コラム

 公開日: 2014-11-12  最終更新日: 2015-03-31

遺言書作成時に注意する事

 お元気ですか?
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 さて、自筆にせよ公正証書にせよ、きちんとした内容で遺言書が出来たとしても、まだ安心は出来ません。 遺言の内容に相続人全員が全員賛同、と言う事は非常にまれです。 大なり小なり不平不満を申し立てる相続人が出て来ます。

 
今回は、自筆でも公正証書でも共通して遺言書に書いておかないと禍根を残す(?)項目を紹介します。


遺言執行者の指定

  
  遺言執行者とは、遺言の内容を具体的に実現する事を求められます。 即ち相続人に代わって、相続財産の管理や名義変更の手続き等を行います。 執行者には法人でも就任できるので、信託銀行等が担う事も少なくありません。 また、よく映画やテレビドラマで相続人を前にして、弁護士が遺言書を読み上げ、相続手続きを進めるシーンが出て来ますが、これなどが遺言執行者の典型的なスタイルと持ってもらってもいいでしょう。

 基本は、遺言書の中で遺言執行者を誰々にすると指定し、明記する事になっています。 遺言者はこの点にも気を配る必要があります。 

 遺言書に執行者を指定していなかった、または指定していた執行者が先に死亡していたという場合は、どういう扱いになるでしょうか? 相続人同士が一致協力し、スムースに遺言書の内容を遂行してくれれば何も問題は起こりませんが、そういうケースはほぼないとの事で、このような場合には家裁に申立をし、遺言執行者を選任してもらう事になります。

 遺言執行者選任申し立ては、相続人、遺言者の債権者、遺贈を受けた人等利害関係人が行う事が認められています。 

 申立先は、遺言者の最後の住所地を管轄する家裁で、申立書の他に、遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸)謄本(全部事項証明書ともいいます)と、遺言執行者候補の住民票か戸籍付票、利害関係を証明する資料(親族の場合なら戸籍謄本等)、遺言書の写し、または検認調書謄本の写し等を用意します。  ※以上は一般的な場合です。

 なお、未成年者と破産者は遺言執行者には就任出来ません。

 

遺留分への配慮


 意図的に、またはまったくの不注意で子供への相続財産の配分に著しい差を生じた内容を遺言書に書き残した場合、法定相続部に満たない相続内容に対しては、「遺留分減殺請求権の行使」が認められています。 

 例えば相続人が子供2人の場合長子に惣菜さん6,000万のうちの5,000万円、次子には1,000万円とした遺言書を遺した場合、本来なら6,000万は均等に相続されますから、3,000万円が法定相続分となります。 次子がこの遺言に不満の場合はこの権利を行使すれば3,000万円の1/2、1,500万円までは相続できます。 生前の何らかの事情で長子により多くの遺産を遺したいと思っても、却って子供同士に不信感や争いの火種になる恐れがあります。

 事例の場合、遺言書に長子に4,500万円、次子に1,500万円と書いておけば、遺留分を考慮しても1,500万円ですから遺言者の思惑通りの相続が成立しますし、子供同士に無用な争いを生じさせることもありません。


 

遺留分に関連して 


 上記と関連する事ですが、仮に比較的早い時期に用意周到に遺言書を用意しておいた場合、その時に存在していた定期預金等の預貯金や普通預金、または株式や有価証券等を時の流れの中で消費した、株式の価格が下落していた等で遺言書に書かれた財産価値と、相続発生時の財産価値に大きな相違が生じる場合があります。

 「〇〇金融機関×支店の定期口座の金〇〇千万円を、相続させる。」と書かれていたものの、いざ当該の金融機関で調べた結果既に解約され、普通口座に僅かに残っていただけ、といったケースです。

 こういった場合でも遺言書自体は無効とはなりません。 アンラッキーな相続人として出来る手立ては「遺留分減殺請求」で、他の相続人の相続財産から遺留分に達するまでの財産を受け取る事になります。

 遺言書をあまりに早い時期に、それも公正証書遺言で遺す事は、こういった事態を招く可能性もあります。 遺言書は、出来るだけ早く書けと言い、早すぎると内容が相続発生時と大きく異なる恐れがあるとは、寺田は何を言っているのかとお叱りを受けそうです(冷汗)

 あまり正確な金額までを記載するよりは、〇〇金融機関の×支店の口座の預貯金は誰々に、といった記載の方がいいかもしれません。 その内容に則って相続財産の価額を算出すれば相続発生時の正確な財産額がわかりますし、相続分も明確に出来ます。

  これとは逆のパターンで、遺言書に記載されていない相続財産が出て来た場合もあります。 この場合を想定して「ここに書かれた以外に財産が出て来た場合は長男の〇〇に相続させる、 相続人で協議して決める。」等を遺言書に書いておく事で遺言書が無効になる事を防げます。


相続人が先に逝った場合の備え


 例えば父親が書いた遺言書で息子に不動産を相続させる旨記載していた場合に、息子の方が父親より先に亡くなったとして、息子に子供(遺言者の孫)がいた場合、息子に代わって孫は代襲相続が出来るでしょうか?

 原則は、代襲相続は認められません、遺言書が無効扱いになります。 

その結果、相続は法定相続に従って行われる事になりますので、これを防ぐには遺言書に「息子が自分より先に亡くなった場合は孫に相続させる。」と書いておく事です。

 最高裁の判例でもこの記載があった場合、代襲相続人への相続を認めていますので、万が一を考えるならばこの一文を追加記載する事をお奨めします。


 次回は、遺言書を絶対に用意しておくべき3つの事例について、紹介したいと思います。


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