コラム

 公開日: 2015-12-17 

生前贈与の落とし穴 ~親子間での不動産の賃借と売買

 週の後半からは忘年会の連戦です! ただ翌週は予定を入れていませんから、帳尻は合うはず??

 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。



 親子間で発生する生前贈与の問題についての第3弾となりますが、今回は、親の財産を子が「タダで」使う場合の注意点についてです。


【使用賃借と賃貸借契約】

 タイトルだけでは何のことやらわかりませんね? 似て非なる2つの形態について紹介しましょう。

 仮に親の名義の土地が、それなりに利便性の高い一角にあり、当面何も使用する目的が無い、ちょうど息子夫婦が地元に戻る事となり、いずれは息子のものになるのだからとその土地の上にマイホームを建てさせ、無償で土地を貸したというケース、 この様に親の土地を子が「無償で」使用する場合を「使用賃借」と言います。

 一瞬、親の財産を独占的に使用する訳ですから、「これは贈与だろう」と思われがちですが、贈与税の課税対象にはなりません。 

 これに対し、地代を課す、地代を支払うと言った契約を結んで土地を使用する事を「賃貸借契約」と言います。



【ふたつの相違点は?】

 定期的な地代の発生の有無という相違点は、上記でお判りでしょうが、他にもっと大きな意味を持つ違いがあります。

 それは「借地権」の有無です。 使用賃借の場合は借地権は認められません。 仮に地代は払っていないものの固定資産税はこの負担としているような場合でも基本的に「使用賃借」として扱われます。

 借地権が認められるのは、地代をとる「賃貸借契約」になります。 通常借地権はその土地によってその比率が決められますが、借地権がある事によってその土地が「貸宅地」となるのでその分だけ「相続税評価額が低くなります。」

 大雑把な例ですが、1億円の土地に借地権があり、その比率が70%としましょう、そうしますと1億円×70%=7,000万円が減算されて相続税評価額は3,000万円になるのです!

 さて、そうなりますと親子と言えどもキチンとした賃貸借契約を結び、実際に地代を支払う事で後の相続税を大幅に減らすことになりますね。 

 目先の出費を節約するか将来の相続税の節税か、選択肢としてはどちらが魅力的でしょうか?

 ですが、賃貸借契約にも注意点があります。

 これはその地域によって違いはありますが、借主は貸主に対して権利金(土地の借地権設定に対して)を支払う慣習がある場合、これもキチンと(親子と言えども)支払っておくことが求められます。

 親子だからそんなものは要らないよ、と無視していた場合、後になって「権利金に相当する額の生前贈与」と見做される事があります! これを「認定課税」と言いますが、地域事情をよく調べておきませんと税務調査の際に「摘発される」事にもなり兼ねません。

 別に宅地でなくとも、親名義の遊休地で子が物販やその他商売を始めたりしても同様の事です。 

 「タダほど怖いものはなし」 というのは 親子間の場合でもしっかり当てはまるのです。
覚えのある方は、やらずもがなの納税をする事態にならない様、ご注意下さいね。
 


【格安での売買で贈与税を免れる?】

 次に、親が所有する不動産、例えばマンション等を子に「格安で売却」したらどうでしょう?
「タダで渡すから贈与と見做される、ならば、売買の形式をとれば贈与にはならない。」

 一見、その通りなのですが、問題はその売却価格です。 

 親子だから通常の半値でいいよ、等と勝手に判断して市場価格で5,000万円前後の物件を子に2,000万円で売却したとしましょう。 通常の時価と比べ半値以下です、差額相当の3,000万円分はどういう扱いになるでしょうか?

 当然「3,000万円の贈与」と判断されます。 親族間、特に親子間での不動産売買には税務署も殊の外「熱心に」その内容を調べるそうですから、下手な隠し立ては却って墓穴を掘る事にも?

 また初めから「堂々と贈与」でこの物件を子に渡した場合、贈与税の課税基準はその不動産の相続税評価額となります。 多くの場合不動産の相続税評価額は時価を下回る為、場合によっては下手な売買での財産分与よりも「節税」になる事があります。

 実際はその物件の市場価格や売買価格によって課税額も変動しますので詳細については省きますが、下手な親子の情は却って税負担が増すだけにもなり兼ねません! この点も事前によく情報を収集してから判断するように心がけましょう。






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