コラム

 公開日: 2014-02-19  最終更新日: 2014-07-31

自宅マンションを賃貸した場合の減価償却費の計算方法は?


転勤などでそれまで自己が居住していたマンションを第三者に賃貸する事例は多いと思います。この場合に確定申告をする必要が有るかどうかですが、1ヶ所から給与の支払を受けている方に就いては、給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告をする必要は有りません。処が、実際には殆どの方が不動産所得の確定申告をされている様です。これは減価償却費を経費に含めると、不動産所得がマイナスになるケースが多く、給与所得等と損益通算することにより源泉徴収された所得税等の還付が受けられる為です。
さて居住用不動産を賃貸に転用した場合の減価償却費はどの様に計算すればよいのでしょうか?マンションの購入代金(=取得価額)は非減価償却資産である土地等と減価償却資産である建物・建物付属設備から成立っています。先ずこれを分ける必要があります。新築マンションであれば、販売業者に譲渡対価証明書の発行を依頼すれば良いでしょう。尤も土地等以外の部分については区分せずに一括表示されているかも知れません。消費税から逆算して土地等以外の部分の合計額を掴む方法もあります。

ところが、ご質問のケースの様に随分前に買ったマンションの場合、話はそう簡単ではありません。消費税が導入された1989年4月以降の分譲マンションであれば、何とか減価償却資産の総額は掴めるのですが・・・。個人から中古マンションを買った場合も、土地等とその他を区分するのは厄介です。

教科書的に言えば、不動産所得の計算において土地・建物を一括取得している場合には、取得時の時価により按分して建物の取得価額を求めるのが原則になっています。取得時の相続税評価額や固定資産税評価額が分かれば、これ等を基に建物の取得価額を合理的に計算することも出来るでしょう。随分昔なのでこれも見つからないとなれば、狗肉の策として

ⅰ 取得時の路線価図を調べて土地等の価額を算出し、全体の取得価額から引いて建物の取得価額を求める
ⅱ 建築統計年報の「建物の標準的な建築価額表」を使って建物の取得価額を求める
と言ったやり方ではどうでしょうか?

何とか建物の取得価額を求めることが出来たとして、次に非事業用資産を業務の用に供した場合の償却費の計算の特例(令135)に定められた調整をする必要が有ります。この調整は、自己の居住用に供していた期間相当の建物価値減少分に付いては、減価償却費の対象から除外する為の計算です。

例えば新築で買ったマンションの建物部分の取得価額が3,000万円、これに10年住んだ後で賃貸を開始したとの設例ですと次の様な調整計算を行います。

居住期間中の価値減少額: 3,000万円×0.9x既経過年数10年÷(法定耐用年数47年×1.5倍)=383万円

減価償却計算の対象部分: 3,000万円x0.9ー383万円=2,317万円

(注)減価償却の方法には定率法と定額法がありますが、特に届出をしなかった場合は定額法(H19年3月31日以前に取得された建物は旧定額法)で計算する必要があります。そうすると、各年の償却限度額は3,000万円x0.9÷47年=57.5万円となるので、調整計算をしてもしなくても毎年の減価償却費の金額は同じです。何が違うのかと言えば、今後ずっと賃貸を継続した場合のトータルの償却限度額が=2,700万円ではなく居住期間中の価値減少額383万円を除いた2,317万円になると言う点です。なお、旧定額法で計算する場合は残存価格相当10%の調整が必要ですのでご留意下さい。

給排水や衛生・ガス設備などの建物付属設備の法定耐用年数は15年、冷暖房・通風設備などの建物付属設備の法定耐用年数は13年です。建物と付属設備が明確に区分把握出来るのであれば、付属設備については15(13)年で減価償却計算すれば良いのですが、多くの場合に区分することは難しいと思われますので、そのときは一括建物として法定耐用年数47年で計算するしかないでしょう。

最後にリフォーム費用の取扱いです。リフォーム費用については修繕費として支出時に一括費用計上出来るものと、資本的支出として資産計上し事後減価償却計算を通じて費用計上しなければならないものの2種類あります。例えばシステムバスを交換して70万円掛かったとすれば法定耐用年数15年として減価償却計算をしなければなりません。エアコンを交換して15万円掛かったとすれば、20万円未満なので一括費用計上することが認められます。修繕費と資本的支出の区分については細かなルールが決められていますので其方をご参照下さい。本稿では割愛します。

(注)中古マンションのリフォームで、資本的支出に区分されたものの耐用年数ですが、風呂やエアコンの様に全取替えしたものは新品と同じ法定耐用年数、屋根や壁面など建物の一部を改修したような場合は、建物本体に適用される耐用年数を用いることになります。

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