コラム

 公開日: 2015-04-06  最終更新日: 2015-04-27

倒産処理を甘く見るな

事業経営者が事業の継続ができなくなり、刀折れ矢尽きて倒産するのは、死んでしまいたいほど悔しいものだ。

そこで最後の勇気を振り絞って、倒産処理をしようとしてネットで調べたり弁護士に相談したりすると思った以上に費用が掛かることに驚き、失意の中で処理をしようとしている気持に追い打ちをかけるように、さらに絶望的な思いに陥れられることになる。

【倒産処理の大原則】
倒産処理は、会社の財産をすべて換金し債務(未払、借入)に充てる(配当)ことだ。これが大原則。
その際、債務のほうが大きくて債権者を出してしまうことが避けられず、それこそが[倒産]となる。
当然100%の配当はあり得ない。配当が0%ということもよくあることだ。
この配当を債権者の誰からも苦情が出ないように処理するのは、だれが考えても至難の業だ。
さらには、事業所の撤去も必要になる。
そこで、その処理を地方裁判所に申し出て破産管財人によって処理してもらうのが[法的処理]であり、[法人の破産]処理となる。
その法人の破産と同じことを弁護士に頼んで[私的処理]することが[任意整理]と呼ばれる手法だ。
どちらにしても、かなりのエネルギーがかる。

【倒産処理の費用】
そのための費用は当然のことながら倒産者が負担しなければならない。
それにはかなりの費用が掛かるのだ。

[法的処理の費用]
[法人の破産]には、[管財事件]と呼ばれるものと、[少額管財]の二種類がある。

[管財事件]と呼ばれるもの(これが法人の破産の標準的処理方法)は、債務総額によって違いのある[予納金]を納めなければならないことになっている。
この予納金とは、地裁に任命されてる破産管財人の費用と考えていいだろう。破産管財人の費用が別途請求されるようなことはない。
最低(債務総額5,000万円以下)でも、[法人分70万円]と[代表者個人分50万円]。[合計120万円]必要になる。
詳しくは[法人の破産・管財事件とは・費用]http://nitemare.jp/?p=1260を参照されたい。
この予納金は債務総額によって定められている。財産との差し引きではないので注意が必要だ。

簡易に処理できる場合は[少額管財]が適用される。
この少額管財でも[20万円(法人と代表者個人)の予納金]と実費(数万円)が必要となる。
わたしは、小規模零細企業の倒産処理は、すべからくこの[少額管財]を目指すべし、と考えている。
詳しくは[少額管財を実現するための要件]http://nitemare.jp/?p=2631を参照されたい。

さらに、これらには申立代理人の弁護士も必要になる(地裁は法人の破産の申立ては弁護士を申立て代理人にしなければ受け付けてくれない)。この費用は難易度によるが[100万以上]はかかる(申立て前処理をしっかりやってくれる弁護士の場合は[150万円以上])。
しかも、依頼人の利益を少しでも守っていただけるような有能な弁護士でなければ、いくら費用をかけても弁護士の商売にされてしまうだけだ。
役に立たない弁護士については[役立たずの弁護士が五人も…]http://nitemare.jp/?p=1266を参照されたい。
弁護士費用についての詳細については[倒産の費用(総額)]http://nitemare.jp/?p=3111を参照されたい。

[私的処理の費用]
地裁に申し立てて破産管財人が介在する方法ではない[任意整理(私的整理)]については、[予納金]は必要ないが[弁護士費用]が過大にかかることになる。
詳しくは[任意整理の弁護士費用]http://nitemare.jp/?p=3084を参照されたい。

事業経営者が倒産の事態を受け入れ、ちゃんとピリオドを打って再出発するためには、上のようにかなりの費用が掛かるのだ。
それまで毎年、何千万円も何億円もの事業をしていた事業経営者が、数百万円の倒産処理費用を前にたたらを踏む局面が訪れるのだ。
それは倒産処理を甘く見ていたからに他ならない。

でも、考えてみていただきたい。倒産処理のためには、
・社員の労働債権を保証し
 -給与、(規定があれば)退職金、解雇予告手当、など
・会社の財産を換金し
 -売掛金の回収、会社財産(不動産など)の売却、在庫品の換金、など
・債権者に連絡して債権調査を行い
 -買掛先、借入債務から光熱水費まで
・可能ならば配当を実行し
 -できなければ0%になるが
・事業所の撤去を行い
 -会社がなくなるので、会社の痕跡(看板、賃貸物件、各種届け出、など)もなくすことになる 
・最終的には債権者の同意を取り付ける。
 -裁判所での債権者集会
これらを行わなければならないのだ。
それを、倒産の当事者である事業経営者がやることを考えれば、かなりの程度の費用が掛かることは納得できるだろう。

よってわたしは常々“半年早ければ”と言い続けている。
せめて、半年早く相談に来ていただければ…。

時間が早ければ、
・倒産処理資金の調達も容易になるし
・心理的心構えにも余裕が生まれる。
それができないと、[放置逃亡]が起こるばかりか、事業経営者として立ち直れないほどのダメージを受けるのだ。
わたし自身の倒産でそれを強く感じたので、後に続く人に同じ思いをしてほしくないのだが、お判りいただけるだろうか。

どうか、倒産処理を甘く見ないでいただきたい。

※これら、[倒産]や[破産]についての詳しい情報は、わたしのホームページ『倒産と闘う!』http://nitemare.jp/を参照ください。

この記事を書いたプロ

内藤明亜事務所 [ホームページ]

経営コンサルタント 内藤明亜

東京都新宿区北新宿1-17-3 金元ビル202 [地図]
TEL:03-5337-4057

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