要になった時、子として知っておくべき後見人に選ばれた時の「心得」を紹介します。


【成年後見人の仕事】

 後見人が親族であろうと、専門職による第三者後見人であろうと、仕事の内容は変わりありません。

  身上監護 と 財産管理 の2つです。

 身上監護は生活支援と考えてもらうと分かりやすいのですが、主なものとしては介護施設の入所手続きや契約の締結、治療や入院といった手続きの代理等で、財産管理は文字通り当事者名義の預貯金や不動産等の財産を「適正に」管理することとされています。

 適正にとは、「名義人の生活に必要な、又は生活向上に有益と思われる出費」という意味ですから、例え親子と言えども、財産管理や支出を混同させてはいけません。

【申立人の内訳】

 後見制度の利用には、申立てが必要です。 当事者である親の住所地を管轄する家裁に申立てをしますが、必要な書類を家裁で入手し、必要事項を記載し、親の財産目録を作成し、主治医の診断書等別途必要とされる資料を添付して提出します。

 その後家裁での書類審査や申立人との面談を踏まえ制度利用の適否を判断します。 制度利用が適当となれば、後見人を選任する手続きに入ります。

 この申立人の内訳ですが、2016年の最高裁の資料に拠りますと、構成比でトップなのは「子供」で29%でした。 次いで「当事者の兄弟姉妹」、「その他の親族」、「当事者本人」が13%で同率でした。 意外に「配偶者」は5%で「親」の5%と同率でした。 また構成比で第二位だったのは「自治体の長」でなんと19%を占めていました!

 これは私の推測ですが、私の様な「正真正銘のおひとり様」への制度対応という事なのではないでしょうか?

 さて申立人がそのまま後見人に選任されるという訳ではありません。 申立人と後見人は別でも構いませんし、申立人が自薦することも可能です。 但し、選任する家裁は提出された資料や個々の事情を考慮して、最適と思われる後見人を選任するように努めます。 なので、専門職の第三者後見人が選任されることも少なくありません。

 この背景には増加する「親族後見人による私的流用」が影響しています。 つい親子だから、兄弟だからと財産の使途が曖昧になることから専門職後見人を選任したのでしょう。 2011年には過半数が親族だった後見人は2016年、僅か5年で30%を切るまでに割合は急減してきました。

 ですが、制度利用者の増加に比べ専門職の対応が限界に近付いてきたのも事実で、今では自治体によっては「市民後見人」による対応や、改めて親族後見人に対する各種支援体制を強化し、現状への対応を考え始めています。


【親の後見人になった場合の注意事項】

 では、親の後見人に選任された場合、どういう点に注意したらいいでしょうか? 細かいことを言い出せばきりがないので、主な項目だけを紹介しますと、

① 親の財産は親の財産、使いみちは「親の生活の為」を徹底すること。
② 後見人は定期的に家裁に対し「親の収支、生活状況等」の報告義務があるので証憑管理も徹底すること。
③ 誤解を避ける為にも親子の財産は厳密に別個管理に徹すること。
④ 各種の支援メニューは積極的に活用すること。
⑤ 社会福祉協議会、成年後見センターなども賢く利用すること。

 ②については、家裁に書面で定期報告することになります、領収証などは必ず保管し、証拠固めに留意します。

 ④については仮に親名義の預貯金が1,000万円以上あり、当面具体的な使用が想定されていない場合は信託銀行が扱うサービス「後見制度支援信託」の利用を家裁から勧められるので、事前の検討が必要です。(東京家庭裁判所の管内の場合は500万円以上です) このサービスを利用するとまとまった金額を支出する場合は家裁の指示書が無いと引き出すことが出来ないので不正防止やあらぬ疑いの払しょくにも有効なのです。

 ⑤については、お住まいのエリアを管轄する自治体に直接確認することで初めての後見人就任の際の大きな支えとなるはずです。

 最後に、①のケースで専門職後見人が就いていたケースですが、毎年親が正月のおせち料理の通販を用意してくれていて、親もそれを望んでいたのですが、後見人就任後は「親の分のおせち料理代は親の口座から出しても構いませんが、貴方(子)の分まで出すことは認められません、貴方の口座から支払うように。」と子供に指導が入りました。

 身も蓋もない話、にも聞こえますが、見方を変えればこれを認めれば、その後も拡大解釈を許すきっかけにもなり兼ねません。 自分勝手な解釈や、慣習だからといった甘い認識では務まらないのが後見人なのです。

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