コラム

 公開日: 2014-05-19  最終更新日: 2015-03-31

改葬にならない「改葬」とは?

 今日はスーツを着ているのが苦痛なくらいの気候ですね。
そろそろ私の苦手な季節到来です(汗)

 お元気ですか?
生活に密着した法律相談と第二の人生支援に邁進している
新橋駅前の寺田淳行政書士事務所の寺田 淳です。


 今回、珍しい相談を受けました。
今は都内にお墓を持っている方なのですが、血縁関係の方もなく、本人も独身です。
お墓にはご両親の遺骨が安置されているのですが、今回事情により遠く南方の島に移住、
恐らく永住するとの事でした。 なので今後はそう簡単に東京に出てくることは叶わず、
この際遺骨を引き取って新しい住まいの仏間に安置したいのですが、可能でしょうかというものでした。

 通常、お墓を郷里から住まいの近くに移す「改葬」でしたら現在のお墓のある市区町村発行の「改葬許可証」が必要になります。同時に現在埋葬している霊園の許可証も必要になります。

 今回の場合、新たな土地では「お墓に入れない」で「自宅に安置」したいという要望です。
改葬ですが、改葬ではない取扱いの是非についてが今回のテーマです。


 お墓や遺骨の埋葬に関しては次の法律が制定されています。
墓地、埋葬に関する法律

 この中で「埋葬又は焼骨の埋葬は墓地以外の区域にこれを行ってはならない」(同法第4条)とあります。 ですが、今回の相談は「埋葬」ではなく、自宅での「安置」なのです。

 ですから第4条には抵触しないという事になります。

 この件について、当該の役所に尋ねたところ「役所としてはこのケースは改葬とは見做さない、その為改葬許可証の発行の範疇にもない。」と言うニュアンスの回答です。

 但し、遺骨をお墓から出す事に関しては「遺骨引渡証明書」という書類が必要になります。

以下に静岡市の事例をリンクしました。
静岡市申請書より

 東京都でも「都立霊園」の場合は各霊園管理事務所に静岡市と同様の交付申請書が用意されており、書式に則った手続きをすれば遺骨は引き渡してもらえます。
 (残念ながら調べた範囲ではネット上で都立霊園の様式は見つかりませんでした。)

 今回の事例は私も初めての経験でしたが、今後郷里に先祖代々の墓を守る親族がいなくなり、住いの近くに改葬したいと思っても、霊園に空きがないとか、価格的に折り合わない等でズルズルと引き伸ばしになっているケースは少なくないのではと思いました。

 その際、遺骨の数にもよりますが、自宅で安置するという選択も可能な訳です。
法律の主旨では可能な限り埋葬するようにとありますが、納得できる事情があればその限りではないともあります。 都内の霊園ともなれば、そう安価な物件には巡り会えません。

 但し、自前の敷地内に私設の「納骨堂」のような施設を用意して安置する場合には注意が必要です。
先の墓地、埋葬等に関する法律の第10条に「墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は都道府県知事の許可を受けなければならない。」とあるのです。

 
 自分の血縁関係だけの納骨堂と勝手に判断すると後で指摘を受ける恐れがありますから、事前に当該の市区町村役場へ確認を入れたほうがいいでしょう。

 では、通常の各宗派のお寺が経営する霊園に埋葬している場合はどうなのでしょう?
これについては各宗派の個々の考えによるとしか言えません。役所は問題なしとしても肝心の埋葬してあるお寺が自宅安置などでは遺骨の引渡は認められないとなれば、ジ・エンドです。

 当事者の事情をよく説明し、誠意を持っての申入れでお寺の理解を得るしかないのです。

この記事を書いたプロ

寺田淳行政書士事務所 [ホームページ]

行政書士 寺田淳

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