コラム

 公開日: 2014-10-24  最終更新日: 2015-03-31

 最近の遺産分割でのトラブル集

 

 お元気ですか!
「すべての人が生活の安定と向上の為に法律を身近に、
気軽に活用出来る社会の実現を目指す」
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 ここまで相続から生前贈与まで、基礎的な項目から 思わぬ落とし穴などについて紹介してきました。 今回はこれまで書いてきた内容をどう解釈するかで生じる「見解の相違」から来るトラブルについて触れてみたいと思います。 


1)親に代わってATMで現金引き出し

  これは健康上の問題で銀行に出向く事が困難になった親に代わって、日々の生活費や親の欲しがるものの購入代金として現金を引き出す行為ですが、ここで焦点になるのが「なぜATMで引き出す?」と言う点です。 真実親からの依頼であれば、委任状を以て銀行窓口で引き出せばいいのですが、ATMであれば本人確認なしで限度額までなら自由に引き出しが可能です。 疑う側から言わせれば「親をダシに使って本当は自分の買い物に使っているのでは?」となります。また、当然親の為の出費ならば各種の領収証や、購入した物品、申し込みをしたサービス等の契約書などがあるはずで、これらが備わっていない場合は「親の財産の先取り」と見られても仕方ありません。 本当に親の為の出費であれば過剰なほどその証拠や証憑類の確保と保管には神経を使うべきです。


2)生前贈与だった!?

  上記の様に親の口座から例えば毎月なり、一定額を引き出していた事が判明した時に、「親との間で贈与を受けることになっていたから。」という釈明をする場合があります。 仮に年間で110万円以内であれば「暦年贈与」の非課税枠内ですから、それ自体に問題はありませんが、贈与の証拠がありませんと厄介な事になります。 贈与とは「贈る側」と「贈られる側」で「贈与の意思確認」が成されている事が前提で、「贈与契約書」と言う形あるものでそれを証明しなくてはいけません。 口約束だけでは他の相続人が納得するはずもなく、何の証拠にもならないのです。 下手をすれば「特別受益」と見做され遺産分割の際に持ち戻しされる可能性も出て来ます。

  痛くもない腹を探られたくなければ、正式に贈与契約書を取り交わすべきですし、どう見ても疑惑の払しょくが出来ない場合であれば、贈与契約書の有無を問い質す事で判断を下せるのです。

 同様に不動産の名義変更も生前の場合なら贈与ですから贈与契約書の有無が決め手となります。 ここでも親からは了解を得たのだからと契約書の締結前に名義変更を済ませてしまうと、悪意の解釈で有印私文書偽造で他の相続人から罪に問われかねない場合もあります。 


3)寄与分がダメなら遺贈で?

  よく知られている事になりましたが、義理の両親の面倒を献身的に看た長男の嫁でも「寄与分」を認められる可能性は非常に低いものです。 まず、原則的に「親の面倒を子が看るのは当たり前。」であり、相続人の場合でも寄与分に該当するのは「親の事業拡大に多大な貢献をした」等の形に残る貢献である場合に、寄与分が認められるケースが殆どです。 では、相続人でもない嫁の苦労は報われないままでしょうか?嫁は「泣き寝入り」するしかないのでしょうか?

  贈与と言う手段で本来相続人でない嫁に財産を引き渡すことで嫁の苦労に報いる事は可能になります。 生前の贈与であっても、嫁は相続人ではないので前述した「特別受益」にも該当しません。 この為、他の相続人が異議を申し立てる事は出来ません。 特別受益はあくまでも相続人が対象なのです。  無論、この場合でも親と嫁の間で完璧な内容の「贈与契約書」が必要です。

  ただ、この場合親の側として特定の子供により多くの財産を渡したいがために、嫁を隠れ蓑に財産を多く渡すというケースもなくはありません。 同様に子供の側から「恩に着せて」嫁への贈与と言う形で財産をより多く手に入れるという手口もあるようです。 事実、親と子の双方の見解が一致している事に間違いはない訳で、他の子供から見れば面白いはずもなく、ついには当時の親には既に判断能力が無かったと主張し、契約の無効を訴える泥仕合になる事も。 

 さらに、実際にそれに類似のケースもあります。 健全なうちに言葉巧みに契約書に署名捺印をさせておき、日付は空欄にしたままでその後親が判断能力を失くした時点でそれ以前の日付を後から記入し、書類上疑義を挟めないように工作する事も可能です。 契約したことをうっかり伝え忘れていたとでも主張すれば、真偽を問う事は難しいでしょう。

  
 この他、例外的ですが親の側が特定の子供に生前贈与を繰り返し、他の子供には自分から説明してくからとその子供を安心させておきながら、実際は他の子供には内緒にしたまま亡くなった場合があります。 この場合等はその子供に非は無くとも他の子供から見ればすでに亡くなっている親に言えない恨みつらみをぶつけてくるのは当然でしょう。 遺産に伴うトラブルは何も生きている子供達だけに起因するものではないという事ですね。


4)現金を隠すのは厳禁?!

  例えば貴方がタンス預金として相当額の現金を自宅に「隠匿」していた場合、その事を記録に残さず、相続人にも正確な内容を伝えず、口頭で「実は隠し資産がある。」程度しか話していないまま、急逝してしまったら?

  例えば隠した場所が室内の故人の書斎などであれば、所有者の特定も容易ですからまだいいのですが、これが外から容易に侵入できる庭や玄関先に「埋めておく」等の場合、さらにその発見が相続人でなく、第三者であったりすると厄介な事態になる恐れがあるのです。

  郷里に一人暮らししていた親が急逝し、形見分けも無事に終わり、残された土地も売却が決まり、家屋の解体中に
庭先や縁の下から大金が入った鞄や壺等を解体業者等が発見した場合、即故人の財産とは認められません。 

  見つかった鞄や壺の中に故人との繋がりが特定出来る書類や通帳などが一緒であればいいのですが、そういったものが無かった場合はどういう手続きに移るのでしょう?

 
  まず残っている預貯金の通帳で出金の事実確認や有価証券等の売却の記録を調べ、該当する金額の動きがあったかを追跡します。また故人の日記等でこの事実に合致する記述が無いかどうか?など等、故人と現金の接点を徹底的に確認します。 現金には有価証券と違って「所有者の特定が出来ない」為、こういった間接的な証拠集めが運命を分ける事になります。

 この結果、記録が何一つ確認出来なかった場合は、故人の持ち物(遺産)とは認められず、「遺失物」扱いになります。
こうなりますと、最終的には現金が発見された場所の所有者と、第一発見者とで「折半」となるのです!

 もし早々に土地を売却し、名義変更を済ませていれば、全ての現金が第三者の手に渡る事になります。 せめて証拠書類のひとつも一緒に「埋めておくべき」でした。


 いかがですか? 遺す方も遺される方も手順一つの取り違えで不毛の争いや、長期にわたる裁判となり、遺産分割協議すら開始出来なくなるのです。  


 

 この件に関してのご相談やお問い合わせはこちらからどうぞ。
https://mbp-tokyo.com/office-terada/inquiry/personal/


  事務所の連絡先は 以下の通りです。

 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル7階ハローオフィスC-3
  03-5157-5027(TEL) 平日は10:00~19:00
  03-5157-5012(FAX) 24時間対応
  
 また土日祝日は予約対応とさせて頂きます。 

この記事を書いたプロ

寺田淳行政書士事務所 [ホームページ]

行政書士 寺田淳

東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル7F ハローオフィスC-3 [地図]
TEL:03-5157-5027

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
よくある質問

 質問) そちらの業務の対象かどうかもよく分からないのですが    相談してもいいでしょうか?     その場合、直接の電話、お問い合わせからの連絡等ある...

これまでのメディア掲載
アントレ2016秋号にて

 今度はリクルート社が発行する情報誌「アントレ」2016秋号の特集記事、「今こそ開業!脱。先送り人生」で、私の起業に至るまでのインタビュー記事が採り上げられるこ...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
遺言書と任意後見で第二の人生をサポートする行政書士

50代から直面する親子間の問題と、満足できる「第二の人生」をサポートする(1/3)

 新橋駅前の行政書士・寺田淳さんは、自身と同じ50代の男性に向けた相続・遺言問題と、充実した第二の人生を迎えるための再就職・転職・独立に関してのサポート・サービス業務に取り組んでいます。 最近、相続に関する個人向けセミナーを開催する機会...

寺田淳プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

50代男性の悩み(親問題・自身の将来)に強い行政書士です。

事務所名 : 寺田淳行政書士事務所
住所 : 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル7F ハローオフィスC-3 [地図]
TEL : 03-5157-5027

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-5157-5027

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

寺田淳(てらだあつし)

寺田淳行政書士事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

親と話す相続

 90代の高齢の父親がなかなか相続について考えてくれません...

K・M
  • 60代以上/男性 
  • 参考になった数(0

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
遺言では遅すぎること ~葬儀・墓・家

 【今日のポイント】  遺言に書かなくてはいけないことはいろいろありますが、遺言に遺しても意味がないも...

[ 終活~エンディングノート ]

マイナンバーで出来る事

 【今日のポイント】  2017年度の税制改正の内容が明らかになりました。その中で、確定申告の際の医療費控...

[ 最近の話題から ]

知っていますか? 固定資産税の仕組み

 【今日のポイント】  土地や建物を所有すればついて回るのが「固定資産税」です。今日は課税のポイント、...

[ 新橋事務所日記 ]

最近の相続トラブルについて

 【今日のポイント】 相続にまつわるトラブル、いろいろあります。法定相続分、遺留分、特別受益、寄与分な...

[ 終活~相続 ]

起業の時の身近な資金手当て

 【今日のポイント】  いざ起業・開業! 計画は吟味した、満足のいく内容に仕上げた! 残すは資金の手当...

[ 起業・転職・再就職 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ