コラム

 公開日: 2015-11-10  最終更新日: 2015-11-16

地方都市の倒産処理(弁護士)環境

倒産処理(法人の破産処理)には、申立て代理人の弁護士と破産管財人(これも弁護士)が必要になる。
しかし地方都市の場合には弁護士環境が整っていないケースが多く、スムーズに運ばないことが多いのが現実である。

ある地方都市のケースを見てみよう。
S県のM地方裁判所・I支部の管轄を調べてみる。
S県弁護士会・I地区の弁護士数は[11人(平成27年)]。
このエリアの地方銀行は三行。信用金庫がひとつ。信用組合がひとつ。合計で五つの地方金融機関がある。

金融機関は当然のことながら弁護士を顧問に雇うことになる。八人の弁護士のうち五人はこれらの金融機関の顧問になってしまう。一般的には、キャリアの長いそのエリアのボス的な弁護士が金融機関の顧問になる傾向が強いものだ。

倒産案件があると、申立て代理人の弁護士を探して委任しなければならないが、金融機関とはほとんどの場合利益が相反するので、金融機関の顧問弁護士は受任できない(もちろん破産管財人も利益相反の理由で受けることはできない)。
八人の弁護士しかいないエリアで五つの金融機関があれば、申立て代理人を受けてくれる弁護士を探すのは困難を極める。

金融機関の顧問だけではなく、そのエリアの有力企業の顧問をやっていることも充分考えられるので、業種によってはここでも利益相反があり得るので申立代理人を受けてくれる弁護士を探すハードルはより高くなる。

このような弁護士環境で、破産申立てをしようとすると、どうなるか。
申立て代理人を受任してくれる弁護士を探すのに手間がかかり、もし見つかったとしても、地方裁判所が任ずる破産管財人の引き受け手がいなくなる。
そうなると、時間がかかることになる。わたしの聞いたケースでは、半年以上破産管財人が決まらなくて、破産の申立てはしたが一切の処理が止まったまま、〝宙ぶらりん〝になっているという事実があった。

このような地方都市のそのエリアでの弁護士会の集まりでは、申立て代理人と破産管財人が同席することになる。
このふたりの間には、弁護士業界特有の出身校やキャリアによる序列が厳然とある(弁護士業界は、思いのほか体育会的な体質を持っている)。
先に書いたように、金融機関の顧問弁護士はそのエリアでのボス的な弁護士がなる可能性が高い。はたして申立て代理人の弁護士は依頼人のためにそのボス弁護士を相手に全力で戦ってくれるだろうか。

答えが「否」であることは自明である。

考えてみると、申立て代理人の弁護士費用も、破産管財人の費用も(予納金という形で地裁を経由しているが)倒産者が支払っているのである。
にもかかわらず、地裁のハンドリングと弁護士の都合で処理が進まないとしたら、とんでもない事態であるといわざるを得ない。

このような環境にあって問題を解決する方法は、その地方裁判所(弁護士会)を離れて申立てを行うしかないと思われるが、地裁も弁護士会もそれを歓迎しないので、相談に行っても打開ができない傾向が強い。地裁によっては「東京地裁など他の地裁に持ち込むなど、そんなことは絶対にできない」と断言するケースもある(わたしは依頼人を通じて確認している)。
わたしは、そのような依頼人に対して、東京の弁護士を申立て代理人にして、東京地裁(民事20部)に申立てたこと(破産管財人も東京の弁護士になる)が何回もある。

※ 上に挙げたS県の詳細は以下である。
島根県・松江地方裁判所・出雲支部。
島根県弁護士会・出雲地区の弁護士数は[11人(平成27年)]。
このエリアの地方銀行は[島根銀行][鳥取銀行][山陰合同銀行]の三行。
信用金庫は[島根中央信用金庫]。信用組合は[出雲信用組合]。
合計五つの金融機関がある。
以上はわたしが調べた任意の一例である。
わたしはいままでこのエリア(地方裁判所)で対応したことはないことを、表明しておく。

※これら、[倒産]や[破産]についての詳しい情報は、わたしのホームページ
  『倒産と闘う!』http://nitemare.jp/を参照してください。

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