コラム

 公開日: 2014-11-07  最終更新日: 2015-03-31

遺言書の種類 ~自筆証書遺言とは?

 お元気ですか?
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 今回は「自筆証書遺言」の基礎的な説明をしたいと思います。

 まず、自筆証書遺言とは何か? 一言で言えば「遺言を遺す本人が、全文・日付・氏名を自分で書き、押印したもの」です。 要は押印以外全て自分自身で書かないといけないものなのです。

 方法は至って簡単です。 相続財産を調査し、相続人を確定してあれば、誰々に何をどれだけ相続させる旨を記載します。 前回説明した別件4項目に該当するものがあれば、それも自筆で記載します。 後でも触れますが、当然ながら鉛筆や消せるボールペンなどで書かれては法的効力は認められません。

 書き終えたら、封筒に入れ遺言書に押印した印鑑で封筒を封印します、後は家族に見つからない様な場所に保管します。 

 一見、簡単そうですが、以下にこの形式の遺言の押さえておくべきポイントを紹介します。


メリットとデメリット


 メリットとしては、「いつでも作成が出来る。」 自分一人で、好きな時に書きこめばいい訳ですから、他人の都合や時間を気にしなくていいのです。 当然「何回でも、気に入るまで書き直しが出来る。」点も、メリットでしょう。さらには「費用はほぼかからないに等しい程度」で済みます。 万年筆かボールペンで、レポート用紙に書いてもいいのですから、手持ちの用具で完成させることが出来るのです。

 デメリットとしては「書き方に不備があったままだと、いざと云う時に無効扱いにされる。」点があります。たった一文字の誤字脱字でも無効になるので、一人合点は非常に危険です。 また後々に「紛失、関係者による破棄、改ざん」のリスクも出て来ます。 書いたことをうかつに口にすると、探し出されて内容如何では書いたような実力行使に出るかもしれんし、かといって作成したことを誰にも告げないままでは、存在自体が闇に葬られ兼ねません。 いつ、誰に公表するかがかなり大きな課題になります。

 最後に、勝手に遺言書を開封すると、下手をすると無効に扱われたり、開封した相続人が大きなペナルティを課せられる恐れが出て来ます。 自筆遺言の場合は、「検認手続き」が必須になります。


検認手続き


 前項に引き続きデメリットの一つとして、検認手続きについて説明します。
「検認」とは、遺言書の存在を確認してその形式や追加・削除した箇所の有無、日付、署名の有無の確認等を行うものとなります。 要は、遺言書の偽造や改ざんを防止する事がその目的であり、遺言書に書かれた中身、これが適切なものかどうかの判断が目的ではありませんので、ご注意下さい。 

 著しく偏った、理不尽な遺産の分割が書かれた遺言書であっても、形式や日付、署名に問題なければ検認は了となる訳です。

 検認手続きとは、検認の申立てを行う事です。 遺言書の保管者、または遺言書を発見した相続人が相続の開始を知った後、もしくは遺言書を発見した後速やかに行う事が求められます。

 ただ、検認をしなくても遺言書が無効にはなりません。 ですが、 遺言書を保管していた者か発見者がこの手続きを怠ったまま遺言執行に及んだ場合、場合によって当該者は「過料」という処罰が課せられます。

 この申立て手続きは、遺言者の最後の住所地を管轄する家裁で行われます。

 この際に必要な書類は、以下の通りです。

①申立書
②遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
③相続人全員の戸籍謄本
④遺言者の子供(及びその代襲者=孫)で、既に死亡している者がいる場合はその出生から死亡までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

 但し相続人に子供や孫(直系卑属)いない場合、即ち相続人が父母、祖父母の場合や、遺言者の兄弟姉妹及びその代襲者(甥や姪)しかいない場合等は、提出書類が一部変更、追加となりますのでご注意下さい。


作成時の注意点:偽造リスク


 自筆証書遺言の最大の注意点です。 ここを過ちますと遺言書は無効になります。

①全て紙に、自筆で書く事。
  パソコンやワープロは論外、自筆でも最近話題の「消せるボールペン」や鉛筆等偽造リスクの高いものはNGです。

②遺言は1人1通。
  例えば、夫婦連名で遺言を遺す事は禁じられています。 詳細は後述します。

③遺言者の氏名、年月日を正確に書く事。
  末日、吉日などは無論駄目です。
  「1」と「7」、「0」と「6」「9」の見分けが困難な書き方も厳禁です。
  旧漢字が使われている氏名の場合、旧字体を使う事です。(浜と濱、 礼と禮等)

④書き損じは、書き直す事。
  修正液で処理してその上から書くのは無論の事、一般的な契約書等で用いられる「何字挿入、何字削除」や書き損じの箇所に二重の取り消し線を引いて、その横や下に正しい文言を書き込む事も禁じられています。

  書き損じしたら、遺言書自体を最初から書き直します。

⑤最後の押印を忘れずに。
  私は、「実印」での押印をお奨めします。


作成時の注意点:共同遺言


 「共同遺言の禁止」 これは民法975条にも謳われています。 なぜ、禁止なのでしょうか?

 事例として、仲の良い夫婦で1通の遺言書に「自分が先に死んだら、遺された配偶者に遺産を全て相続させる。」と書き、夫婦で署名押印したとしましょう。 仮にこの様な共同遺言を認めていたとすると、その後遺憾ながら夫婦間に亀裂が生じて遺言書の内容を片方が撤回したいと思っても、撤回は両者の合意が必要となりますから、自由な撤回や書き直しを阻害します。  

 あくまでも遺言は「遺言者が自由に、何度でも撤回や訂正が出来るよう一人で作成する」事が前提となるのです。

 ですから、仲の良い夫婦でお互いに財産を相続させたいならば、各自で遺言書を用意しなくてはいけません。



  自筆証書遺言の場合、遺言書はこの世に1通しか存在しません。 

・密かに遺言書を発見した相続人がその内容に不満を持ち、遺言書を廃棄して法定相続分を確保した。
  ~もし、遺言書の存在を他の相続人が気付いていなければ?

・多少認知症が始まった親を言葉巧みに誘導し、自分に都合のいい遺言書を用意させた。
  ~認知症が進み判断能力を失くして後に亡くなった後、この自筆証書遺言が残されていれば?


 他の相続人は「泣き寝入り」するほかはありません。 証拠が無ければ、どうにもならないのです・・・


 特に後者の事例の様に確実に本人の筆跡で、検認にも通用する遺言書であれば、内容にかなりの疑惑があったとしても法的には有効と見做される点で、自筆証書遺言を選択される場合は、相当な注意と管理が求められる事になります。


 次回は、「公正証書遺言」について紹介したいと思います。



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