コラム

 公開日: 2013-06-26  最終更新日: 2014-07-31

娘夫婦に対するマンションの生前贈与


Question
地方都市に住んでいます。自宅とは別に都内にマンションを所有しており、現在娘夫婦に管理費程度の家賃負担で住まわせております。相続対策としてこのマンションを娘に生前贈与してはどうかと考えていますが、贈与税がどうなるでしょうか?マンションの評価額の計算方法についても併せてご教示下さい。

Answer
先ず、マンションの無償貸与(使用貸借と言います)に付いてです。管理費や固定資産税程度の家賃収受であれば使用貸借になります。相続税基本通達9-10では、親と子その他の特殊関係者間の家屋の無償貸与については、課税上弊害がない限り贈与税の課税をしないとの取り扱いになっています。今回のケースもその様な理解で良いと思います。
次に生前贈与に付いてです。ご事情は様々かと思いますが、マンションの生前贈与に関するご相談が増えています。生前贈与の申告には、2つの選択肢があります。暦年単位課税を選択するか、相続時精算課税制度を選択するかです。暦年単位課税は従来からあった贈与税の課税方法ですが、年110万円の基礎控除を超える贈与があった場合には、翌年3月15日までに贈与税の確定申告をしなければなりません。複数の贈与者から贈与があった場合は、受贈された方の受取り額が年累計で110万円を超えるかどうかで判定します。10%〜55%の超過累進税率が適用され、4500万円を超える部分についての税率は55%となります。
相続時精算課税制度は、H15年の税制改正で導入された制度で、以下の様に要件が限定され且つ申告の手間が掛かりますが、特別控除額が25百万円と大きくまた贈与財産についての種類・価額・回数についての制限がないので本件の様なケースには有効です。但し、飽く迄も本質は延納制度ですので、ご相談者の相続発生時に相続財産が基礎控除を超えるようですと暦年課税よりも不利な結果となります、
相続時精算課税制度を簡単に纏めてみますと
イ.贈与者は贈与をした年の1月1日に於いて60才以上であること
ロ.受贈者は贈与者の推定相続人である直系卑属(孫を含む)のうち、贈与を受けた年の1月1日に於いて20才以上であること
ハ.相続時精算課税制度の適用を受ける受贈者は、贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期限内に、相続時精算課税選択届出書を贈与者毎に作成し、贈与税の申告書に添付して所轄税務署長に提出すること
二.相続時精算課税制度選択届出書には、受贈者の戸籍謄本・付表写し・贈与者の住民票・戸籍付表写し・その他の書類を添付すること
へ・贈与者が死亡した場合、相続時精算課税制度適用者は、相続や遺贈により財産を取得したか否かに関わらず、相続時精算課税適用財産を相続税の課税価格に加算して相続税の計算を行うこと
と言った内容です。
評価ですが、相続税財産評価基本通達にはマンションについての規定がないので、宅地と建物に関する評価方法を個別に用いて計算することになります。建物部分は固定資産税評価額を用いるので簡単です。土地部分はマンションの敷地全体を路線価で評価し、これに区分所有者の敷地権割合を乗じて持分を算出しますが結構厄介です。広い宅地については、広大地として減額補正が行われますが、マンション用地については適用がありません。
この結果、評価が特別控除額の25百万円以下であれば贈与時に課税は起きませんが、超える場合は20%の単一税率で超過部分に課税されます。尤も贈与財産が25百万円を超えて贈与税を納めたとしても、特定贈与者の相続財産が基礎控除以下であれば納付済みの贈与税は全額還付されますので金利以外に実質的な負担はありません。超える場合は贈与時の評価相当額(25百万円控除前)が相続税の課税価格に加算されます。納付済の贈与税は相続税から控除されます。
相続時精算課税制度と抱き合わせで、直系尊属から住宅資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税(H25-1200万円/H26-1000万円)を利用することが考えられます。但し、相続時精算課税制度と異なり贈与財産は住宅取得資金すなわち金銭に限定されるのでマンションをそのまま贈与する場合には使えません。一部を贈与、一部を譲渡にする必要がありますが、特殊関係者への譲渡については非課税の適用がありませんので、本件では難しいとの結論となります。
マンションの一部を譲渡、一部を贈与という方法を採ると更に不都合なことが起きてしまいます。贈与の場合には相続税評価額により評価すると申し上げましたが、このケースでは不動産の負担付き贈与として扱われ(H元年3月29日付個別通達)全体を時価で譲渡したものとして贈与税が課税されてしまいます。従って一部譲渡、一部贈与は避けた方が懸命でしよう。
以上ですが少しややこしかったでしょうか?

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<Office MⅡ>松浦章彦税理士事務所 [ホームページ]

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