コラム

 公開日: 2014-08-14  最終更新日: 2015-03-31

遺言の書き方ひとつで変わる相続3  ~一次相続と二次相続

 立て続けに記事をアップしています。
この季節、本来業務は暇になるので、コラム作成が進みます?!


 お元気ですか!
生活に密着した法律相談と第二の人生支援に邁進している
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。



 遺言の書き方で変わる相続の最終回は二次相続についてです。

 

二次相続の想定


 私たちの世代、50代半ばを過ぎた場合等、親は80代前後、不謹慎な言い方ですが、「相次いで看取る」ことも少なくありません。 父が亡くなり、その1年後に後を追うように母も亡くなった等と言ったケースはこの世代になれば現実的な問題となります。

 このような場合どういった相続が考えられるでしょう?

1)父が亡くなった際に母に全て相続してもらう?
2)母と兄弟で法定相続分で相続し、相応の相続税を納付する?
3)不謹慎ながら、先を見越して兄弟がより多くを相続し母は生活費程度を相続する?

 上記のどれを選択するかによって相続税の額が大きく変わります。

 通常、夫婦のどちらかが先だった場合、遺産の額にも依りますが、概ね配偶者が全てを相続するケースが一般的です。これが「一次相続」というもので、この後遺された配偶者から子供への相続が「二次相続」と呼ばれるものになります。

 さて、相続の場合、基礎控除と言うものがあります。
2014年現在では「5,000万円+相続人の人数×1,000万円」となります。
仮に子供が2人であれば、5,000万円に母と子供で3人文なので1,000万円×3で3,000万円、総計で8,000万円までが基礎控除の枠となります。(来年1月1日以降はこの6掛けです。)

上記の1)の場合、配偶者が全て相続する場合には相続財産額が1億6千万円以下ならば相続税は発生しません。その代り母が亡くなった時の二次相続時には上記の相続人の人数が1人分減る事になるので子供にかかる税負担は「高めに」なります。

2)や3)の場合は一次相続時の基礎控除額の枠が3人での算出になりますから、その分控除額の枠は広くなる訳です。 この点が1)の場合と異なる点です。


 子の立場から見ると、父がの死亡時の一次相続と母が死亡時の二次相続でそれぞれ相続税が発生しますから一次相続で「多めに」相続していた方が税負担自体は軽減される事になります。

 税金対策からすれば子供に一次相続時に厚めに相続させることが適当と言えますが、可能性として子供が母親より先に逝ってしまった場合にはある問題が発生します。

 子供が結婚し、子供(母から見たら孫)がいる場合には相続財産は子の配偶者と孫にしか発生しません。母親には一次相続時の財産しか残らないことになります。 仮に嫁姑の問題を抱えているような場合には老後の生活に資金的に不安が生じてもその面倒を見てくれるかどうか?等の心配事が一気に表面化する恐れが出てきます。

 貴方が遺言書を書く立場の場合、こういう事態も想定して相続の仕方を考えないといけないのです。

「相続財産のうち75%を子供に相続させる。但し、子供が妻(母)より先に亡くなった場合はその相続は子供の嫁でなく妻(母)に相続させる。」というような「但し書き」を遺すことも一つの対応策でしょう。

 または親子うち揃ってこの件について話し合いをする事で、あらゆる事態を想定した相続の仕方を決めておく事でしょう。 今の時期は親子が揃う絶好の時期ですね、一度検討しては如何でしょうか?


 

番外編:生前贈与について


 遺言書に書くものではありませんが、注意すべき点として「生前贈与」による兄弟間の不公平感があります。補足として簡単に触れておきます。

 生前贈与はいろいろ取扱い上注意すべき点があります。

 ひとつは「生前贈与加算」規定と言うもので相続発生(死亡時)前3年間に行われた贈与については遺産にプラスして「相続税の計算上の対象」とする事になっています。 よく耳にします年間110万円までの生前贈与は課税対象にならないという規定も死亡から遡る事3年間の生前贈与は、相続税の計算上死亡時の遺産に加算されます。 暦年贈与は早めに始めておきましょうと言うのはこの点も考慮しての事です。

 もうひとつは遺産の取り分の範囲です。生前贈与の中で住宅購入資金や医学部の入学金や授業料等の高額な費用援助等は「公平な相続」の観点から遺産に加算してトータルで相続人間の「取り分計算」をする事になります。 これを「特別受益」と言います。

 例えば父親の遺産は9千万円で子供が3人の場合(母は既に死亡)相続はそれぞれ1/3づつの相続で3千万となりますが、生前贈与で長男に2千万円の資金援助を、末っ子に学費等の名目で1千万円を贈与していた場合は9千万円に2千万と1千万の計3千万を加算し、遺産総額は1億2千万とします。 これを3等分すると一人当たり4千万円ですが、長男は既に2千万を「先に受け取っている」ために2千万、末っ子も同様で1千万を減額した3千万、何も贈与がなかった二男にはそのまま4千万が相続されます。

 二男からすれば当然な結果で、公平な相続と見るでしょうが、後の2人はどうでしょう?
人間ついつい先に受けた恩恵は忘れがちで、目の前の遺産の分配に不公平感を抱く事は無いとは言えないですね。

 ここにも問題が潜んでいます。 もし長男と末っ子が二男にこの事実を伝えていなければ? 親もつい二男に言いそびれたままで亡くなっていたらどうでしょうか? 「知らぬが仏」になる可能性は大でしょう。

 さらに厄介なのは、「孫への教育資金贈与の場合」は特別受益の対象ではない点です。
先の3兄弟で二男にだけ子供(孫)がいない、あるいは独身だった場合で他の二人の子に孫がいた場合には生前贈与されていてもトータルの遺産に加算しなくていいのです。結果的に長男と末っ子は堂々と多めに遺産を受け取れた事になります。

 一度疑心暗鬼に陥れば、お互いが過去のお金の動きをそれこそ「重箱の隅を掘り起こす」までに追究したり非難の応酬になり兼ねません。 挙句の果ては「絶縁」にまで行く着くかもしれないのです!!

 この問題も、結局は親子、兄弟間での意思疎通にかかってきます。 親としては孫可愛さでとか、溺愛する子供につい資金援助する事もあるでしょうが、後々の禍の火種になり兼ねない事は肝に銘じておきましょう。

この記事を書いたプロ

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行政書士 寺田淳

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