コラム

 公開日: 2016-02-25 

相続のルールが変わる? ~進む改正作業の中から

 早いもので2月も終わりが近いです。 もう1年の1/6が過ぎ去ったんですね~


 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 あくまでも、現在進行形の話ですが、我々世代には身近な法律になる「相続法」の見直しが進んでいるというニュースがありました。

 その中から多くの場合に当てはまる例について紹介したいと思います。

【配偶者の法定相続分は1/2】


 夫が亡くなった場合、配偶者が1/2、子供がいれば(人数に関係なく)1/2というのは相続に関して、当たり前すぎる常識と言えますが、現実の問題として、財産と言えるようなものが配偶者が暮らす家しかない場合に、子供が「法定相続分の主張」を曲げなければ、1/2相当の遺産を配偶者(母)は用意しなくてはいけません。

 その為に、泣く泣く思い出の詰まった実家を手離すという事態に陥っているケースは少なくはないそうです。

 よく事例として目にするものに、子供のいない夫婦が店舗兼住宅しか財産が無く、夫が急逝した場合に遺言が無いために夫の親や兄弟姉妹に法定相続分が発生し、日頃の人間関係の結果、相続分の主張を止めない為に、遺された配偶者は店舗も住む家も処分せざるを得なくなったというのがあります。

 実の子供でも、親との関係がうまく行ってない場合、遺言書の有無にかかわらず、この危険性は避けられれないのです。

 今協議されている試案として
・ 相続開始の時に居住していた建物の「長期居住権」を認め、
  高齢の配偶者の場合の生活保障を考慮する。
・ 上記と同じ観点から、20年以上の婚姻期間が有った場合には
  法定相続分を今の1/2から2/3へ引き上げる。

 これで万事解決、となるでしょうか? いえ、この逆のパターンもありますね。
例えば、長年連れ添った配偶者と死別後、再婚した場合等、極端に言えば再婚後1年前後で被相続人が亡くなった場合においても、再婚相手(=配偶者)には1/2の法定相続が認められています。

 20年以上の場合に引き上げるならば、引き下げる規定もあって然るべき! という声も出ているようです。 確かに子供の側から見れば、いきなり現れてきて1年足らずで遺産の半分を「持って行かれる」となれば、釈然としない気持ちになるのも致し方ない事ですね。


【寄与分の要件は被相続人の財産維持か増加の場合のみ】


 長男は海外で仕事、その為次男が何十年にわたって病床の親の介護を続けてきた、何にも一切、介護の手助けをしてくれなかった長男と遺産相続が同額と言うのは納得できない!

 とはいっても、現状の相続法の規定ではあくまでも寄与分と認められるものは原則として、「被相続人の財産の維持に努めてきた、またはその増加に特別の働きが有った」場合に限られています。

 親の世話、面倒を看るのは「親子として当たり前の事」というのが今の考えです。

 とはいえ、実際の介護にかかわった場合の苦労は並大抵の事ではありません。
そういった現状を背景に、寄与分の規定に「長期間にわたって親の介護に従事した」等といった項目の追加を検討しているようです。

 但し、この場合も「あくまでも相続人が」「介護に従事した場合」となっているので、次男の嫁が事実上すべての面倒を看ていた場合でも、嫁には寄与分は認められません。 この点はまだまだ課題になる事でしょう。


【自筆遺言は厳格な様式で】


 私も開催するセミナー等で「自筆証書遺言の完成までの厳しさ」については何度も口にしています。 全文自筆である事、訂正の場合の押印の細かな規定、解釈に疑義を生じかねない文言の排除等、いきなり初心者(?)が完成形を作成出来る筈がないほどです。 

 具体的な事例は判りませんが、条件のある程度の緩和が検討されるようです。


【遺留分減殺請求は家裁でなく地裁で】


 冒頭の事例の様に財産が住居しかない場合、諦めの悪い相続人(子供)がいると、「遺留分減殺請求」を主張します。これはご存じの通り、法定相続分の1/2は遺留分として法定相続人い認められた権利となっています。

 例えば、3人兄弟の内末っ子を溺愛した被相続人が遺言書の中で「全額を末っ子に相続させる」とした場合でも、他の兄弟には元々の法定相続分である1/3の半分、1/6は相続の権利が認められています。 何の落ち度もない2人が被相続人の身勝手で正当な権利を侵害されない為のものなのです。 が、これも逆の見方をすれば、どうしようもない「放蕩息子」で勘当したいほどの迷惑を家族にかけ続けてきたとしても、遺留分は主張できるのです。 諸刃の剣とまでは言いませんが、平等とは「場合によっては」不公平になるという事例でしょうか。

 この遺留分減殺請求は「共有物分割」を巡る争いとなる為、家裁ではなく地裁での手続きとなってしまいます。 その為本来相続紛争は家裁が管轄しているのですが、地裁での審議となる事でより問題解決の長期化になってしまう事がありました。

 その為、改正案では遺留分減殺請求も含め家裁で一括して解決が出来るように見直すことを検討しているようです。


 以上、これらの改正案を朗報と捉える方は多いでしょうが、まだまだ改正の作業中です。 これで案がまとまり居本化されて国家に提出されて、そこから数年先でしか施行には至りません。

 まだまだ先の事ではありますが、この様な動きがある事は知っておいて損はないと思います。


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