コラム

 公開日: 2014-07-23  最終更新日: 2015-03-31

相続財産調査

 

 お元気ですか?
生活に密着した法律相談と第二の人生支援に邁進している
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。



 いよいよ相続財産の調査に移ります。

 これは文字通り相続財産の範囲を確定して、公平な遺産分割を図るためでもあり、相続税の納税額の算定にも活用できるものなのです。

 ごく簡単に手順をまとめますと、
「財産の聞き取り、確認」 → 「財産内容の根拠となる資料収集」
これだけです。 この結果を基に「相続財産目録」を作成していきます。

 とはいえ、財産の確認が、曲者です。

 ただ単に「どれだけの財産があるのだろう?」というような財産の確定や遺産の分割を急ぎたい場合と、相続税納付の為に必要な評価額の確定や相続税の対象になるかどうかの判別を目的とするかで調査範囲や調査方法は変わってきます。 この点を見極めてから行動に移りませんと途中で混乱を生じ、時間のロスを招く事になりますので御注意下さい。

 

相続財産の範囲は

 一般的な意味合い(遺産分割の対象としての財産)として次の分類が出来ます。

1)「正」の財産
  現金、預貯金、有価証券、債権、土地、建物、借地借家権、特許権、著作権、自動車等

2)「負」の財産
  借金、金銭債務、損害賠償債務、税金、入院・通院等の医療費関係等

3)対象外の財産
  死亡保険金、遺族年金、祭祀に関する財産、等

4)判断が分かれる財産
  死亡退職金、ゴルフ会員権、葬儀費用関連等

 この中で相続税が絡んでくると判断が難しくなるものとして挙げられるには「骨董・美術品」でしょうか? 特にメジャーな作者ではなくその筋だけで非常な高評価を得たものとか、最近ではマニアのコレクション等非常に狭い範囲ながらその世界では高額評価が確定しているようなレアもの等です。

 また意外なところでは、ネット通販や会員サイトでの物品やサービスの購入で付与される「ポイント」もあります。 100ポイントで100円の品と交換できます、100円として購入時に使えます等のような「換金性のあるポイント」も個人の「財産」と判断されます。

 私自身、イオンのショッピングカードやドコモのポイント、各種通販の獲得ポイント等で10種類の換金可能なポイントが発生していました。 塵も集めりゃ何とやらで、それなりの金額になっています。

 
 では、「正」の財産の主要なものから、不動産と預貯金の調査について紹介します。

不動産の調査

 まずは相続人が把握している所有不動産の情報を収集です。権利証や固定資産税の納付書などからある程度は早々に把握できるはずです、但し被相続人からその保管場所を聞き出していればですが。

 次は市区町村役場の税務課で被相続人の「名寄帳」を取り寄せて被相続人名義の不動産を調べます。

 続いて被相続人名義の「固定資産評価証明書」を税務課から交付してもらいます。

 最後は所轄の法務局で固定資産評価証明書に記載されている不動産の「登記簿謄本」今は「登記全部事項証明書」と呼称されていますが、これを請求、取得します。

 登記簿謄本によってその不動産に抵当権や根抵当権の設定の有無、その他の制限物権の設定の有無が確認出来ます。

 これによって不動産の正確な内容と、固定資産評価証明書から相続財産としての価額が分かります。
また、相続財産目録には「固定資産評価証明書」「登記全部事項証明書」の写しを添付しておきます。

 余談ですが、遺産相続で揉める場合、不動産の評価のトラブルが多いそうです。
一方が実勢売価を捉えて「財産をもらいすぎ」と相手に主張し、もう一方は固定資産評価証明書の価格を主張して「妥当な額での相続」とやり返す場面です。

 こうなってしまうと不動産鑑定士の鑑定評価を依頼するまでに発展するケースもあるようです。
その分の費用は相続財産から支出する事は可能です、が、相続人全員の合意があっての話です。一人でも反対者が居れば無論紛争当時者同士の「自腹」となります。争いが長期化すればそれだけ無用な出費が続くわけですね。

 

預貯金の調査

 これもまずは被相続人名義の金融機関の口座の確認からです。
そしてこの作業が意外に難航するケースがまた、少なくありません。

 事例でも、生前に言われていた保管場所に肝心の現役の通帳がなく、記帳満杯の使用済み通帳だけしかない!とか、口座情報は全てパソコンに一括整理してデーター化してあるまでを伝えたものの、パスワードは口外しないまま亡くなった為、結局何もわからないまま、といったものがありました。

 補足で説明した各種換金性のあるポイントの有無も広義で捉えれば「預貯金の一種」ですから、せめてどういうサービスを契約していて、ポイントの発生の有無までを記録しておくべきでしょうね。

 目安のついた記入期間の出先に出向いて名義人死亡の為口座の停止、残高証明書の発行を依頼します。
最近は銀行でも投資信託業務を行っているため、それの残高証明も必ず入手します。

 この一連の手続きには原則として相続人でという金融機関もありますし、その必要とされる書類にも金融機関毎に微妙な差異があります。 確実を期すには、事前に取引期間へ問い合わせをしておきましょう。

 一般的に必要とされる書類は、以下の通りです。

・被相続人の死亡記載の戸籍(除籍)謄本
・請求者となった代表相続人の現在戸籍謄本 ~相続人全員分の用意は不要です。
・上記代表相続人の実印と印鑑証明書(発行3か月以内のもの)


その他

 「負」の財産で要注意なのは、無論借金や債務ですが、特に「連帯保証人」の有無の確認は最も重要です。 「親が勝手に交わした契約」では通らないのが現状で、「正」の財産を上回るような契約の連帯保証人契約があった場合には「相続放棄」や「限定承認」しか対抗手段はありません。 おまけに被相続人の死亡から3か月以内に相続放棄や限定承認の手続きをしませんと、相続は確定されてしまいます!
 
 この他、当人しか知らない消費者金融やクレジット会社からの債務や未払いの医療費などにも可能な限り調査をしていきませんと、後から痛い目に合う事になります。

 このへんも生前の被相続人との情報の共有によって未然に防ぐ事が出来ます。もしくはこの前提での財産調査を始められます。 結局は「情報の円滑な共有」如何で、時間と労力は大きく左右されるのです。
 
 この他にも土地の除草作業などの遺産の管理に関する費用や、先述した不動産の鑑定に要する費用、葬儀にかかる費用や13回忌等の法要に関する費用等についても、相続人全員の合意があれば相続財産に加える事は可能です。この場合も「負」の財産として計上します。


 
 以上で、遺産分割協議の場合の財産調査の主要箇所は終わりますが、補足として「相続税対策」としての相続財産調査の場合の注意点を2つ、簡単に紹介します。


① 預貯金の調査のついては被相続人の死亡前3年分の通帳を確認して、その間の「生前贈与」の相続税課税対象財産の有無を確認します。

② 土地の「路線価」での評価額を算出しておきます。


 もうご存知ですね、来年1月1日からの相続税増税で非課税のハードルが一気に6掛けに下げられます。 既に7月も後半ですから、相続税対策は現行と来年の改訂版双方を想定したものにしなくてはいけません。

 これによって算出した相続財産の総額が「課税対象額」に達している場合、または微妙な場合であれば、早期に専門の税理士に正確な税計算を依頼することを推奨します。 

 次回は、遺言が無かった場合、または相続人全員の合意で行われる「遺産分割協議」についてです。

この記事を書いたプロ

寺田淳行政書士事務所 [ホームページ]

行政書士 寺田淳

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TEL:03-5157-5027

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