コラム

 公開日: 2016-01-07  最終更新日: 2016-02-01

相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例とは?

  2016年も早や1週間が過ぎました。 そろそろ仕事モードに入りませんと!

 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 さて、今年最初のコラムは・・・・

 相続が発生し、遺産の分割はスムースに終了したものの、相続税の納付の資金繰りの問題や好条件での売却の申し入れ等から、相続した土地を売却によって譲渡し、所得を得た場合、「譲渡所得税」が発生します。 

 この時に、売却のタイミングによって税負担が「軽減」になったり、「増加」になるという問題を採り上げました。

 以下、具体的な数字で紹介していきます。


【相続税の計算】

 まずは、相続税の正確な算定です。
 仮に兄弟2人が相続人で母親から1億円評価額の土地と現金預貯金等1億円、計2億円を相続したとします。
兄が当該の土地の一部で商売をしており、相続は兄が土地全て、弟は全ての現金預貯金の折半で了解を得たとします。

 おさらいになりますが、この時の相続税は以下の算式で求められます。

 2億円 - (3,000万円+600万円×2人)= 2億円 - 4,200万円= 1億5,800万円が課税対象財産ですね。 
 今回は単純に2人で均等割りですから、一人あたりは7,900万円づつとなります。

 相続税率で見ると1億円以下の30%に該当します、更に700万円の控除が適用されるので
7,900万円×30% = 2,370万円 
2,370万円 - 700万円 = 1,670万円が 一人あたりの相続税額になります。


【取得費加算の特例とは?】

 さて、2015年1月の相続税法の改正で「相続税の取得費加算の特例」と言う制度も改正されたのはご存知でしょうか?
 
 これは、相続した土地を売却した際の所得税が軽減されるという従来からある制度で、相続税だけでも悪戦苦闘の末に納付したものの、生活の為等の理由で相続した土地を売却した場合に、さらにそこへ通常の所得税を課すのはいかにも「過酷」という考えから(?)軽減措置が図られたものです。

 ですが、この特例も改正後は「縮小」されています!

 改正前の制度は、相続した土地全てに対して所得税軽減効果がありました。 仮に先の事例で土地の半分を売却したとしても対象は全ての土地となります。 ここが改正後には「売却した土地」だけが対象になるのです。

 改正前: 相続税(1,670万円)×売却した土地(5,000万円)+相続したままの土地(5,000万円)/相続した全ての土地(1億円) = 1,670万円× 1億円/1億円で 1 = 1,670万円丸々が取得費に加算出来る相続税額になります。

 改正後: 相続税(1,670万円)×売却した土地(5,000万円)/相続した全ての土地となるので、1/2となり、835万円だけが取得費加算の対象になりました。

 仮に5,000万円の土地を6,000万円で売却したとすると、その差額1,000万円となります。 これに先に挙げた加算額を加えますと、改正前では2,670万円、改正後は1,835万円を相続時の価額5,000万円から控除します。

 改正前は 5,000万円 - 2,670万円 =2,330万円
 改正後は 5,000万円 - 1,835万円=3,165万円

 それぞれに「譲渡所得税率」をかけて「譲与所得税額」を算出します。

 譲渡所得税率とは、所得税15%、住民税5%の計20%、さらに現時点では所得税に「復興特別所得税」2,1%が加算されます。 15%×2,1%=0,315%が加わり、総計で20,315%が最終の税率となります。

 まとめてみましょう。

 改正前は 5,000万円-(1,000万円+1,670万円)=2,330万円  
        2330万円×20,315%=約473万円

 改正後は 5,000万円-(1,000万円+835万円)=3,165万円  
        3,165万円×20,315%=約643万円

 結果170万円も「増税」になった訳です・・・


 【改正前の相続ならば・・・】

 テレビCMではありませんが「もう少し早く紹介してよ~」とお叱りを受けるかもしれません。 ですがこの制度には「相続税の申告期限から3年以内」であれば、特例が適用されるという内容になっているのです。

 相続開始から3年10ヶ月以内であれば、この特例が適用され、改正前に発生した相続(2014年12月末まで)で土地を取得し、まだ3年10か月の期間を過ぎていないのであれば、先に挙げた改正前の基準で課税されるのです。

 遠くない将来に不要不急の土地を売却する意向があるのでしたら、このタイムリミットを十分意識して下さい。 タイミングによっては 事例の様に170万円の「節税」、になるか、「無駄に」170万円多く納税するかの分かれ道になります!


【最後の注意点】

 最後に、注意事項を一つ付け加えておきます。

 相続した土地は、確かに評価額5,000万円と言う証拠があるものの、では購入時の価格がいくらだったのか?
上記の事例ではパターンを単純化したので取得費、評価額共に5,000万円としましたが、実際には取得費と評価額は異なる場合が多いようです。

 案外購入時の価額は不明朗、不明と言うケースが多いのです。 「祖父の時代には土地はあったが、何時購入したのか?」 「父親から最近土地の事を聞かされ、詳細を聴く前に亡くなってしまった。」等等、今からの調査はお手上げと言う場合にはどうすればいいのでしょうか?

  この様な場合、「恨みっこなし」で、一律購入額は「売却価額の5%」と規定されています。 

 先の事例で、購入額が不明の場合には、売却額6,000万円×5% =300万円 
これだけが加算される訳です。 1,000万円と300万円では、軽減される額にかなりの差がつくのは必至ですね。

 不動産の登記簿などはしっかりと保管、管理されるケースは多いのですが、祖父や父親が購入した際の価額について、把握されていますでしょうか? せっかくの節税の恩恵を100%享受するためにも、こういった情報の確認は怠らないようにして行きましょう、また「遺す側」も責任の一端として、この様な資料の保管にも十分な配慮が必要かと思われます。

 
 なお、この特例の適用を受ける際には、「相続財産を売却した翌年の3月15日までに」 所得税の確定申告をする事が必要になりますので、この点にも留意して下さい。 


 最後に、今回の特例について掲載されている国税庁のHPを紹介しておきますので、より詳しい内容を知らいた方はこちらからどうぞ。

 相続税の取得費加算の特例

 譲渡所得の税額計算など
 ※ちなみに今回紹介した事例は、「長期譲渡所得の税額の計算」に該当するものです。




  この件に関してのご相談やお問い合わせはこちらからどうぞ。
https://mbp-tokyo.com/office-terada/inquiry/personal/


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 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル7階ハローオフィスC-3
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