コラム

 公開日: 2015-08-31 

要注意! 相続・遺言で押さえておくべき4ポイントとは?

 8月最終日は月初めが嘘のような「涼夏」での締めくくりとなりました。  日中は過ごしやすいのですが、体調管理には注意が必要になりますね。



 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 8月の締めくくりは、実際に体験した相続や遺言相談の中で「これは皆さんも知っておいて損はない」と思った内容をランダムに紹介したいと思います。


 

【① 遺産分割協議と判断能力のない相続人】


 家長が急逝したため、遺言書の用意がされてなく、相続人全員で遺産分割協議を行う事になったのですが、子供の一人が事故の後遺症で意識が無いままの状態で治療中でした。 母親が子供の代理として協議に臨みたいというものでしたが、この場合は家裁に「成年後見人」の選定が必要になります。 よく後見制度=認知症の場合の制度とイメージされがちですが、事故やその他の病気で脳死状態や意思を伝えられなくなった事例は数多くあります。 この場合にも本人の相続が不利にならない様「代理人」を選任して協議に参加させないといけません。

 無論、遺言書が存在し、そこに「遺言執行人」が明記されてあれば、分割協議自体が無用になり、遺言書に沿った形で相続手続きが進められます。


【② 遺産の内容が不明】


 これは遺言書が無く遺産分割協議を行った家族と、自身の財産の詳細が把握出来ていない被相続人本人からの異なる立場の方からの相談でした。

 相続税は原則として、相続発生から10ヶ月以内に相続財産を把握し、そこから算出された相続制を申告し、納付しなければいけません。 となると、相続財産の全貌がわかっていないと、それだけで大きく期間内手続きの出遅れとなるのです。

 特に、親と同居していた相続人だけが故人の財産を管理しており、独占的に相続財産の情報を握ったまま、他の兄弟姉妹に遺産分割の提案をしてくる場合等は要注意です。 こういう場合は他の兄弟の探索も徹底的なものとなり、時間があっという間に過ぎていくものです。 10ヶ月など、迫ってきます・・・

 この様な場合や、争いは無くても故人の管理がズボラすぎて「探索場所の特定」にてこずっているような場合でも、相続税は「一切情状酌量の余地なし」です!

 ですから日頃からある程度の相続財産の実態は調べるなり、親から聞き出しておき、漠然とした額でいいので暫定的な相続財産を算定し、法定相続分での相続を仮定して、相続税総額を算出して、各自実際に相続する遺産の比率から按分して税額を算定し、申告・納付するのです。 その後詳細な相続財産が判明すれば、改めて相続税を実態に即した形で再算出して、過剰・過小な場合には修正申告をするのです。

 幸いにも遺産分割協議の相談の遺族の方は兄弟仲が良く、暫定額からの算出で対処する事になり、被相続人の相談者は自覚を持って財産調査をする事を決意してくれました。


 【③ 控除や特例適用の条件に要注意!!】


 相続税の場合、いろいろな特例や控除が定められています。 よく紙面に紹介されている相続税額早見表等の一般的な相続財産と相続人の人数から割り出した税額にはこういった控除等は適用していませんので(個別事情で大きく異なる為)ほとんどの場合は、表記額よりは「安く」収まるケースが多いようです。


 例えば、配偶者控除では相続財産の法定相続分の半分以下(=50%まで)か、1億6千万円までであれば相続税は課税されませんし、小規模宅地等の特例では条件を満たせば、評価額の80%控除が適用される等、莫大な節税効果となるのですが、あくまでも申告期限内の申告があってこそです。

 厳密に言えば、配偶者控除や小規模宅地等の特例が適用されるのは原則として以下のケースのみです。

・相続税の申告期限までに遺産分割が行われている。 ~相続発生から10ヶ月以内。
・申告期限から3年以内に遺産分割される。 ~但しこの場合はいったん特例無しの条件で納税します。

  僅かな取り分に固執して不毛の争いを続けていますと、取り分以上の高額な税金を納める事に?!

  さらに、自分たちでの計算の結果、確実に適用範囲の相続財産だったので「無申告で済ませる」事は出来ません。
申告は必ず必要です。 その結果対象と判断され、控除の適用となるのです。 

 控除や特例に関しては、各窓口で用意されている「相続税の申告書」というフォーマットがありますので、事前に入手して内容を把握しておく事が大切です。

 

 【④ 保険金での相続の勘違い】


 現在の相続税の基礎控除額は、「3,000万円 + 相続人の人数×600万円」 ですね。

 仮に相続人が子供だけ2人だった場合に、被相続人が長男を受取人にした死亡保険金3,000万円とその他の財産総計で1,000万円だった場合、合わせても4,000万円、先の計算から基礎控除額は4,200万円なので「枠内」ですから相続税はかかりません。

 ですが、兄弟の仲が良く、または弟に高額な出費があった等で兄の快諾の元、死亡保険金から1,000万円を弟に渡す・・・?
この場合は貰った弟には「贈与税」が課税されます。

 保険金はもともと「兄の固有財産」であり、相続財産には含まれません。 弟の相続財産はその他財産の総計1,000万円の範疇でしかなかったのです。

 実際には滅多にない「美談」ですが、良かれと思った事が却って課税強化となるという事例でした。
 


 最後に、これは聞いた話ですが、遺言書があったのに、相続人全員がその内容に同意せず、遺産分割協議を開催し、相続人全員の同意の下に、新たな遺産相続が成されたのですが、遺言書に明記されていた「遺言執行人」の同意が無いままの相続であった為、無用のトラブルを生じたという例がありました。

 確かに、相続人全員が合意すれば遺言書の内容は覆せます。 遺言書に対抗できる唯一の対抗手段ですが、遺言執行人が指定されていた場合はその方の同意も必要になるのです。 多くの場合は執行人は配偶者や長子が指名されていますから相続人全員の同意=執行人も同意となりますが、中には専門家の第三者を指名している場合があり、この場合は第三者に新たな相続内容の同意を得る必要があります。 後日第三者がこの事実を知った場合、悪くすると、遺言書通りの相続をしたと見せかけて、兄弟間での「贈与」や相続財産を無断で交換したと判断され兼ねません。 最悪な場合、改めて「厳しい」税務調査の洗礼を受ける事もあるのです!!

 
 いかがでしたか? 「~だろう、~大丈夫なはずだ」 で進めては、しなくてもいい大火傷をする場合があります。

 何か疑問や不明な事があれば、遠慮なく税務署の窓口に相談したり、私の様な専門家にお尋ね下さい。 



  この件に関してのご相談やお問い合わせはこちらからどうぞ。
https://mbp-tokyo.com/office-terada/inquiry/personal/


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