コラム

 公開日: 2016-04-11 

誰が届け出る? おひとり様の 「死亡届」

 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 今回は、特におひとり様に読んでもらいたいテーマを選んでいます。
テーマとしては、成年後見制度でも、死後事務委任契約でも対応が出来ない、おひとり様問題です。


【大きな括りでみる見守り契約】


 これまでの繰り返しになりますが、判断力はあるものの、身体機能の問題がある場合の「財産管理契約」や、現状は心身ともに健康ながら、一人暮らしで身寄りもいない場合の「見守り契約」から、判断力に支障が出た時の為の、「成年後見契約」、そして同じようにおひとり様に必要な死後事務の手続きを託す「死後事務委任契約」まで、大きな括りで言うところの「見守り」は、当事者の変化に応じ、連続したサポートが可能な内容となってます。

 この流れを私に当てはめてみますと、今のところ判断力は正常で、身体的にも支障はありませんから、必要と思われるものは「死後事務委任契約」となります。 病に斃れて長期入院などの環境になれば、それなりの事前準備をする事も出来、遺言の用意も可能ですが、事故や天災、急病の発症等の場合はどうにもなりませんから、せめてエンディングノートには個人情報を記載しておき、死後事務委任契約で、余人を以て替え難い依頼事の遂行を託すことになります。


【死亡届の規定】


 前項に書いたように、契約によって死後の事務手続きを第三者に託すことは出来ました。

 さて、契約者が亡くなった後、最初に行う、行わなくてはいけない手続きの一つに「死亡届」の届出があります。 これを入手しておきませんと火葬も出来ませんし、いろいろな場面で死亡した証拠として扱われる大切なものですね。

 死亡届には法律の規定が定められています。

_戸籍法第八七条_  ~一部抜粋~

 ・以下の者は、その順序に従って、死亡の届出をしなければならない
  ⇒これは「義務である」と言う意味です。
  但し、順序にかかわらず届出をすることが出来る。

   1)同居の親族(配偶者、六親等内の血族、三親等内の姻族)
   2)その他の同居者
   3)家主、地主又は家屋もしくは土地の管理人
    ⇒以上を、「届出義務者」と言います。

 ・死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人も、
  これをすることが出来る。
  ⇒以上も、「届出義務者」となります。


   では、仮に天涯孤独の一人暮らしの方で、後見人を就けるような心身の状態ではなく(=いたって健康な状態)、自分名義の土地家屋の中で、最期を迎えたら、死亡届は誰が届け出る事になるのでしょう?


【誰も出せない死亡届?!】


 天涯孤独ですから同居、別居に関係なく相続関係人はいないということで、一人暮らしですから同居人もいません、自分の土地に一戸建てで暮らしていれば地主や家主も存在しないことになります。 仮に入院中であったり、事故等で搬送された医療機関で最期を迎えていれば、病院長の名前で死亡届は出せますが、自宅での最期となれば、これも叶いません。

 では、唯一「死後事務委任契約」を締結しており、受任者が死後事務の一環として手続きをすることはどうでしょう?

 遺憾ながら、現行法の下では市区町村の担当部署(戸籍課)では受付けてくれません。

 以下の画像は、死亡届の一部の画像ですが、確かに届出人の選択肢に「その他」はありませんね。
 ※ 8.にある「公設所の長」とは公立病院の施設長、福祉事務所長、病院長などを指します。




【おひとり様の死亡届】


 では、おひとり様で最期を迎えた場合、死亡届も出せないまま放置されてしまうのでしょうか? 

 では、任意後見契約と死後事務委任契約をセットで結んでいたら大丈夫だったのでしょうか?
いえ、上記のようなケースではどちらの契約も対応が出来ないのです。 

 任意後見契約は、判断力に支障が認められた時点で発効されますが、その際、「任意後見人監督人」の選任がされて、初めて「任意後見人」に就く事になります。~契約締結時は「任意後見受任者」と言う立場です。

 先の事例の様に、急逝ですと、任意後見の場合発効する前に契約自体が無効になります。 
所謂ピンピンコロリの場合は、皮肉にも見守り契約では対処できないという事になります。

 この場合、最後の最後に残されるのは「警察」です。 自宅で最期の時を迎えた時は死因が何であれ、警察は連絡を受け次第、検視に向かいます。 通常は「死亡診断書」に必要事項を記入し、併記されている「死亡届」に届出人が必要事項を記載して完成となりますが、上記のような場合には、警察から、当該市区町村役場の「生活福祉課」に連絡を取り、一般的には生活福祉課の責任者(課長)が、「死亡記載申出書」という「死亡届」に代わる書類を作成し、それを「戸籍課」に届け出て、手続きを進めることになります。

 ですから、前段で想定したような人物から死後事務委任契約を受任した場合は、受任者は契約者(故人)の住所氏名、生年月日などの情報提供をするに留まり、手続き(届出)に関しては手が出せない。 というのが現状なのです。


【次善の策はあるのか?】


 少子高齢化、一人暮らしの高齢者の増加が進む中、ここで想定したような事態は決してレケースではありません。 現に聞き取りをしたある自治体の話では、「死亡記載申出書」の作成に拠る手続きは、何件とは言えないが毎年発生しているのは事実との事でした。

 現状の下では、積極的に備えるのであれば、任意後見契約の締結で任意後見人に後事を託すことですが、これも後見契約が発生し、任意後見監督人が選任されてからでしか任意後見人とはなりませんので、前述したように契約を結んでいても、判断能力に支障が無い状態で急逝(ピンピンコロリ)した場合には対応が出来ません。

 結局は最後の例として挙げた警察から生活福祉課を通す煩雑な手続きに拠るほか、ないようです。

 
 なお、今回のテーマは、今月20日に開催予定のセミナーでも紹介します。

詳しく知りたい方は、以下のリンクを参照して、申し込みをお願いします。
2つの成年後見制度



  この件に関してのご相談やお問い合わせはこちらからどうぞ。
https://mbp-tokyo.com/office-terada/inquiry/personal/


  事務所の連絡先は 以下の通りです。

 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル7階ハローオフィスC-3
  03-5157-5027(TEL) 平日は10:00~19:00
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