コラム

 公開日: 2015-07-31 

中小企業に朗報!? 経営円滑化法とは?

 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 7月最終の話題は、恥ずかしながら相談者の方から聞いて初めて知った内容で、大いに反省したものを採り上げてみました。

 それは、「経営円滑化法」というものでした。

 見苦しい言い訳ですが、この法律を(その内容を)ご存知の方は、まだそうは多くはないかとは思います。


 これは最終的には今年の5月27日に改正された法律で、更に正確な名称では中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律 といいます。


 まだまだ私自身不勉強で完全な理解には至っておりませんが、主な業務分野である「相続」にも関係してくる法律なので、その部分を主体に簡潔にまとめてみました。 まずは、お披露目の第一回目、という位置づけと思って下さい。


 

【この法律が出来た背景】

 日本経済の根幹をなすのはなんといっても中小企業です。地域における雇用の確保に貢献し、マニュアル化出来ない優れた技術の多くを生み出し維持発展させているからこそ、世界に誇れる製品を生み出せるのです。

 そのような中で、この技術を有する中小企業が何らかの理由で経営の継承が困難になり、閉店や倒産に追い込まれる事は技術やノウハウの散逸、または消滅になる事が懸念されます。 このような事態を未然に防ぐ為に創設されたのがこの法律なのです。


【この法律に該当する中小企業者とは】

 詳しくは第一章(総則)第二条(定義)に書かれていますが、概ね以下の要件を満たす事となっています。

 ①製造業の場合
   資本金3億円以下
   常時使用する従業員300人以下(のどちらかを満たす事、以下同じ)

 ②卸売業の場合
   資本金1億円以下
   常時使用する従業員100人以下。

 ③小売業の場合
   資本金5,000万円以下
   常時使用する従業員50人以下。

 ④サービス業の場合
   資本金5,000万円以下
   常時使用する従業員100人以下。

 ⑤資本金の額や出資総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社、または常時使用する従業員の人数がその業種ごとに政令で定める人数以下の会社及び」個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの。

  加えて、一定期間以上継続して事業を行っている経産省令で定める要件に該当する会社であり、上場会社、店頭公開会社は対象外になります。


 

【構成は3部から】

 中小企業の経営承継を脅かす案件として、3つ採り上げています。

 一つは、経営者(代表者)の交替による信用不安の問題で、これへの対応として金融支援の中で特例が設けられています(中小企業信用保険法の特例と、日本政策金融公庫法の特例) ~詳細は略します。

もう一つは「課税特例」で、非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予制度と言うものです。 これは若干関係する内容ですが、これも今回は省略させて頂きます。

 そして3つ目が「遺留分に対する民法の特例」です。 これについて紹介していきます。


【遺留分に対する民法の特例】

一:遺留分の算定基礎財産から贈与株式等を除外出来る。

 「当該後継者が当該旧代表者からの贈与又は当該遺贈を受けた旧代表者の推定相続人からの相続、遺贈もしくは贈与により取得した当該特例中小企業の株式等の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない事。」  ~同法第四条の一より~


 要は、経営している会社の株式等が相続財産の中に含まれていると、その株券以外に主だった財産が無い場合、相続人間での分配の際に株式の売却をせざるを得ず、結果的に会社経営に支障が生じるようなケースがまま出て来ます。 

 この特例の適用は
 1)被相続人である先代の経営者の存命中に、
 2)経済産業大臣の確認を受けた後継者(長男など)が
 3)遺留分権利者(その他の相続人)全員との合意内容について家裁の許可を得る事

 この手順を実施する事で「後継者へ贈与された自社株式等、会社経営に必須な財産については、遺留分算定の基礎財産から除外出来る」のです。

 あきらかに法定相続分に足らない内容の遺言であっても、上記の理由に拠る特例の適用がされていれば、遺留分減殺請求の対象からは外されるのです。 後継者以外の相続人にとっては現実には遺留分を下回る相続で我慢する事にもなるでしょう。 なので、3)にあるような遺留分権利者全員の合意が条件とされているのです。


二:贈与株式の評価額を予め固定できる。 

「前号に規定する株式等の全部又は一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を当該合意の時における価額(中略)とすること。」  ~同法第四条の二より~


 生前贈与の後に株式の評価額が上昇した場合、遺留分の算定に際しては相続開始時点での価格での評価になってしまいます。 こういった場合を想定し、経済産業大臣の確認を受けた後継者が遺留分権利者全員との合意内容について家裁の許可を受ける事で、遺留分算定時には当該合意時の評価額で予め固定できるようにしました。

 これによって遺留分算定額が予想以上に高騰したために、やむなく会社の株券などを手離すような事態を避ける事に繋がります。


【事例】


 分かり易くするために、非常にシンプルな前提としましょう。
自分で創業した会社を経営し、その株式すべてを保有していた社長兼株主の父親が死亡した。 既に配偶者は死亡しており、相続人は社業の一翼を担っていた長男と、弟2人の3人の子供だけである。 主な相続財産は、会社の株券等5,000万円、自宅等の不動産2,000万円、預貯金500万円の総計7,500万円とします。

 通常ならば、相続人3人で均等に相続となる為、各々2,500万円。 仮に弟2人から遺留分減殺請求が成された場合には1,250万円づつで計2,500万円分の遺産、または代償金を長男は払わなければなりません。

 長男に2,500万円の余裕があれば、これでも問題はありませんが、無い場合は株式の一部を売却せざるを得ないかもしれません。 

 こういう場合、経営円滑化法の 一: が合意されていれば、株式等の5,000万円は対象外になるので、遺された2,500万円を3等分した額(1人分約833万円)の相続、もしくは遺留分請求とすればこの半額の約416万円づつを弟2人に渡せばいいことになります。 会社は経営に支障をきたすことなく、長男に委ねられることになります。

 但し、上記にある様に、先代の存命中に後継者を決めておく事、相続人全員の合意が必要であり、更に後継者は経済産業大臣の確認を受ける事、合意内容については家裁の確認と許可を受ける事が前提です。

 

【申請マニュアル】


 最後に、実際に申請をしたいという貴方に向けて、紹介しておきます。

 下記のサイトは中小企業庁のHPにある、経営円滑化法適用の為の「申請マニュアル」のあるページです。
  申請マニュアル

 申請マニュアルは215ページの長編です。 長期戦覚悟で読み始めて下さい!?



  この件に関してのご相談やお問い合わせはこちらからどうぞ。
https://mbp-tokyo.com/office-terada/inquiry/personal/


  事務所の連絡先は 以下の通りです。

 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル7階ハローオフィスC-3
  03-5157-5027(TEL) 平日は10:00~19:00
  03-5157-5012(FAX) 24時間対応

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