コラム

 公開日: 2016-01-12 

倒産処理の種類 [B-b] 任意整理

倒産処理の種類 [B-b] 任意整理

任意整理とは、[法人の破産]が裁判所の管理下(破産管財人の管理下)で処理されるのと同じように進められるのだが、裁判所(破産管財人)の支配下ではなく、倒産者の委任した弁護士の手によって進められる方法である。

実際の運用は法的処理とほとんど変わらないのになぜこの運用方法があるのかというと、第一に費用の面で予納金が必要ないので大幅に軽減できるからで、第二に裁判所(破産管財人)の支配下ではないのである程度運用の〝自由度〝があることだろう。逆に、倒産会社のいいように運用されてしまいそうなので認めない、という債権者もいる。

この運用量の正確なデータも当然ないのだが、倒産案件を多く扱っている弁護士に聞くと、法人の破産(予測では10%未満)よりも少ないのではないか、といっている。
この運用方法は、倒産処理の核となる会社の財産を換金しそれを債権者に配当するという作業を、倒産会社が委任した弁護士が破産管財人的な役割を担う方法である。

この運用方法が選ばれるには大きな条件が必要になる。
それは、多くの債権者かこの運用方法を認めるか、あるいは大きな債権を持った債権者がこの運用方法を認めなければ、この運用は進められなくなって、法的処理(法人の破産)にゆだねることになる。

より具体的な条件を挙げるならば、金融債務には抵当権や根抵当権あるいは連帯保証人がついていて金融機関には損害が生じないような環境(金融機関は任意整理には応じない傾向が強い)で、債権者の数が少なく、あるいは債権者のうちに圧倒的な債権者がいる(その債権者が任意整理に賛同している)、そのような環境であるということだ。

具体的な運用は、最初の段階は法人の破産が申し立て代理人の弁護士によって進められるのとまったく変わりはない。
そのせいか、任意整理の方法で倒産処理を進めながら、債権者の賛同が得られなくなった段階で法人の破産に移行するという運用もたまに見かける。
まずは、倒産会社が説明会を開催して、倒産会社の社長と弁護士が倒産会社の財産と債務の全体像が示され、配当の方針が説明する。

わたしが見てきた任意整理は、配当ができないために法人の破産ができない、というパターンが最も多く、特定の債権者が嫌がる倒産社長を引っ張り出してピリオドを打つために説明会を開くようなパターン、その他弁護士が主導権をもって任意整理の説明会を開くパターンが多かった。

その運用は、会社の財産を委任された弁護士が換金し、税金や社会保険、その次に給与など人件費という優先債権や、弁護士費用が支払われ、その残りから一般の(主に営業上の)債権が支払われるながれは、基本的には法人の破産と同じ流れになる。

この運用では、一般債権者には平等に配当されなければならないというルールはなく、債権者が了解すればそれは認められることになるので債権者に納得していただけるように運用することが多い。

会社が事業をやめる日には、倒産者が委任した代理人の弁護士が会社に貼紙をし、同時に倒産者が作成したリストに基づいて債権者に代理人の介入通知を出す。

その内容は法人の破産とほとんど同じで、おおよそ以下のようになる。
この会社は事業をやめ破綻処理に入った、ついては代理人となったわたし(弁護士)が代理人に委任されたのですべての連絡はわたしにされたい。当事者であるこの会社の社長には直接連絡を取らないように。債権者は債権額をわたしに申告されるように。代理人の住所、氏名、連絡先。
そうなると、会社そのものは法人の破産とほとんど同じ状態になる。

社員は、給与と会社の規定にあれば退職金、それに解雇予告手当(一か月分の給与額)が支給され、雇用保険に入っていれば、一定の手続きの後[失業保険]をもらうことになる(倒産は解雇なので失業保険はおおよそ一週間後にはもらえる)。これらは社員の権利であるから、法人の破産とまったく同じになる。

買掛金などの一般債権者は、委任を受けた代理人の弁護士に債権の申告をして配当を待つことになる。

ローンやリースは、その物件を持っていかれてしまい、残ローン(残リース)は一般債権となる。

一般管理費関連(水道光熱費、賃借料、など)も一般債権となる。

金融機関も別除権は行使するだろうが、それ以外は一般債権となる。
売掛金は、だいたい最後の段階で経営者が回収してしまっている場合が多いものだが、もし残っていれば、代理人の弁護士が回収することになる。

税金や社会保険が未納だったりすると、税務署や社会保険事務所が差し押さえをすることもある。

売掛先に社員が取りにいったり、債権者が取りにいったりして混乱する場合もあり、そのような場合、売掛先は支払いを拒否するケースもある。そのようにトラブッたりした場合には、委任を受けた代理人の弁護士が裁判を起こして回収することもある。

債権者への配当は、一律でなければならないというルールはないので、個別交渉で了解点に達すればその了解された金額が配当となる。

これは、[弁護士費用]だけで済む。
弁護士費用はこれも作業量と難易度によって、わたしが見てきた範囲では百五十万円から三百五十万円程度の開きがあった。倒産処理にはそれほどの差があるということだと理解していただきたい。
それでも、法的処理で法人の破産を地裁に申し立てるとかかる予納金がない分、弁護士費用は高くなるが、差引では安価に済むと言えるだろう。

会社の財産の売却や売掛金の回収を終え、それが配当され、債権者がそれを了解すれば任意整理は終結する。

先にも述べたが、わたしが見てきた任意整理は配当できないケースが最も多かった。
それは、倒産処理を[放置逃亡]することなく、一度立ち止まって処理するという道を経ることで再起やその後の生活に少しでも安定感を持とうとする意思と見えた。
この運用の場合には、裁判所(破産管財人)に裁定が入らないので、ある日にすべての決着がついた、というカタルシスはない。

場合によっては、説明会などではどうしても納得してくれない債権者もあるし、その場合は個別の話し合いで譲歩した配当を付すことで決着するようなこともあり得る。

任意整理で決着がつくのはあくまでも会社の倒産だけで、代表者などの連帯保証人の問題までも解決できるわけではない。
そのために、必ず連帯保証人の個人破産がついてまわる。
中小零細企業の倒産には、金融機関からの融資に代表者の連帯保証がほとんど100%ついているので、法的処理で法人の破産をしても私的処理で任意整理で処理しても代表者の個人破産は避けられない。

個人の破産については別に詳しく触れつもりだが、今まで述べてきたなかで、弁護士費用はこの代表者や第三者の連帯保証人の破産が含まれていることをお断りしておく。

※これら、[倒産]や[破産]についての詳しい情報は、わたしのホームページ
  『倒産と闘う!』http://nitemare.jp/を参照してください。

この記事を書いたプロ

内藤明亜事務所 [ホームページ]

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東京都新宿区北新宿1-17-3 金元ビル202 [地図]
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