コラム

 公開日: 2016-08-25 

無縁墓の増加 ~改葬と対の問題とは? 

台風が過ぎ去って3日目、ようやく天気も安定してきたようです。

 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。



 改葬についてここまで紹介してきましたが、確かにいろいろ改葬を遂行するには課題が山積していますが、それでも改葬をするという気持ちを持っていることは、それだけお墓の持つ意味や意義を考えているからとも言えます。

 あまりこのような場で公表はしたくなかったのですが、最近増えてきているのが「無縁墓」だそうです。


【無縁墓とは】

 無縁仏という言葉は耳にしたことがあると思いますが、お墓にも無縁な墓というものがあります。 文字通りお墓を守るべき人物(=我々は「祭祀承継者」と呼んでいる存在です)が、誰もいなくなったお墓を指します。

 私のように一人っ子の非婚である正真正銘のおひとりさまの場合は、確実に無縁墓になる訳で他人事ではないのですが・・・


 【なぜ無縁墓に?】

 無縁墓になる理由には様々なものがありますが、代表的な例を挙げてみます。

・祭祀承継者が絶えた
 おひとりさまの場合は「自分の次」はいないわけですすから、そういう事態への対処法を事前に取り決めておかなければ、即連絡先不明になります。 また血縁関係が少ない場合は、その数少ない承継者が急逝した場合等に連絡が絶えるケースがあります。

・祭祀承継者の連絡先が不明になった
 これには2つのパターンがあります。 ひとつは、主に不可抗力に起因するものです。
祭祀承継者が事故や病気で長期入院や介護状態になった場合や、海外赴任になり長期にわたって国内不在になったことをつい連絡し忘れていた。 なかには父親から郷里に代々の墓があることを聞かされないまま父親が亡くなり、子供は墓の存在自体を知らなかったといった事例もあるようです。

 もうひとつは今までの祭祀承継者が転居、異動によって連絡先が変わったことを「意図的に」管理責任者に連絡しない場合です。 悪意ある、確信犯的なケースです。


 【なぜ、意図的に連絡先を伝えないのか?】 

 郷里にある墓が無縁墓になる中には改葬の話し合いに出向いた結果、現在の墓地管理責任者との間に感情面に深刻な亀裂を生じさせた結果その後の連絡を絶ち、転居や異動した場合でも新たな連絡先を伝えないようにしたという事例があります。

 感情面の問題でなくても毎年発生する費用面の問題が主となっているケースもあるようです。 都心のそれなりの墓地や霊園であれば、季節毎の法要や彼岸会、その他諸々のお布施等、永代使用料以外にも費用負担はついて回ります。 祭祀承継者も当初と経済環境が変わった場合など、これらの負担が年々重荷になってきた為連絡先の変更を伝えないという例でした。

  

 【無縁墓の問題とは?】

 無縁墓は、殆どの場合墓地の管理側に大きな負担を生じさせます。
当然ですが、お布施も寄付の依頼も出来ませんし、連絡を取ろうにも連絡さえ取れないのです。 かといってその墓の区画だけ放置しておけば雑草や汚れ等が生じ、墓地周囲の環境悪化にも繋がります。 これは何も山奥の不便なお墓ばかりではありません。 先に書いた費用面の負担から都心にあってアクセスが良く、知名度も高い人気の墓地や霊園でもあちこちに荒れ果てた墓石や墓地が散見しているのです! 

 では、墓地管理者は無縁墓となった(なりつつある)墓をどう扱えるのでしょうか?  改葬を持ちかけられるのも檀家の減少に直結する問題ですが、全くの音信不通で手のつけようがない放置状態もお寺の側から見れば頭の痛い問題なのです。 たとえ墓参に来なくなった、 手紙や電話などの連絡が来なくなった、 こちらから連絡しても返事がない、または連絡が取れなくなった・・・ このような状況になってもすぐにお寺だけの判断で無縁墓と決めつけて撤去や更地化することは出来ないのです。

 周囲の環境悪化の防止の為、あるいは人気の墓苑なので再整備すればすぐにでも応募が確実と言った場合でも、次に挙げた手順を踏まなければいけないのです。


無縁墓の取り扱い

 無縁墓の扱いについては個々の事情で手続きは変わってきますので、あくまでもモデルパターンの一つとして紹介します。

 一定の期間、祭祀承継者の連絡先を探す努力をし、連絡を待つも事態に進展がないと判断した時点から

1)墓石、墓地の前に立て札などで「連絡を乞う」旨の告知をします。 
  「この墓の関係者をご存知の方はご連絡下さい。」 といった文面で掲示します。

2)証拠を固めます。
  立て札には設置年月日を明記し、必ず写真撮影をします。 
  写真は一回だけでなく、月に一度、半年に一度撮り直すなどで時系列にまとめます。

3)官報へ公告します。
  官報のHPに「無縁墳墓改葬」という項目がありますので、ここから公告の手続きを行います。
  当然、公告の内容によって費用は発生します。
  最近ではネット上で検索や閲覧も出来るようになっています。
  但し直近1か月間のものは無料ですが、それ以降は有料になります。

4) ここまでの経緯を時系列にまとめた記録を文書化しておきます。

 ここまでどのくらいの期間が必要になるでしょう? 1)の立て札などでの墓前での告知で1~5年間(!)待機するのが一般的なようで、3)の官報に公告してもその後約1年は連絡を待つというのが多いようです。 これを当てはめると最長6年間は「手が出せない」ままの待機状態をするしかないようです。

 なぜ? と墓地関係者の方は思われるでしょうが、拙速に無縁墓として「撤去、更地化」し、新たな墓地として申し込みを受け付けるようにした後に当初の持ち主から連絡が入った、墓参に来たような場合は墓地関係者の立場は圧倒的に不利なものになるからです。 

 意図的に連絡を絶っていたわけではなかった(止むを得ない理由で連絡出来なかった)と主張された場合に、それなりの時間、更地化等の処分を猶予していたという証拠を残しておかなければ、墓地管理者側は対抗出来ないからです。
 
 特に都市近郊で、新たな墓地使用希望者が存在するような「人気のある墓苑」の場合、せっかく需要があるのに、供給が出来ない事になります。 前述した都市型の墓苑に見られる放置状態の墓は多くの場合、この状態のようです。

 では、それでも上記手続きをして最大6年辛抱すれば後は放置墓の処分をしても問題はないかと言うと、民法上の責任と行政法上の責任とは別物となりますので、そうとも言えないのです。 ある意味改葬の申し出よりも「大迷惑」な措置なのが放置墓~無縁墓の問題なのです。

 この様な実態から、最近の都市型霊園等では契約書の中に「無縁墓になった際の取り決め」を予め記載して、後々のトラブル発生を防ぐようにしているケースが増えているようです。


 檀家から改葬を持ち出されるのは大きな問題なのですが、現状を変えることが出来なくなる無縁墓とされてもまた、墓地管理責任者にとっては頭の痛い問題になるのです。

  
 お墓の取り扱い方で、檀家もお寺も大きな問題に直面するという事、お分かり頂けたでしょうか?



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