コラム

 公開日: 2014-11-14  最終更新日: 2015-03-31

こんな場合は遺言書は必須です! その3つの事例とは?

 11月も折り返し目前ですね。 もう今年も50日を切った訳です。 ネット上では早くも「福袋」予約の案内が始まっていました。

  お元気ですか?
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 今日はこういう場合には必ず遺言書を遺しておきましょう!という3つの代表事例を紹介します。

子供のいない夫婦の場合


 子供がいないままどちらかの配偶者が亡くなった場合に遺言書が遺されていませんと、法定相続に則って遺産分割がされる事になります。 この場合、亡くなった配偶者の両親が健在であれば、両親には1/3の権利が生じます。 両親は既に亡くなっているものの、故人の兄弟姉妹がいれば1/4の権利が生じるのです。仮に兄弟が2人とすれば各1/8づつの権利となります。 更に、兄弟姉妹が亡くなっていても子供がいれば(甥や姪)が代襲相続出来るのです。

 
 仮に夫婦2人で自宅兼店舗を持ち、商売をしていたものの夫が急逝したとします。 現金等の財産はほとんどなく、遺産と言えるのはこの店舗しかない場合、義理の両親や兄弟姉妹との関係が険悪だったら深刻な事態が予想されます。 1/3の財産をもらうと亡き夫の両親が主張すれば、妻はそれ相当の金額を用意しなくてはいけません。 となると、自宅兼店舗を泣く泣く売却して支払うしか手段がない。 妻は思い出の家と、仕事場と仕事自体を一気に失う事になります。 兄弟姉妹も同じですし、その子供である甥や姪となるともはや「ほぼ他人」ですから、遠慮なく要求してくるでしょう。

 また、遺言書が無い場合、遺産分割協議書の作成が必須ですから、義理の両親、兄弟姉妹、その甥や姪といった相続人と分割協議を行い、相続を確定させなくてはいけません。 先に書いたようにそれまで交流が無かった兄弟や、その甥や姪にわざわざ説明し、理解を求め、判を貰って協議書を完成させるのです。 もし兄弟や甥や姪などの相続人のうち一人でも所在不明であれば生死を含め、所在の「捜索」をしなくてはいけませんし、仕事や結婚等で海外に生活の場を移していたら? 膨大な時間と労力、費用を覚悟しなくてはいけませんね。

 遺言書があれば、まず兄弟姉妹には「遺留分」がありませんから「妻に全財産を遺す」と書いておけば、何の問題も起こりません。両親には遺留分がありますが、1/3の半分ですから最大でも1/6にまで減殺できます。 さらに両親の場合であれば、亡き息子の最後の願いとなれば、その想いを踏みにじってまで意地を張って嫁苛めをする事もないでしょう。

 手間のかかる遺産分割協議も不要ですから、遺産の内訳を知られる事もありません。

 私は、前々から結婚したら遺言書を用意すべきとこのコラムを始めいろいろな場で主張していますが、その理由は以上の話でご理解頂けたことと思います。


愛人と婚外子がいる場合


 次に、子供がいる場合でも問題になるケースです。 婚姻関係にある配偶者との間に子がいなくても、愛人に子供が出来たら? 所謂婚外子にも、相続権はあります。

 特に昨年の最高裁の判決で、従来婚外子(非嫡出子)の相続分は嫡出子の1/2という民法の規定を違憲とされ、この条文が削除されました。 出生時の背景に係らず子供であれば相続分は平等となりました。

 仮に配偶者とその子供が1人、そこに婚外子が1人いた場合は 法定相続では配偶者が1/2、子ども2人で1/2、1人当たり1/4づつの相続となる訳です。 配偶者死亡後に初めてその事実を知ったとなると、修羅場は避けられませんね。

 もしも配偶者とその子には「贖罪」の意味を込めてより多くの遺産を遺したいと思うならば、遺言書に「全財産は配偶者とその子に相続させる」旨を書いておけば、婚外子には「遺留分」しか分配されません。 それでも釈然としないかもしれませんが、遺言書が無かった時の事を考えれば、良しと見るべきではないでしょうか?

 余談ですが、非嫡出子の相続権は「認知」されている事」が絶対条件です。 認知されていない場合はその時点では親子関係を証明できない訳です。 今回の条文の見直しは、婚外子の権利を回復させると共に、却って認知をしぶる不心得者を増やす恐れがあるような気もします。

 ※またこの民法の改正については、適用する時期の規定や 既に遺産分割協議が終了し相続が確定している場合等で適用の可否が分かれる事例がありますが、ここでは省略します。


笑う相続人がいる場合


 予想外に法定相続のおかげで遺産の分配を受ける相続人の事です。

 先に挙げた子供のいない夫婦の相続の際の個人の兄弟姉妹の子、甥や姪などもここに当てはまるかもしれません。 

 また典型的な事例としては、先妻に先立たれた高齢の資産家の男性がその後親子ほどの歳の差婚で若い女性と再婚し、子供が出来た場合です。 先妻との間の子は既に成人や社会人で自立しており、親子ほど年の離れた兄弟が誕生する訳です。

 その直後にこの男性が死亡したら? 仮に正式な結婚をしていなくても子供を認知していれば先妻の子供と同等の相続権があります。 生まれた子供には罪も責任もありませんが、タナボタ式に遺産を受け取る訳です。先妻の子供から見れば両親が苦労して築いた財産(一部は子供たちの協力もあった)が、極端に言えば何ら親愛の情を持てない生まれたての弟妹である赤ん坊に渡すことになる。  本人の死後、ドロドロの修羅場になる可能性は非常に高いでしょう。

 この逆のパターンも想定出来ます。  先妻との間に子供がいる男性が資産家の女性と再婚し、子供が出来、その後女性の方が先に亡くなった場合には当然男性が遺産を相続します。 さらにその後、この男性も亡くなった場合、先妻の子にも相続権がある訳ですから、仮に先妻、後妻との間に1人づつ子供がいた場合は1/2づつ相続する事になります。

 後妻の子供が父親に自分以外の子供がいる事を知らされてなく、遺産分割協議の作業の中で初めて存在を知ったとしたら? 彼から見ればいきなり出現して来て殆どは母方の資産であった遺産が母親とは縁も所縁もない「赤の他人」に渡る事になる・・・  これまた相当な修羅場が想像出来ます。

 このような事態を最小限に留めるのも遺言書の存在で「全財産は(先妻の子供)または(後妻の子供)に相続させる」と明記しておけば、遺留分だけで済みます。 

 遺言書が無ければ遺産分割協議が必要になりますから、特に後者の事例ではいやでも先妻の子供と連絡をとらなくてはいけません。 

 これは、逆の言い方をすれば、遺言書があれば、わざわざ先妻の子に連絡する必要はないと言う事でもあります。



  以上3つのパターンに思い当たる節がある方は、遺言書の作成を真剣に考えて下さい。
迷惑を被るのは、貴方ではなく貴方の大切な家族であるという事を肝に銘じて下さいね。


 次回は 遺言書の練習台?にもなる「エンディングノート」の活用についてです。




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