シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士
コラム
公開日: 2016-08-15
改葬手続き、その前に調べておく事とは?
お盆ど真ん中の15日、当事務所は今日まで営業し、明日16日からから19日までお盆休暇を頂きます。 まとまった休暇は開業以来初めてですが、休むことも仕事のうちと、心身ともにリフレッシュしてくる予定です。
お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。
前回紹介した改葬に必要な申請書類を完成させるためには、事前にどういう情報を入手しておかなくてはいけないか?スムースな申請作業のためにも、ここは押さえておくべきですね。 以下に主なものを紹介します。
【今のお墓の・・・】
お墓の所在地(正式な住所)は判っていますか? 不動産と違い「登記簿」といった書類はありません。 親や祖父母から聞き出していますか? さらに言えば、何十年も前の所在地の名称のままではありませんか?
町村合併による名称変更などで聞いたことのない住所になってしまっていること、ありませんか?
手元に確認できるものがなければ、まずは自治体のHPで確認しましょう、それでも覚束なければ、直接電話して現時点での所在地表記を把握しておきましょう。
【墓地の種類は?】
貴方のお墓の種類は把握していますか?
お墓にもいろいろあって、大別すれば3つのタイプになります。
公営墓地(自治体が管理、又は委託を受けた公営法人が管理する墓地です)
寺院墓地(最も多くの方が当てはまるのでは? いわゆるお寺の敷地内にあるお墓です)
民間墓地(町営、村営の共同墓地や、寺から委託を受けた業者等が管理する墓地です)
埋葬証明書に署名・捺印してもらう相手が誰かは、墓地の種類によって管理責任者が決まりますから、この情報も欠かせないものですね。
滅多にないことですが、肝心の寺の名前を知らない事例もありました!?
「たしか、菩提寺と聞いています。」と、回答された若い方もいましたから、念のため「菩提寺の寺の正式名称」を確認しておきましょう。
【墓地の管理責任者】
前述したように、埋葬証明書の署名、押印を頼む相手は誰なのか? 寺院墓地ならばその寺の住職、 公営墓地ならば自治体の窓口、共同墓地ならば自治会長や総代と言った地域の責任者などが管理責任者となっているケースが殆どです。 この点も不明、自信がない場合は墓地を管轄する自治体の担当窓口に問い合わせしておいて下さい。
【遺骨について】
改葬したい遺骨は、どういう状態でお墓に納められているかご存知ですか?
骨壺に一体づつ納めている? 直接地面に遺骨を撒いている? 改葬する場合、遺骨の数の分だけ改葬許可申請をしなくてはいけません。 又納骨堂の場合は、納める個数によってどのサイズの納骨スペースを契約するかが左右されます。 多くのお墓は背面下部に骨壺を納める為の開口部が設けられています。 これも記憶がない、確証が持てないなどの場合は事前に出向いて中身を確認し、どういう形態で納められているかを確認しておきましょう。
余談ですが、改葬許可申請書の記載項目に「申請者との続柄」 「死亡者との続柄」と、意味は同じでも異なる視点からの続柄を記載する箇所があります。 これは地域によって異なりますので申請書を入手したらまず、この表記を確認しましょう。
注意すべきは「死亡者との続柄」とあった場合です。 例えば対象が祖父だった場合、「申請者との続柄」は祖父で問題ありませんが、 「死亡者との続柄」の場合、孫と記載すると概ね却下されます。
私の経験しただけで「子の子」、「子の長男」、「長男の長男」といった表記への訂正を求められました。 この表現についても、地域によって様々です、一定の決まりがありませんので、何度も書きますが、「死亡者との続柄」とあったならば、事前に表記方法を確認しておきましょう。
【墓石のサイズ、購入した石材店は】
今のお墓の墓石などを撤去や移設する場合、サイズや形状が判らなければ人手や撤去に要する機材の確定が出来ません。 墓石を購入した業者名は判っているでしょうか? 又は図面や寸法を記した書類などは保管していますでしょうか?
これらの情報がなかった場合は事前に自らサイズを測りに出向くか、石材店に下見に行ってもらう他ありません。 お墓の所在地が判っていれば、業者に依頼して調べてもらうことは出来ますが、これもあやふやな場合は結局同行しなくてはいけません。
サイズや形状が判っていれば複数の業者に見積もりを出してもらうことが可能ですが、そうでなければ自分で調べるか、先に業者を決めてから下見を依頼するしかありません。 依頼もせずに下見を依頼するなど、相当な度胸が求められるでしょうし、たぶん業者側も受けてはくれないのではないでしょうか?
【墓地の現状把握】
隣の墓地との境界線は明確になっていましたか? 敷地内に別の墓石や墓碑などはありませんでしたか?~本家の墓の敷地内に分家の墓碑を立ててあるケースは旧家ほどあるものです。 さらには、その下に遺骨の埋葬があるかどうか把握していますか? 万が一あれば、その部分は勝手に掘り出せないし、無論更地化は出来ません。 それ以前に業者が仕事を受けてはくれません。
他にも墓地の一部の敷地が風水害等で崩落や土砂流入等で損傷していませんか? その場合復旧する義務はありますか? その範囲は? 私の扱った中ではちょうど隣の墓地との境界線上に見事な一本松が立っていて、これをどう扱うかで隣の墓地の所有者探しから伐採の可否についての確認作業など、相当な時間を費やした経験があります。
自分勝手な判断だけでコトを進めると、後になってややこしい事態になり兼ねません!
事前情報の把握は結局円満、円滑な改葬作業に繋がります。
お墓に続いては、改葬する(予定の)故人の情報の収集です。
【故人の個人情報】
・氏名、本籍、亡くなったときの住所、性別、死亡年月日は判明していますか?
・埋葬又は火葬の年月日と場所は判っていますか?
改葬許可申請書の冒頭にこの情報を記載しなくてはいけません。
【その他にも】
・改葬先の新墓地、納骨堂の名称、所在地、改葬の理由等は明らかですか?
・第三者へ委任する場合の委任状や承諾書の作成は出来ていますか?
この他にも、閉眼供養や開眼供養の時の出席人数の目安は? その際に欠かせない「先立つもの」= 供養料、お布施、離壇料等の「地域相場」の確認は出来ていますか?
いかがでしたか? 改葬許可申請のためには、このような広範にわたる情報が必要になってくるのです。
次回は、これらの関門をクリアした後の最大の課題、「埋葬証明」に関する問題について紹介したいと思います。
この件に関してのご相談やお問い合わせはこちらからどうぞ。
https://mbp-tokyo.com/office-terada/inquiry/personal/
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