コラム

 公開日: 2015-04-13 

抵当権と根抵当権

この二つは法律論的にはいろいろ複雑な問題があるようだが、金融機関と小規模零細企業の債権債務問題で理解するには、以下のことを踏まえておけばいいだろう。

例として、自宅不動産に3,000万円を抵当権(根抵当権)を設定して借りた場合で考えてみる。

[抵当権]の場合は、いつどこで返済するかを明記しなければならず、厳密性、あるいは拘束性という意味では、シバリが強い。
例えば、100万円返済したいとすると、金融機関は原則的にそれには応じることなく、応じるとしたら3,000万円一括で返済し、その上で2,900万円の貸付を行うことになる。それができた場合には、金銭消費貸借契約書は3,000万円を2,900万円に変えて新たに作成しなければならないし、前の抵当権を抹消して新たに抵当権を設定することになるので、当然不動産の抵当権登記も変えなければならない。これを繰り返すと登記簿謄本は煩雑になってしまう。
そのため、一般的には金融機関は不動産などを担保に融資(借り入れ)を実行する場合、[抵当権設定]には応じないものだ。

[根抵当権]の場合は、3,000万円の根抵当権では借りられる限度額(真水)はその七掛け程度の2,100万円くらいにしかならないし、3,000万円借りようと思ったら4,300万円以上の価値のある不動産でなければ金融機関は融資に応じないだろう。
設定は大枠を包括的に決めるので、その大枠の中であれば借入金額が増えようと減ろうと金銭消費貸借契約書や根抵当権の登記を変える必要はない。
同じく、100万円を返済する場合には、表面上の変更は一切ない。

以上のように、契約の変更が生じた場合のわずらわしい手続きを考えると、根抵当権のほうが簡単なので、金融機関はこの[根抵当権]を設定するほうを勧めるのが常なのだ。

ただし、根抵当権の経営者サイドから見たデメリットとして以下のことは考慮しておいたほうがいい。

・不動産の登記簿謄本は大枠の数字で表記される。
根抵当権の限度額を3,000万円にすると、返済が進んで借入残高が500万円になっても、登記簿謄本には3,000万円の数字が残ることになる。
一方抵当権の場合は借り入れている金額がそのまま載ってる。
そのため、他の金融機関と取引をしようとしても、登記簿謄本を見せると大きな根抵当権が残っていると思われるためうまく行かないことが多い。

・金融機関は限度額の引き下げにはなかなか応じない。
上のように限度額3,000万円なのに借入残高が500万円になったからといって、限度額を下げてはくれないことが多い(登記簿謄本の設定数字を変えない)、ということだ。
金融機関にとっては、大きな限度額を設定しておくことがリスク回避につながるので応じないのだ。

中小零細企業にとって、抵当権か根抵当権かの選択肢はなく、根抵当権が押し付けられることになるのが現実だが、その設定、そして設定変更には充分留意しなければならいと思っていただきたい。

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