コラム

 公開日: 2017-05-24  最終更新日: 2017-09-12

夫も妻も勘違いする 離婚の際のお金の決め事

【今日のポイント】


 離婚の場合に必ず出てくるのがお金の問題。
慰謝料、財産分与、そして年金分割。

 もっとも目新しい「年金分割」について紹介しています。


【財産分与と慰謝料】

 財産分与とは、ごく簡単に言いますと結婚生活の中で、夫婦で築き上げた財産を合意の上で、それそれの個人の持ち分にすることを言います。 

 財産分与の対象となるものとしては現金、預貯金、株券等の有価証券、土地や建物といった不動産、自動車から大型テレビ、高級家具といった品々、他にも厚生年金や共済年金、退職金等が主な対象になります。

 この中で、不動産や自動車といった名義人が特定される場合でも、夫婦の財産として分与の対象になります。 「この家は俺の名義でローンも俺一人で払っているのだから、分与の対象ではない!」は通じないのです。
 
 ですが、「夫婦で得たものでない」とされる財産は、対象外とされます。 ですから結婚前に貯めた貯金や、購入した株券等の有価証券、自分の親から相続した財産等は夫婦で築いたものではありませんから分与対象とはならないのです。

 財産分与の基本は当事者である夫婦2人で決めます。 分与の仕方も当事者間の自由裁量に委ねられます。恨みっこなしの 50%づつの分割が出来れば問題はないでしょうけど、離婚の背景等によってはこれ以外の比率での分割も当然あることになります。 とはいえ、円満離婚以外の場合は、「何をどれだけ」で紛糾することが多く、お互いの主張と妥協点のせめぎあいになるようです。

 慰謝料は文字通り、離婚の原因となった当事者から支払われるもので、円満離婚や協議離婚等の場合「慰謝料は無し」というケースが見受けられます。 よく「1円も貰わないで離婚するなんて」と妙な感心をする方がいますが、財産分与とは別個の話です。 


【年金分割の基礎知識】

 財産分与と慰謝料に続く3番目の存在として、10年前に制定されたのが夫婦の年金を分割出来るようにしたこの制度です。 2015年のデータですが、全国で約27,000件となっており(厚労省データより)年々増加傾向になるようです。

 イメージとして、離婚が成立すれば
「夫の年金を」「全て半分づつに分割出来て」「現金で」「毎月支給される。」
こう考える妻は少なくないようです。

 ですが、現実はそう甘くはないのです。

〇 夫の年金全てが分割になる、訳ではありません。
  財産分与と同じく、結婚していた期間の年金だけが分割の対象です、また現在3つある年金(国民年金、厚生年金、企業年金)のうち、厚生年金だけが分割の対象です。 ですから配偶者がずっと自営業だった場合は厚生年金自体ありませんから分割対象が無いことになります。

〇 常に夫の年金が分割対象、ではありません。
  分割の原則は「多い方から少ない方へ」ですから、仮に妻側が多くの年金受給資格を得ているならば、夫に分割することになるのです。または夫が自営業、妻が会社員、公務員の場合、先に述べたように妻の年金だけが分割の対象になるので夫からの要求があれば応じなくてはいけません。

〇 常に無条件で1/2の年金がもらえる、のではありません。
  厚生年金の場合、夫婦の話し合いによって50%を上限に分割の割合を決めることが出来ます。これを「合意分割」と言いますが、この他に2008年から追加された制度で、どちらか一方の請求で(=相手の合意なしで)当該期間の年金額の1/2がもらえるという「強制分割」という方式があります。 但し、この制度の対象は「2008年4月以降」の期間に限られます。 それ以前の期間については先に書いた双方の話し合いによる「合意分割」となるので、注意が必要です。

〇 分割が決まればすぐに受給が始まる、ことはありません。
  あくまでも年金ですから、当事者の年金受給開始期間までは支給はされません。

〇 離婚が成立すれば、分割の手続きも成立する、訳ではありません。
  離婚の成立から2年以内に、年金事務所に請求しなくては手続きは成立しません。 年金は「申請しないと(請求しないと)もらえない申請主義」に基づいているので、離婚調停時に年金分割の合意が成されたからOKではない点に注意して下さい。 詰めを誤りますと、貰えるものももらえない結果になってしまいます。 

この記事を書いたプロ

寺田淳行政書士事務所 [ホームページ]

行政書士 寺田淳

東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル7F ハローオフィスC-3 [地図]
TEL:03-5157-5027

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
よくある質問

 質問) そちらの業務の対象かどうかもよく分からないのですが    相談してもいいでしょうか?     その場合、直接の電話、お問い合わせからの連絡等ある...

これまでのメディア掲載
イメージ

サラリーマンの副業と確定申告 マイベストプロの専門家による情報サイト「JIJICO」に2月13日付で私の執筆した記事が掲載されました。タイミングよく、確定申告直...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
遺言書と任意後見で第二の人生をサポートする行政書士

(50代の)男はツライヨ!? その時直面する3つの問題とその解決法を共に考えましょう!(1/3)

 新橋駅前で行政書士事務所を開業している寺田淳さんは、自分と同じシニア世代が置かれた立場や環境に対し、自身の経験から導いた指導やアドバイスを通じて3つの課題に関するサポート・サービス業務を専門としています。 特に最近顕著なものに、定年後...

寺田淳プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

50代男性の悩み(親問題・自身の将来)に強い行政書士です。

事務所名 : 寺田淳行政書士事務所
住所 : 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル7F ハローオフィスC-3 [地図]
TEL : 03-5157-5027

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-5157-5027

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

寺田淳(てらだあつし)

寺田淳行政書士事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

親と話す相続

 90代の高齢の父親がなかなか相続について考えてくれません...

K・M
  • 60代以上/男性 
  • 参考になった数(0

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
公営の無料職業情報サイトが開設予定

 【今日のポイント】  起業にしても転職にしても、重要なことは正確な情報収集です。その為にはより多くの...

[ 起業・転職・再就職で必要な事 ]

 恒産なきもの 恒心なし

 【今日のポイント】  私が独立した時は60歳の定年を迎えた時にはある程度今後の人生における仕事をどうする...

[ 起業・転職・再就職で必要な事 ]

今やセカンドライフは20年計画で考える!?

 【今日のポイント】  2月1日付の日経新聞夕刊に、 「セカンドステージ:生涯現役、助走が肝心」という...

[ 起業・転職・再就職で必要な事 ]

2022年の生産緑地問題とは?

 【今日のポイント】  生産緑地、この言葉を聞いてピンとくる方は少ないかと思いますが、近い将来に大きな...

[ 最近の話題から ]

 2週続けてコメントが掲載されました!!
イメージ

 1月最終日のコラム投稿は、手前味噌な内容です。 週刊現代の1月27日号、2月3日号と2週連続で私のコメントが...

[ 新橋事務所日記 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ