コラム

 公開日: 2015-08-24 

 自分で遺言を書くならば

 世間的には給料日前の月曜日ですね、 今日の新橋の夜の人出はそれなりに控え目になりますかどうか?


 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。



 今年のお盆前はいつになくお墓と遺言の相談や業務が重なりました。 どうもこの時期なら親族一同も集まり易く、また久々に実家の親の顔を見て、高齢化の現実に直面してその時の為の備えを現実問題として考え始めたようです。

 その中で、自筆で遺言を遺したいという相談に関して、気付いたことを中心にまとめてみました。 自筆と書きましたが、公正証書の場合にも通じる内容でもあります。



【 相続人を確定する。】


 ご存知かとは思いますが、配偶者は常に相続人になります。 そして子供がいれば子が第一順位の相続人。 子がいなくて親が健在な場合は親が第二相続人、親も子もいない場合には第三相続人として兄弟姉妹となります。

 稀にですが、親、兄弟、子供宛ての相続を書こうとしている相談者の方がいらっしゃいますが、子供がいれば子供だけが(配偶者と共に)相続人です。 親や兄弟に相続権は発生しませんから、強いて記載する必要はありません。

 子供がいる場合ですが、先妻との間に子供がいた場合は慎重な対応が求められます。 その事を今の家族が知っていればいいのですが、事情があって伝えてない場合は概ね、争族と化していきます・・・

 少しでも遺された家族の負担を軽減したいのであれば、生前にその事実を明らかにして、相続人の確定を明確にしておきましょう。


【財産を確定する。】


 財産の中に不動産がある場合は、何をおいても登記簿謄本(全部事項証明書)で名義の確認をします。  間違いなく自分名義になっているか? 必ず確認が必要です。 加えて言えば、実際の土地の場所を自分の目で見たことがあるかも重要です。 書面上では宅地とあった土地が相続後出向いてみたら、鬱蒼とした森だったという話や、誰かが勝手に畑にしていたという悲喜劇を聞いたことがあります。

 今の住まいである土地や家屋も、勝手な判断で現在の住居表示で書いてしまうケースも少なくありません。 あくまでも謄本記載のままの住所表記で書きませんと、内容不備でやり直しとなります。

 預金通帳、証券口座の資料、生命保険証券等は金融機関名や支店名、預金の種類や番号等を漏れなく記載しますが、預金残高等はあえて書くことはありません。 現在の生活に使っている通帳ならば日々残高は変動しています。 いざ遺言書を開封したら記載された残高と大きく違っていたという事で、却って相続人間に混乱を招くかもしれません。

 また銀行は近年の合併、統合などで名称が変わっていたり、口座を開設した当時の支店がなくなっているケースが目立っています。 遺言書に記載する場合、現在名で記載するか、開設時の名称で記載するかの判断はお任せしますが、何よりも遺された相続人の手間にならないような配慮が必要です。

 さらに、貴金属や美術品等はその道に明るくないと価値が判らないものが多いですから、公の評価となる鑑定書やそれに類する資料等の有無や保管場所等を記載しましょう。 相続時に価値が判らず、後日かなりの高価値の品と判明した場合、遅れてきた争続の発生というケースもありますから・・・


 不動産、金銭、貴重品、全てもれなく記載した…と思っていても漏れはあるものです。 自分ですら忘れていた財産が発見された場合んを考えて、「他に財産が見つかった場合は全て誰それに相続させる。」と言った内容の一文を入れておきます。  また、「相続人全員で協議して決めること。」 といった一文でも構いませんが、たいていの場合揉めます。


【遺留分を意識する。】


 法定相続人には、法定相続分の1/2は「遺留分」として受け取ることが出来る権利が保障されています。  仮に面倒を見てくれた子供への相続分が無意識に法定相続分を越えていた場合、他の子供との間に遺留分減殺請求での争いの恐れがあります。 各相続人への相続分の計算は慎重に行って下さい。 

 蛇足ですが、相続放棄と遺留分の放棄は扱いが違います。
相続放棄はあくまでも「相続発生」があっての選択になりますから、生前に推定相続人が相続放棄をする事は出来ません。 但し、遺留分放棄は相続人健在のうちに推定相続人が選択する事が可能です。 被相続人に特定の相続人に強い思い入れがあるのならば、その旨を他の相続人に伝え、納得の上で遺留分放棄を約してもらう事は可能です。


【自筆で書く、誤字脱字なく書き上げる。】


 自筆の場合、レポート用紙に鉛筆書きでも十分効力は発揮します。 ですが保存性の面から考えれば最低でもボールペンなどで書くことをお勧めします。

 内容に一か所でも不備があれば、遺言書自体が無効となる恐れがありますから、記載には慎重を期しましょう! 登記簿からの書き写しの際の誤記や、金融機関の支店名の誤記、口座番号の誤記や書き忘れ等には要注意です。

 とはいえ、人間ですからミスはします。 それも最後の最後でミスに気付いた、またついうっかり書き損じた様な場合、すべて一から書き直すのはかなりのショックでしょう。 ミスはこの一か所だけなのだから、なんとか訂正で済ませたい、一つの文節全てを訂正は難しいですが、数字やワンセンテンス程度であれば訂正は可能です。 

 まず、訂正する文言を二重線で消します。 但し誤表記の文言が読めるように消す事、 誤記した文字を等を塗り潰してはいけません。 訂正箇所の上下近い箇所に正しい文言を記載して、末尾に訂正印を押印します。

 最後に、欄外に〇行目〇文字削除〇文字加入(挿入)と記載し、末尾に署名して完了です。

 個人的見解ですが、たとえ数字ひとつの書き間違え、書き損じでも何ページにもわたる場合は最初から書き直す事です。 貴方の相続人に遺す最後の便りでもある遺言書が、訂正箇所だらけというのは、如何なものでしょうか?


【NGワード?】


 遺言書に書いてはいけないNGワードというのがあります。

財産のうち、〇〇を「委ねる、任せる、託す」 等のどうとでも解釈出来るような曖昧な表記はNGです。 

誰に、何を、「相続させる。」 または「遺贈する。」  この表現を徹底するようにして下さい。


【遺言執行人を決めておく。】


 以上の注意点に気を付けて、相続人は網羅して、財産も全て把握し、表現にも遺漏なし、これで自筆遺言も完璧に出来上がった。 これにて一件落着!?

 なのですが、詰めの徹底の為には、最後に「遺言執行人」を決めておき、明記しておくことです。 

 これが書かれてなくても遺言書の効力には影響はありませんが、では実際の相続の手続きは誰がやるのか? 名義変更や各種の届出、申請等相続人がばらばらに進めるのはどうにも非効率的です。 通常執行人が指定されていない場合は長男や配偶者(夫が遺された場合が多い)が自然にその任に就きますが、出来れば遺言書で執行人を指定しておく事で相続人の手間を省いてあげましょう。

 無論、家族内から選ぶだけでなく、顧問弁護士や交流のある、信頼に足る専門家に事前に依頼して、執行人に就いてもらっても問題ありません。 むしろ第三者の方が冷静かつ迅速な手続きが出来る場合が多いのです。



 【最後に】


 自筆遺言は、勝手には開封できないものです。 相続の発生後、速やかに家庭裁判所に提出し「検認」を受けます。 その際は相続人全員の戸籍謄本と遺言書を合わせて提出し、概ね1ヶ月前後で検認日の連絡が来るので、そこで初めて遺言内容が相続人に明かされることとなります。  

 相続税の申告と納付までの期限は相続発生から10カ月という事はご存知でしょう、そのうちの1ヶ月を検認までに空費するとも考えられます。 残る9ヶ月の間に相続を確定し、諸手続きを済ませ、相続税を確定し、申告・納付を済ませなくてはいけません。 場合によっては相続人に過剰な負荷をかけることにもなるのが自筆遺言、という見方もあるのです。

 

 このお盆休みに、真剣に相続を考えられた貴方は、次は遺言書の遺し方を慎重に考えてみて下さいね。


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https://mbp-tokyo.com/office-terada/inquiry/personal/


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