コラム

 公開日: 2016-05-02 

倒産処理と弁護士

倒産処理に弁護士は不可欠だ。

わたしは、倒産処理のコンサルタントとして21年間で800件を超す対応をしてきた。
その間、依頼人の方が連れてきた弁護士や、若手老練を問わず弁護士からの売り込みも含めてたくさんの弁護士に会ってきた。
なかには「非合法もやります」とはっきり言った弁護士もいた。

では、わたしが弁護士をどう思っているか。
このことはちょっと書きにくいのだが、正確に書いておこう。

倒産処理に弁護士は欠かせない。
法的処理の[法人の破産」については、申立て代理人、破産管財人。みんな弁護士でなければならない。
申立て代理人については金融機関との交渉に必要な“代理権”が弁護士にしか認められていないうえ、地方裁判所が弁護士が代理人になっていないと申立てそのものを受け付けていただけない。
破産管財人については地方裁判所から委嘱を受けて、準公務員的な立場が与えられるのだから致し方ない。
私的処理の[任意整理]も、これに準ずることになる。
この領域は弁護士の独占領域なのだ。弁護士の資格を持っていないと全く参入できない。

この領域に弁護士以外が入ってくることはちょっと考えられない。
それはそうだろう。非合法の人たちが入り込んで来たら、倒産処理はめちゃくちゃになってしまうことだろうから。
将来あるとしたら、国家資格の[倒産処理士]などの資格を設定してその有資格者に開放することは考えられるが、あまり現実的ではない。

倒産する者の視点から見ると、申立て代理人の費用も、破産管財人の費用も破産者(倒産者)が払っているにもかかわらず、必ずしも破産者の利益を優先していただけないという違和感があることだろう。

破産管財人の費用が国から出ていると思っている人は多いが、実は予納金(ほとんどが破産管財人費用だ)と破産者の財産処分で得られたお金の中から裁判所の指示で破産管財人に与えられるものも多いのだ。

倒産の経済的な局面は、破産者が債務超過になっているので支払いきれない(返済できない)債務を抱えている状態の中で、破産者の財産を換金し債権者に配当するということだ。
そうした局面にあっては、破産者の利益を最優先することはできないということはうなずけるが、破産者の希望が全く聞いていただけないことは、破産者にとっては違和感が残るのだ。
・連鎖倒産が起こりそうな買掛先に支払いたい。
・友人からの借り入れを返済したい。
など、人間関係が毀損されそうなことも、偏頗弁済(詐害行為)に抵触するとして全く認めていただけないことも多い。

このようなことは、時間が申立て直前である場合や、金額が多い場合が認められないのはわかるが、それによって抑えられた出費(すべてではない)が破産管財の報酬に上乗せされるのは、やはり違和感がある。
せめてその一部だけでも認めていただけないものか、とそのような運用を見せる破産管財人に遭遇するにつけ、いつも思う。
申立て代理人の弁護士によっては、破産管財人に働きかけて実現していただけるように動いてくれることもある(わたしが関与している場合は必ずそうする)が、なかなか難しい問題だ。

弁護士の経済的なプリンシプルは二種類あると思われる。
・依頼人の利益のために働く
という弁護士と、
・いただける費用の範囲で働く
という弁護人に。
誰がその費用を出すのか、という面には興味がないのだろう。

弁護士は、浮世離れした価値観を持っている人が多いということなのだろうか。

※これら、[倒産]や[破産]についての詳しい情報は、わたしのホームページ
  『倒産と闘う!』http://nitemare.jp/を参照してください。

この記事を書いたプロ

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東京都新宿区北新宿1-17-3 金元ビル202 [地図]
TEL:03-5337-4057

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