コラム

 公開日: 2013-06-27  最終更新日: 2014-07-31

遺留分の減殺請求はここに気を付けて!


Question
信託銀行から連絡が有り、先日亡くなった姉妹の相続に関する説明が法定相続人に対して行われました。私共は5人兄弟姉妹で、今般亡くなったのは長女。存命しているのは三男の私と次女だけで、その他の兄弟は既に死亡(夫々実子あり)しています。なお長女は生涯独身だったので配偶者・子はいません。公正証書に拠る遺言書が作成されており、「所有する財産の全てを次女に相続させる」と書かれています。大分以前の話になりますが、亡くなった両親の財産を、生前贈与などの方法で長女が略独占した経緯がありますので、今回の遺言内容には納得が行きません。法定相続人に係る遺留分の減殺請求などにより、異議を唱えることは可能でしょうか?

Answer
お話を伺う限り、どうも男兄弟よりも姉妹の方が一枚上手だった様です。尤も、次女の方も高齢かつ独身とのことなので、この方が亡くなった時にどうなるのか心配になります。それはさておき、ご相談に対する回答ですが、民法第1028条で兄弟姉妹には遺留分がない旨が明記されています。勿論、兄弟姉妹の代襲相続人たる甥姪にも遺留分はありません。公正証書遺言が作成されており、手続き的には特段の瑕疵がない様なので、意義を唱えるのは難しいと思います。
折角の機会ですので、遺留分について留意すべき点を幾つかお話しておきます。
①遺留分の減殺請求が出来る人は?
遺留分権利者は、法定相続人のうち兄弟姉妹を除いた者。すなわち、配偶者、子や孫などの直系卑属、親や祖父母などの直系尊属に限られます。被相続人の養子も遺留分権者となります。
②どうすれば遺留分が認められるのか?
被相続人が遺留分を無視して、生前贈与をした、或いは遺言で遺贈や相続分の指定をしたにせよ、それ自体が無効になる訳ではありません。飽く迄も、遺留分権者が自ら侵害された権利について、一定期間内に異議(遺留分請求権の行使)を申し立てない限り、何の効力もありません。減殺請求の手続きですが、訴えを起こすとか家事調停の申立てをするとか面倒な手段をとる必要は有りません。単に、権利を侵害して遺贈を受けた人や贈与を受けた人に対し、「遺留分の減殺をする」旨の通知をすればこと足ります。この際には、内容証明郵便を利用するのがBETTERでしょう。但し、遺贈や贈与の履行が既に終わっている場合、相手方が返還に応じない場合には訴えの提起が必要です。
減殺請求できる期間ですが、相続の開始及び減殺すべき遺贈または贈与があった時から1年以内とされています。これを過ぎると時効になります。相続開始の時から10年を経過した場合も同様です。
③遺留分の対象となる財産は?
次の4つですが、この内ⅱとⅳが曲者です。言い換えれば、ⅱ又はⅳの生前贈与と期間制限を上手く利用すれば、上述した様に特定の者による財産の独占と言ったことが可能になるかも知れません。
ⅰ)第一に、相続開始のとき有する財産です。無論、遺贈財産もこれに含まれます。
ⅱ)第二に、相続開始前1年以内になされた贈与です。1年を超えてなされたものは対象となりません。例外的に、贈与者と受贈者の双方が、遺留分権者に損害を加えることを知ってなした贈与財産は対象となります。
ⅲ)第三に、不相当な対価でなされた売買などの有償行為も贈与と見做されて対象となります。この場合は1年以内の制限はありません。
ⅳ)第四に、相続人が被相続人から受けた、婚姻・養子縁組のため・若しくは生計の資本として受けた贈与ですが、これ等も対象になります。
④遺留分の額の算出
遺留分は相続財産の何分の一と言う割合で示されます。この為には相続財産の全体僧を把握しないと計算ができません。実務では良くある話ですが、特定の相続人が情報を囲い込んで他の相続人には開示しないとか、生前贈与の事実を隠すと言ったことが往々にしてあります。確定申告が必要な相続であれば、相続財産の総額や生前贈与が有る程度分かりますが、これ以外のケースではかなりの困難が伴う可能性があります。

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