コラム

 公開日: 2015-06-29 

倒産処理の原則

放置逃亡などの処置とはいえない方法以外の、真っ当な倒産処理の原則は、[会社の財産をすべて換金して、会社の債務に充てる(配当する)こと]に尽きる。

そのための方法として、もっともニュートラルなものは地方裁判所に任命された[破産管財人]が関与する、法的処理方法である[法人の破産]となる。
この破産管財人が任命されるまでの間は、倒産会社の経営者が委任した申立て代理人(弁護士)が一定の処理(申立て前処理)を進めるが、最終的に破産管財人に移管するので、きわめてニュートラルに進められるのが常だ。

同様のことを行うが、法的処置ではなく任意で処理されるのは[任意整理]となる。
この場合の会社の財産の換金と配当を行うのは必ず[弁護士]になる。なぜ弁護士かというと代理権を持った代理人でないと金融機関が認めないからだ。
仮に倒産会社の経営者や、その友人などが処理を行おうとしても、他の債権者が認めても金融機関は認めないので、代理権のある弁護士を連れてこなければ処理不能になる。
この方法は、破産会社の経営者が連れてくる代理人(弁護士)が行うことになるので、破産管財人に較べるとどうしてもニュートラルさに差が出てくると言わざるを得ない。

法人の破産になるか任意整理になるかの分岐点は、第一に費用にかかってくる。
法人の破産は[余納金]など裁判所に支払う費用がかかるが、任意整理ではその出費がなくなるからだ。
それ以外に、裁判所に明らかにできない要因があるような理由で任意整理にすることもあるようだが、実際のところは相談に行った弁護士に「そうしたほうがいい」といわれた言葉に従った、ということが多いようである。
わたしが見ている限り、倒産処理に習熟していない弁護士は法人の破産しかできない。
そういう依頼者に費用のかかる方法しか提示できない弁護士にしか巡り合えないというのは、〝倒産者の不幸〝だとわたしは思っている。

誰がやるにしても、会社の財産の換金というのは、悲しい作業だ。
倒産会社であれば、最後の財産として[現金預金]が残っていることは稀だ。
会社所有の[不動産]があれば売却するのが当然だが、無傷で残っているようなケースは皆無で必ず抵当権や根抵当権がついている。そうなれば抵当権者による競売などの売却を待つことになる。
[売掛金]があっても、それは配当原資になるだけで倒産会社の経営者が自由に使えるわけのものではない。中には倒産した会社からの買掛金は払わない、とわけのわからないことを言って困らせるやからもいる。
[在庫]も処理が難しい。換金できればいいができないものも多い。仮にできたとしても足元を見られることは当たり前で、処分費用が発生する場合は配当原資にならないこともある。
会社の[器具備品]なども、いまや処理費用を払わなければ持っていってはくれない。いい机がタダで持っていかれる姿はいつも悲しい。早く会社を開け渡さなければならない事情があれば、それも致し方ない。
その他。決算書上にある会社の財産などは、倒産してしまうと実に少なくなってしまうものなのだ。

その、換金された倒産会社の財産が配当に当てられる。
珍しく売掛が貯まっていたり、不動産が残っていたりすると[50%]の配当率などということも稀にはあるが、ほとんどのケースは配当[0(ゼロ)]になる。最も多いゾーンは[1.0~5.0%]というところだろうか。
なぜならば、代理人の費用や裁判所に支払う余納金などの費用(破産管財人の人件費など)はこの回収した費用から支払うことが認められているからだ。
配当が[1%]と[10%]では十倍債権者に喜ばれるかというと、決してそんなことはない。配当は[100%]でなければよろこばれないのが倒産処理の常道なのだ。

実際には、代表者や第三者の連帯保証があったり抵当権があったりするので、倒産は実は[財産問題]に発展することが多いものだ。
社員や役員間の[人間関係]が、複雑に入り乱れている場合もある。
また、[連鎖倒産]が起こりえることも倒産問題の苦しい側面だ。
そうした個別の問題を解決しながら倒産問題を処理し、関係者の再起にむけてのエネルギーを維持することが大事なのだが、毎回そうそううまくいくわけではない。

以上が倒産処理の実務的な原則である。

わたしは以下の三点を倒産処理の最大留意点としている。
① 社員の労働債権(給与、退職金、解雇手当、など)は最優先する。
② 連鎖倒産は起こさない(後味が悪すぎる)。
③ 経営者(とその家族)が、次のステップに移行しやすくする。
これを許さない申立代理人の弁護士と破産管財人が多いことは、悲しい事実だ。

※これら、[倒産]や[破産]についての詳しい情報は、わたしのホームページ
  『倒産と闘う!』http://nitemare.jp/を参照してください。
 

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