コラム

 公開日: 2016-03-31 

成年後見の次を担う死後事務委任契約について

 
 はや三月も今日で終わり、全く時の流れは早いものですね。
もう一年の四分の一が過ぎたのですから。  そして明日から新年度のスタートです!

 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。



 今日は成年後見契約の次に備えておくべき、最後の備えともいえる「死後事務委任契約」の役割について、簡単に紹介していきたいと思います。

 

【それぞれの役割は?】


 今までもこのコラムの中で紹介しているように、成年後見契約とは、あくまでも契約者の財産管理と身上監護が主目的です。 言い換えれば、生きている間の契約者の暮らしと生活の為の契約なのです。

 ですから、契約者である当事者が亡くなった時点で、成年後見契約は満了となり、その効力を失効します。
仮に契約者に相続人や親族などがいるのであれば、成年後見契約の満了に伴い管理財産の引き渡しや残債などの引継ぎは可能です。 ですが、そのような係累が誰もいない「おひとり様」契約者の場合、後始末をどうするかという問題が生じます。

 くどいようですが、成年後見契約が満了したら後見人に故人の財産に手を出すことは出来ません。 

 こういった事態を避ける為の一つの方策が、「死後事務委任契約」です。 これは、文字通りこの契約は契約者の死を以て発効する契約です。 

 後述しますが、契約者の死亡から葬儀までの間にやるべきことは決して少なくありません。 遺言書があれば済むのではと思われるかもしれませんが、例えば葬儀の際の遺影を指定していたら? 一般的には遺言は葬儀の終わった後に開封していますから、故人の希望した遺影以外で葬儀を執り行っていたら・・・ いわゆる「後の祭り」ですね。

 この様に、契約者が健在のうちは、可能な限り従来の生活に近い暮らしを維持することを目的とした成年後見契約が、
亡くなった時には、葬儀の前にクリアすべき問題の解決のための実効性のある死後事務委任契約があるのです。

【死後事務委任契約で出来る事、出来ない事】


 では、具体的に死後事務委任契約によって遂行出来ることとは、どのようなものが有るでしょうか? この契約も、任意後見契約と同様に契約の内容は契約者と受任者との間で自由に決めることが出来ます。 但し、法的に効力のないものもありますのでこの点は注意して下さい(例えば大きな財産処分の方法等は遺言書に書かないと効力はありません。)

 ・賃貸住いの場合であれば、退去手続きや未払い家賃の精算等
 ・入院、入所中であれば、退院・退所手続きや残債の精算等
 ・ペットの始末
 ・葬儀の場所(菩提寺があれば手配も)の指定
 ・遺影の指定
 ・連絡して欲しい親族、友人、知人関係
 ・連絡して欲しくない親族、友人、知人関係
 ・不要品、他人に知られたくない所持品等の処分
 ・SNSの削除依頼等
 ・借りっぱなしの物品等の所有者への連絡と返却手続き等

 以上の項目は、葬儀を済ませ、遺言書の開封までの期間、この契約がなければずっと放置され続ける事柄です。
例えば、遺言書に葬儀に参列して欲しい友人の名を書いておいても、全くの無意味と言う事、お分かり頂けるでしょう。

 では、この契約があっても出来ない事、とはどういったものがあるでしょう?

 上記に挙げた諸々の事務作業、どれをとっても大なり小なり「先立つもの」は必要な事柄です。 当然ですがこれらの事務費用は契約者が負担するものです。 ではその費用の引出はそうすれば? 

 ~死後事務委任契約の受任者なら、この契約を以て故人の口座から葬儀費用を引き出せる?~

 実際に起こり得るケースとして、おひとり様が死後の事を考えて、生前に相続人ではない専門家と契約を締結し、その後亡くなった場合は事務作業に要する費用はどうなるのでしょう。

 実際の金融機関に問い合わせてみたところ、ゆうちょでは原則は遺言書か遺産分割協議書以外は受け付けません。
また死後事務委任契約も、最低限公正証書になっていなければ検討の余地もないそうです。

 事例としたようなおひとり様で相続人が不在の場合は、遺言執行人か相続財産管理人による申立以外は、対応は難しいとの事でした。 

 天涯孤独の身の上で、遺言書を用意せず、財産管理人の選定もしないままに急逝したような場合、故人の意向を表したものがこの死後事務委任契約だけであったとしても、原則に変わりはないでしょうとの事でした。 ただ公正証書の契約書であれば、内容を精査して次善の手続きについての判断を下すことは可能だそうです。 どちらにしても手続きにはかなりの時間を要することは確実で、事務処理費用への対応には間に合わないと考えておくべきでしょう。

 やはり、金銭に絡む事はこの契約であっても効力は期待出来ないと思って下さい。

 この場合、契約と同時に受任者は事務手続きにかかる推定費用相当額を、事務手続き用費用専用の口座を設け、受任者用の費用を預託しておき、相続財産とは分離させておく必要があります。 無論口座の名義は契約者名義にしておきます。

 この点が、気がかりと言えば、気がかりな点でしょう、何しろこの口座を使う時には自分はこの世にいない訳ですから、受任者が契約通りに遂行してくれるか? おカネだけ頂いてサヨウナラ・・・ と疑心暗鬼になってもおかしくはありません。

 ですから、契約者として悔いのない相手を吟味して、この契約の受任者になってもらうしかないのです。 この点は任意後見契約の場合でも同様で、自身の判断能力が衰えた後に契約受任者が契約通りの行動をしてくれるかはひとえに人選に係ってくるのですから。

 どうにも決断が下せないとなれば、遺言信託や生命保険の活用で事務処理費用を確保しておくしかありません。

 死後事務委任契約は、成年後見契約とセットで結ぶケースが良く知られていますが、心身ともに健全で後見契約の必要は無くとも、おひとり様で一人暮らししているような場合には、周囲に対する気遣い、最後の備えとして用意しておく事を検討して欲しいと思います。



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https://mbp-tokyo.com/office-terada/inquiry/personal/


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 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル7階ハローオフィスC-3
  03-5157-5027(TEL) 平日は10:00~19:00
  03-5157-5012(FAX) 24時間対応

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