コラム

 公開日: 2013-07-04  最終更新日: 2014-07-31

二世帯住宅による相続税対策の注意点!


二世帯住宅のうち構造上の区分があるもの(玄関が別々だとか、内部が繋がっておらず往来ができない場合)については、親族の居住部分に対応する敷地の評価減が従来認められていませんでした。ところが平成25年度税制改正で、二世帯住宅の構造要件が廃止され、26年1月からは独立した構造であっても、被相続人及びその親族が居住していた部分の何れも評価減が認められる様になりました。此の処、プレハブメーカーが相続税対策として二世帯住宅建設を頻りにPRしています.
然しながらそれ程単純な話なのでしょうか?

小規模宅地等の評価減の特例が受けられる、特定居住用宅地等の取得には次の4つのパターンがあります。(租税特別措置法第69条の4、施行令第40条の2)
「被相続人、又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等」を
ⅰ)被相続人の配偶者
ⅱ)被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の親族で一定の者
ⅲ)被相続人の親族で、相続開始前3年以内にその者又はその者の配偶者が所有する国内所在の家屋に居住したことがない一定の者(被相続人の配偶者又は相続直前に当該家屋に居住していた被相続人の親族がいない場合に限る)
ⅳ)被相続人の親族で、被相続人と生計を一にしていた一定の者  
のうち誰が取得するかです。
今回の改正では、此の内ⅱ)の同居親族の取得に関する変更が有った訳ですが、参考までに改正前の条文は次の通りです。
ⅱ)被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物(政令で定める部分に限る)に居住していた被相続人の親族で一定の者
建物が家屋に変わっていますが、家屋とは人が住むための建物を意味します(新明解国語辞典)ので、語彙変更に然程の意味はないでしょう。改正の主旨は、税制改正大綱にも明記されている通り、単に二世帯住宅から構造要件を撤廃することに有る様です。

相続税対策の最重要ポイントは、小規模宅地等の評価減の適用が受けられるかどうかです。配偶者の一方が亡くなった場合であれば、他の配偶者が相続すれば居住要件その他が一切有りませんので話は簡単です。ところが此の後に第二次相続が起きると俄然話が違ってきます。核家族化が進み、親と同居する子供夫婦は然程多くないのが実情でしょう。そうなると上記ⅲの非同居親族の条件を満たすしかないのですが、現実には住宅ローンを組んで持ち家を取得済みの方が少なくありません。相続が起きたからといって直ぐに対応できる訳ではないのです。さすれば、二世帯住宅を建ててⅱの同居親族の要件をクリアして評価減を取ると言うのは確かに有用な方法かも知れません。

ところが幾つか問題があります。
先ず二世帯住宅の建設資金をどうするかです。建設資金は全額親が拠出し、全て親名義で建物の所有権登記をするとなると、余程多額の金融資産をお持ちの親御さんは別として、大事な老後の生活資金に支障をきたす怖れが出て来ます。そこで親と子供が共同拠出して、夫々の負担割合に応じて登記することが考えられます。家屋の所有に関しては、被相続人或いは被相続人の親族何れでも差支えありません。この場合、登記の方法が重要になってきます。一般には共有登記でしょうが、構造次第では区分登記にすることも考えられます。ところが区分所有建物(建物の区分所有に関する法律第一条に該当する建物)については特例の適用が有りません。
この他の留意点ですが、敷地は親の所有なので借地権の認定課税を避けるため使用貸借契約であることを書面で明確にしておくことが必要です。嫁姑などの人間関係にも十分配慮しなければなりません。これが揉めると厄介です。

他に相続人がいる場合も要注意です。そもそも二世帯住宅を建てる時点で異議を唱える兄弟がいるかも知れません。親が亡くなった後に遺産分割協議で揉め事の種になりかねません。これを避けるためには、当該二世帯住宅は同居親族に遺贈する旨の遺言を残すことが考えられますが、他の相続人から遺留分の減殺請求を起こされる可能性が有りますので万全と言う訳ではありません。相続が争族にならない様に心掛けましょう。

相続後の物件管理も考えておく必要があります。親の居住部分は賃貸に出すと言う選択肢もありますが、賃貸住宅市況を見るとそう簡単でもなさそうです。賃貸ではなく売却する選択も有りますが、二世帯住宅の様な特殊仕様の物件はどうしても制約が有ります。折角多額の建設資金を注ぎ込んでも、充分な回収ができない可能性があります。
何れにせよ、相続税対策と言う狭い視野に捉われることなく、多面的に検討した方が良さそうです。

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<Office MⅡ>松浦章彦税理士事務所 [ホームページ]

税理士 松浦章彦

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