コラム

 公開日: 2016-06-13 

偏頗弁済(へんぱべんさい)とは

破産申立てに際して、偏頗弁済は認められない、とはよく言われていることだ。

具体的にはどういうことなのか。

偏頗弁済行為とは、破産処理の大原則であるところのすべての債務者に対して平等に返済(配当)しなければならない、という決まりを破ることで[詐害行為取消権]に該当するとみなされることである。

偏頗とは、偏って(かたよって)いることすなわち特定の誰かに支払ったり返済したりすることを指す。主に倒産直前にこれを行うこと。
債権者に指摘されたり破産管財人によって否認されると、[詐害行為取消権]によって返還しなければならなくなることがある。

どのような行為が偏頗弁済になるのか。
・破産申立て直前に特定の買掛金を支払うこと。
・破産申立て直前に特定の借入を返済すること。
要は、詐害行為のところで述べた“破産申立て直前に特定の債権者に支払いを起こしたり返済すること”がこれにあたる。すなわち、偏頗弁済は詐害行為の一つの形(最も多い形)なのだ。

運用に際してのハードルは三つある。

一つは申立て代理人の弁護士に受任していただけないことだ。
申立て代理人の弁護士に相談に行った場合に、明らかな偏頗弁済があれば、受任していただけないことがある。

二つ目は破産管財人によって見抜かれて否認されることだ。
その場合には、支払ったり返済したりした現金は、元に戻されることになる。場合によっては破産管財人によって裁判が起こされることもある。

三つ目は、あまりに悪質な場合には、裁判官によって、破産は認めていただけるが、[免責]が得られなくなる可能性がある。
それでは、何のために破産するか意味がなくなってしまう。

…ただ、ここには大きな問題がある。

仮に、破産申立て直前に連鎖倒産しそうな買掛先があったり、返済しなければその後の人間関係に大きな毀損が想定できる親族からの借入があったとした場合、そのまま申立てれば、優先債権の税金や社会保険に行ってしまうか、債権者への配当となってしまう。
しかし、連鎖倒産しそうな買掛先や、どうしても返済したい個人(母親)からの借入金にはまわらない。
倒産する者の意志としては、連鎖倒産しそうな買掛金にや、個人(母親)からの借入金の返済や回したいのだが、それでは偏頗弁済になり詐害行為になってしまう。

このような場合、申立て代理人の弁護士に相談するとどうなるか。
「ノー!」と言われるのは、避けられないだろう。上の一つ目のハードルだ。
なぜならば、破産管財人に発見されて、一も二もなく[詐害行為取消権]を発動される(上の二つ目のハードルだ)ことになるからだ。

この問題が救済されることはあり得るのか。

百の倒産があれば、百の決着がある。
この問題は一般論では片づけられない要因が大きい。

以下のような要因が左右する場合も大きい。
・倒産の全体の規模に対して、優先して支払いたい債務の比率。
・優先して支払いたい債権者の数。
・その債権額。
・支払いから申立てまでの期間。
・事業停止から破産申し立てまでの期間。
・債権者の全体像(数と金額)。
・申立て代理人の弁護士は協力的か。

すなわち、申立て前処理の段階でこれをやれば救済されることはあり得る。

ポイントとなる最大の要素にの一つは、申立てまでの時間だ。
一定の時間が経由してからの申立てであれば、救済される可能性はあり得る。
破産申立てまでに半年以上の時間があれば救済される可能性は高い、と言えるだろう。

もう一つは、申立代理人の弁護士が協力的かどうか、だ。
ハナから「一切の返済や支払いを認めない」と言うような弁護士では相談するまでもないだろうが、破産管財人に咎められないぎりぎりのところをいっしょに考えていただける弁護士もいることはいる。
どうか、そういう有能な弁護士を確保していただきたい。

※ この件は、たいへんデリケートな問題をはらんでいるので、これ以上のことは、ここでは触れられない。
※ 恐縮だが相談にいらしていただければお話しできる、とだけ申し上げておく。しかし、どう見てもダメなケースも多く、すべてが救済される保証は、残念ながらない、と言わざるを得ない。

倒産する者にとって、偏頗弁済になって詐害行為取消権が行使される可能性があっても、優先的に救済すべき債権者は、できるなら救済したいというのが本音だ。
その可能性があるのに、本来は依頼人の利益を守るべき申立て代理人によって、その芽を摘まれるのはとてもつらいことだ。

わたしは考え方は、このような事態での“見逃しの三振“はしたくないので、“最後までバットを振るべき“だと思うのだが、協力していただける弁護士はかなり少ないのが現実なのである。

そのような相談に乗っていただける弁護士も、いるにはいる。

※これら、[倒産]や[破産]についての詳しい情報は、わたしのホームページ
  『倒産と闘う!』http://nitemare.jp/を参照してください。

この記事を書いたプロ

内藤明亜事務所 [ホームページ]

経営コンサルタント 内藤明亜

東京都新宿区北新宿1-17-3 金元ビル202 [地図]
TEL:03-5337-4057

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