コラム

 公開日: 2015-02-24  最終更新日: 2015-03-31

任意後見 ~おひとり様の終活2

 今日も暖かい日和です。 あと5日で3月ですからある意味当然?の変化でしょうか?


 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。

 
 今回からまた「おひとり様の終活」に関する記事を紹介していきますので、宜しくお願いします。


 おひとり様の場合、死の他にも考慮すべき課題があります。 皆が皆、頭脳明晰の状態でその時を迎えられるわけではありません。 逆に体は健常でも、頭が・・・というケースの方がより現実的なリスクになってきているのが実態です。

 それは認知症やその他の事由によって判断能力を喪失した場合です。 「まだ50代だし、認知症なんて先の話」と思っても仕方ありません。 ですが、判断能力を失う事例は他にもありますね? 突然の事故や脳梗塞などの急な発症によって「寝たきり~植物人間」になる危険性は高齢者より行動範囲が広い分だけ、却って高まるのですよ!

 こうした状況に陥った人でも、最期の時まで人間らしく安心して生活できることを目的として、「成年後見制度」がスタートしました。 この制度は判断応力が不十分になってから家裁が後見人を選定する「法定後見」と、自分が元気なうちに信頼のおける人物を自分の意思で選任する「任意後見」の2つから成り立っています。

 おひとり様に注目して欲しいのは、後者の「任意後見」なのです。


任意後見契約

 まず、契約の簡単な流れについて説明します。

① 当人が元気なうちに信頼できる人物を選任し、相手も受任するとなれば、契約締結に進みます。
② 任意後見契約書を「公正証書」で作成します。
③ その後、当人に判断能力の低下の兆候が表れ、医師の診断でもその傾向が認められた。
④ 契約の受任者は家裁へ「任意後見監督人」選任の申立を行います。
⑤ 家裁によって監督人が選任されて初めて受任者は「任意後見人」となります。
⑥ 以上全てが整って以降、任意後見契約に基づく後見が発動します。


 後見人に選任されるのは、やはり親族が多いですが、ここに来て私の様な士業の専門家が受任するケースも増加傾向にあります。 親族もおらず、友人もいないという「正真正銘の」おひとり様の場合は、やはり士業に依頼されるようです。

 

任意後見の課題

 自分で後見人を選ぶことが出来る、家裁が監督してくれる(監督人を介して)等、安心感がある制度ではありますが、完璧な訳ではありません。

 当人が正常な間は契約は締結されてはいるものの、発動はしていません。 自分で自分の判断能力が不十分だという事もナンセンスですから、その判断は後見人受任者に委ねられている訳です。 仮に明らかに判断応力に支障が出ていても受任者が家裁に監督人の申立をしなければ? 当人の財産管理はひとえに受任者の胸先三寸となってしまいます。

 他にも、以前書いたように「後見人は保証人になれない」 「自宅訪問で安否確認はするが、介助行為は契約の範疇外なので手を出せない。」 「医療行為の同意権が無い」など、制度の限界はあります。

 医療行為の場合等、自分でその時にどういった治療、医療行為を希望するかを事前に書面で残す事が必要になってきます。



その他の任意後見

 任意後見契約はこれひとつで完結するものではありません。 例えば、頭はしっかりしているものの、足腰の問題で外出がままならないような状態の人はこの契約は結べない訳です。

 そういう場合には「見守り契約」「財産管理契約」というものが用意されます。

 前者は文字通り、契約受任者が定期的に訪問や電話などで状態のチェックをするもので、明らかに判断能力に支障の兆候が看て取れた場合、即家裁に後見開始の申立を行います。

 後者はまさに当人の代理で税金の納付や預貯金の引出、振込み、公共料金等の支払い手続きを行うものです。

 さらに、当人が死亡後に発動する「死後事務委任契約」も一種の任意後見契約になります。 これは当人の死亡確認後、死亡届の提出、葬儀の手配、遺品整理、入院、入居していた病院や施設への未払い金の支払い・清算等を行うものです。 

 では、遺された財産の処理はどうすればいいのでしょうか?

 死後事務委任契約では遺産の処分は出来ません。 おひとり様で一定の財産をお持ちの場合、遺言等がなく、相続人もついに一人もいなかった場合には最終的には「国庫没収」となります。

 「仕方ない、お国への最後のご奉公」と割り切れるなら別ですが、自分の遺志を活かしたい! 慈善団体や賛同していたNPO等に寄付したいとなれば、遺言は必須ですし、その遺言を執行してくれる「遺言執行人」を選定しておかなければいけません。  この様な場合には「遺言執行契約」等で最期の想いを確実に叶えることが可能になります。

 

 まとめますと、「見守り契約」 ⇒ 「財産管理契約」 ⇒ 「任意後見契約」 ⇒ 「死後事務委任契約」 ⇒ 「遺言失効契約」 までを一貫して 広義の「任意後見契約」と考えて下さい。

 おひとり様にとって、ある意味「家族的なアプローチが期待出来る」制度です、 検討の価値はあると思いますよ。




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