コラム

 公開日: 2015-05-07 

自筆証書遺言 ~これでも大丈夫?!

 連休も終わり、ただでさえ意気の上がらない?今日に何故雨が!! 
東京は小雨交じりの仕事再開です。


 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 今回は、自筆証書遺言の場合で「意外にこれでもOK」という例外的な事項を判例を基に紹介したいと思います。

1) 自書
  自筆と言っている以上、自分で書くのが必須要件、大前提です。 自書した遺言書のコピーに署名押印しても遺言書とは見做されません。  では、今では珍しくなりましたが、カーボン紙での複写で作成された遺言書はどうでしょうか?

  これは、平成5年10月の最高裁の判例で「自書と認める」とされています。

  ちなみに、自筆であれば「日本語」でなくても書式に不備が無ければ、自筆証書遺言として機能します。

  では、認知症ではなく、判断能力は平常ながら利き腕を損傷したり、病気の後遺症等で独力で判読可能な文字が書けなくなったら自筆証書遺言は作成不可能でしょうか?

 これも最高裁の判例(昭和62年10月)で「作成者に自書の能力があり」「文字を書く際に他人の支えを借りただけ」で「他人の意思が介入した形跡」がないと確認された場合には、「自書要件を満たす」として有効とされました。

 では、自書であること=個人が間違いなく書き遺したものであるという「判断」は誰がどう下すのでしょう?
 
最も身近に故人の筆跡に触れてきたのは同居してきた家族等でしょうが、別居中の他の相続人が筆跡が違うと主張すればややここしくなります。

 仮に特定の相続人に有利な内容等であればなおさらでしょう。

 一般的には筆跡鑑定によって判断が下されるようですが、さらに厄介な事例があります。

 それは「両手利き」の場合です。

 家族にも強いて伝えていないものの、判読可能な程度で左手で文章が書ける人物が、何らかの事情で本来の利き手の右手に障害が発生したため、当人は深く考えないまま左手で遺言書を作成しておいたとしたら?

 内容に一点の不備はなくても、家族も見た事のない筆跡であったら家裁はどう判断するのでしょう? 

 用心に越したことはありませんから、日頃から「私は両手で字が書けるぞ!」と、何らかの記録を残しておいた方が後々もめ事にならない為にも必要な用意かと思います。

 なぜこんなマイナー事例を採り上げたかと言いますと、まさに私が、両手利きだからです。
とはいえ、私は遺す相手のいないおひとり様ですが(苦笑)



2) 押印
  これも最高裁の判例ですが、指印も可とされています。 印鑑証明の印でなければいけない訳ではないようです。

  またさらに例外的な最高裁判例で外国人が英文で自筆証書遺言を作成し、署名のみで押印が無かった場合もハンコの習慣が無いお国柄を考慮して遺言書として認めたケースがありました。


3) 日付
  正確な日付が記載されていないと遺言の有効性に支障が出る事はご存知でしょう。 複数の自筆証書遺言が発見された場合、それぞれ書式に不備が無ければ、最も新しい日付の遺言書が有効とされますが、この日付の書き方で「還暦の日」ですとか「満何歳の誕生日」に作成 と言う様な表現ではどうなるでしょう?

 これは、「OK」なのです。 還暦の日も 満何歳の誕生日も 唯一無二の日付である事から認められるようです。

   
4) 明らかな誤記
  明らかな誤記の訂正について、最高裁の判例では遺言の効力に影響しないとされています。

 具体例として適当かどうか、以前私が千葉市内に暮らしていたとき、正規の住所表記は「稲毛区小仲台」というものでしたが、友人知人の中には「小中台」 ひどい例では「小中大」という音感頼りで書いたとしか思えない表記がありました。ですが問題もなく届いていました。  誰が見ても「小仲台」と判断出来たから、あて先不明で返送にはされなかったのでしょう。

 前回のコラムでは丁目・番地の誤記は訂正が必須と書きましたが、このような町名の明らかな誤記については遺言書の効力には影響しないと判断されていました。 とはいえ、誤記が発覚したら書き直した方がいいのは言うまでもない事ですが。

 
 以上、自筆証書遺言の作成時の「意外な」判例でした。



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