コラム

 公開日: 2015-08-14 

見直し進む成年後見制度

 世間はお盆休みの週ですが、この機会に郷里に帰って一族と顔合わせするというのは、今の時代でも結構多いようです。

おかげで、先週来、改葬相談や、親族一同に会した中での相続・遺言書のミニセミナー開催と「季節由来の業務」に忙殺されています。  私のお盆休みは いつ?


  お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 さて、私を含めたおひとり様の将来にとって、大きな存在となる「成年後見制度」ですが、最近の知名度の浸透にも拘らず、利用率は芳しくありません。 昨年末時点のデータでは、約460万人と推定される認知症の高齢者に対し、利用者は18万5千人程度に過ぎません。

 
 親族がいる場合であれば、親族の誰かが後見人になるケースが普通でしたが、最近は一人っ子や、未婚・非婚者の増加、親族との交流の疎遠化などで、私の様な士業の専門家が、第三者後見人として就くケースが急増し、今や2/3近くは第三者後見人が占めているそうです。

 そうなると、なかなか後事を託すに赤の他人? という心理的障壁や、予備知識の不備から一種の「食わず嫌い」となり、決断できぬままに時間だけが過ぎていくという形で、利用者の増加に支障をきたすのでしょう。

 逆の立場では。「報酬の問題」もあります。 通常は被後見人の資産から家裁の決済で決められた報酬が支払われますが、概ね月3万円前後で、さらに財政事情に難ありの後見人であれば、無報酬に近い場合もあり得るのです。

 なかなか、率先して手を挙げるには厳しい報酬額である事は否めません。

 加えて専門職の後見人の絶対数も不足しています。 最近は市民後見人と言う制度の浸透を図り、地方自治体が育成講座などを開設するなどして、なり手の育成と拡充を目指しています。

 しかしながら、残念な事ですが、親族、第三者問わず後見人の被後見人の財産の使い込みや着服といった不祥事は絶える事がありません。 このようなニュースを耳にすれば、やはり利用を躊躇する気持ちもわかる気がします。

 信頼に足る後見人を充実させるには、相応の報酬が確定していることです。 人間、きれいごとだけでは動かないのが実態ですから。



 また制度自体の見直しとしては、これまでは制約の多かった「死後事務」に関する後見人の権限の拡大があります。

 亡くなった被後見人の葬儀(火葬から埋葬まで)の手配や支払、入院中であれば死亡までの治療費を含む費用の支払い等を被後見人の資産で賄う場合の権限を拡大することや、死後ではないですが、被後見人宛の郵便物の開封を含めた保全管理を認める方向で民法の改正を検討中です。

 また従来から問題とされていたおひとり様の被後見人に緊急手術が必要となった場合等の医療行為に対して、後見人に同意権を付与するかどうかも検討に入るようです。  

 
 後見人だけでなく、被後見人への配慮もされており、これまで制限されてきた各種権利の見直しも検討されています。

 冒頭で書いたように460万人に達する「後見を必要とする予備軍」は待ったなしの状態です。 なり手が少ないなら、報酬面と権限を見直し、なり手の増加を促進すると共に、被後見人の権利も最大限の見直しを図る事で、託す側の不安要素や課題を軽減させるといった「両面作戦」での制度見直しは大いに進めてもらいたいものです。



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