コラム

 公開日: 2013-10-06 

中小会計要領(その3:英文会計との出会い)

最初に勤めた個人会計事務所は1年足らずで退職してしまいましたが、その後の自分に大きな影響を与えました。

ひとつは所長が当時ビッグ8と呼ばれる会計事務所出身であったことです。独立前の大手事務所では、外資系企業を相手に仕事をしたり、シカゴでの研修を受けていたなどと話を聞かされました。

私が当時担当したお客様の中にも、月次決算書を英文で作成している外資系の会社がありました。勘定科目などの会計用語も英語のものを覚えました。

簿記の「借方」は「Dr.」、「貸方」は「Cr.」、「売掛金」は「Accounts Receivable」、「買掛金」は「Accounts Payable」、「旅費交通費」の「Travel expense」は分かりやすいですが、「新聞図書費」は「Subscriptions」、「水道光熱費」は「Utilities」となると、難易度が高くなりました。

事務所のメイン業務は資産税であるにもかかわらず、外国人のお客様と英語で話しをしている所長を見ると、ビッグ8の会計事務所への憧れが沸いてきたものです。それが結局、私に早い時期での転職を決意するに至らせました。

運よく受験2回で簿財法の3科目に合格できた私(ここまでは順調でした、、、)は、3回目の税理士試験の前に、お世話になった会計事務所を退職しました。受験後、「就活」をして、念願のビッグ6(当時は8社から6社になっていました)のひとつに入社をすることができました。

念願ではあったものの、外資系企業の日本支店や日本子会社の担当を持ち、レポート全て英語の書類と向き合うのには苦労しました。微々たる経験ではありましたが、既に英文の決算書を見ていたことは幸運で、勘定科目についてのとまどいは感じずにすみました。

とは言え、日本語が英語になっているだけではない、なじみのない会計処理もいくつかありました。会計基準のことを英語でGAAP(Generally Accepted Accounting Principles)と呼びますが、米国会計基準のことをUS GAAP、日本会計基準のことをJGAAPなどと呼んでいます。

どの外資系企業にも出てくるUSGAAPで代表的なものは「有給休暇引当金」です。外資系企業の場合は、退職する人から有給休暇の買い取りをする会社が多く、決算時に従業員の有給休暇に応じて一定の引当金を積みます。日本の労働基準法では有給休暇の買い取り制度がないため、この引当金はいまだに日本の会計には現れません。

また当時日本では未導入であった税効果会計もUS GAAPの外資系企業では必須でしたので、法人税の加算・減算項目を参照して、見よう見まねで税効果会計の仕訳を切っていました。

減価償却費も、日本の会社であれば法人税法に定められている耐用年数を用いるのが一般的ですが、外資系企業は会社の会計方針に従って耐用年数を定めています。法人税の調整が必ず出てくるのが特徴です。

そういった仕事をしていた時期は、1990年代の真ん中くらいです。まだ「会計ビッグバン」が来る前の時代。日本の制度会計を学び、実務で外資系企業の会計を見て、アメリカって日本とずいぶん違うものなのだなあと感心していた時期です。

段々、アメリカは税法と会計が違うらしい、日本は大手企業ですら税法基準に引っ張られた会計処理になっていて、どうも遅れているようだといった空気が出てきます。

やがて平成10年の法人税法改正で、賞与引当金、退職給与引当金などが廃止されます。会計上の引当金は、税法上否認されますが、会計と税法の差異は、税効果会計で調整をするという時代がやってきます。

今思うと、グローバルの流れであるかのように廃止されてしまった税法の各種引当金ですが、中小企業の目線としてはこれらの廃止は残念なことであったと思います。

しかし中小企業実務から離れていた私は、当時はそんなことは全く感じず、日本の会計がグローバルになっていく様が、あたかも理想の道を歩んでいるかのように見えていました。

(このテーマの3回目終了。次回はシンガポールで見た会計実務のことなど書きます。中小会計要領にはまだもう少しかかります。)

税理士法人シンフォニアのオフィシャルサイト↓
http://www.sinfonia-tax.com/

調布 相続相談センター ↓
http://www.nishiyama-tax.net/

ブログ毎日更新しています!
調布の税理士西山のブログ

この記事を書いたプロ

税理士法人シンフォ二ア [ホームページ]

税理士 西山実

東京都調布市小島町2-45-22 ワイズビル202 (2011年11月28日移転) [地図]
TEL:042-444-0582

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
東京都調布市の税理士法人シンフォ二ア 西山実さん

リアルタイムの経営業績を提示、会社を強くサポート(1/3)

 京王線調布駅から徒歩3分、緑と街が豊かに調和した場所に西山実税理士事務所はあります。ドアを開けると物腰が柔らかい温かな笑顔で出迎えてくれた西山実さん。税理士としての誠実さや明快さが心地良い、話しやすい人柄が印象的です。 西山実税理士事...

西山実プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

会社名 : 税理士法人シンフォ二ア
住所 : 東京都調布市小島町2-45-22 ワイズビル202 [地図]
(2011年11月28日移転)
TEL : 042-444-0582

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

042-444-0582

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

西山実(にしやまみのる)

税理士法人シンフォ二ア

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
動画による相続税セミナーのご案内です

お申し込みはこちらへ

[ 相続税・贈与税 ]

「調布 相続相談センター」開設しました!
調布 相続相談センター

「税理士法人シンフォニア」と「くすのき法律事務所」の共同運営で、「調布 相続相談センター」を開設いたしまし...

[ ごあいさつ ]

国外転出課税

平成27年税制改正の中でも最も注目されるのが「国外転出課税」です。これは1億円以上の有価証券等を保有する者...

[ 税制改正のゆくえ ]

寡婦控除と寡夫控除

確定申告が始まっていますが、市役所の税務相談会などで担当していると寡婦控除について質問を受けることがありま...

[ 所得税 ]

2年前納された国民年金保険料の社会保険料控除について

先日税理士会支部の所得税確定申告の無料相談会の担当者説明があり、その席で注意点として情報を頂いてきましたの...

[ 所得税 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ