コラム

 公開日: 2013-09-23 

中小会計要領(その2:実務駆け出し時代)

前回のコラムでは税理士受験における「簿記」と「財務諸表論(財表)」を持ち出して、「簿記は言語」、「財表は理屈」であると述べました。

簿記は言語なので、英語のように使って覚えていくしかありません。ひたすら仕訳を書いて体になじませます。

簿記を語れる人同士の会話は、なかなか楽しいものです。簿記の仕訳を通して、お金の流れをつかむ感覚は、「(できあがっている)決算書を読めます」という(だけの)方とは、数字への踏み込み感が違います。

一方、財務諸表論は理論です。大学の会計学の講義で使う「財務諸表論」テキストを用いて学習します。最初の方のページに書かれていることは大抵、次のような段階を経ている企業会計の歴史です。

① 個人商人のための会計 (報告を前提としない備忘記録的なもの)
② 出資者のための代理人会計 (中世社会で出資を集め船を出し、もうけを出資者に分配するためのもの)
③ 債権者のための会計 (企業の倒産に備えるための借金弁済能力を示すためのもの。財産計算。)
④ 投資家のための会計 (所有と経営が分離された株式会社制度における、投資家への報告のためのものであり、期間損益計算。)

大学の教室では、③の会計を静態論、④の会計を動態論と呼び、時代が新しくなり世の中が近代的になるほど、会計も最新技術が取り入れられてきたという歴史観で捉えています。

大学の会計学の講義においても、税理士試験受験勉強においても、この「投資家のための会計」が先進的な会計目的であり、私自身も疑うことはありませんでした。

大学を卒業し無職のまま受験した2年目は、簿記、法人税、固定資産税の3科目でトライし、秋には初めての就職先を個人会計事務所にしました。

会計事務所に勤めて中小企業のお客様の経理をお手伝いしながら気がついたことは、中小企業会計の実務は、大学の会計学で学ぶような「投資家の会計」ではなく、税務(法人税)を基準とした税務会計と言われるものでした。

私が最初に会計事務所に勤めたときは、世の中はバブル経済で浮かれている時代でした。

企業が持つ不動産や株式の価格も上昇し、取得価額をもとにする「原価主義会計」は時代遅れであり、決算時の時価を反映した「時価主義会計」が先進的であるというムードが高まっていました。

日本の法人税法は「確定決算主義」と呼ばれ、商法(今は会社法)による決算を固め、そこから法人税に固有の調整をして税金の計算をします。法人税法のルールにあわせるために、あらかじめ決算に織り込んでおくべき項目もたくさんあります。

アメリカでは「確定決算主義」によらず、会社法の決算と法人税計算上の決算は、全く別物として計算されます。

時価会計がグローバルスタンダードとして闊歩し、確定決算主義が旧式なものであるかのように語られるようになるのは、バブル崩壊の時期と同じくしていたのではないでしょうか。

私が個人会計事務所を1年余りで退職し、国際会計事務所の税務部門に入社したのは、バブル崩壊より少し前のころです。

世間で名前が通った上場企業や外資系に関係する仕事をしてみたいと思っていたのは、若さゆえでした。

「投資家のための会計」に憧れていたのかもしれません。

(このテーマ2回目終了。次回は、国際会計事務所時代に経験した英文会計や米国会計のことについて書きます。コラムが中小会計要領にたどり着くまでに、まだ実務20年分くらいあります。)

税理士法人シンフォニアのオフィシャルサイト↓
http://www.sinfonia-tax.com/

調布 相続相談センター ↓
http://www.nishiyama-tax.net/

ブログ毎日更新しています!
調布の税理士西山のブログ

この記事を書いたプロ

税理士法人シンフォ二ア [ホームページ]

税理士 西山実

東京都調布市小島町2-45-22 ワイズビル202 (2011年11月28日移転) [地図]
TEL:042-444-0582

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
東京都調布市の税理士法人シンフォ二ア 西山実さん

リアルタイムの経営業績を提示、会社を強くサポート(1/3)

 京王線調布駅から徒歩3分、緑と街が豊かに調和した場所に西山実税理士事務所はあります。ドアを開けると物腰が柔らかい温かな笑顔で出迎えてくれた西山実さん。税理士としての誠実さや明快さが心地良い、話しやすい人柄が印象的です。 西山実税理士事...

西山実プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

会社名 : 税理士法人シンフォ二ア
住所 : 東京都調布市小島町2-45-22 ワイズビル202 [地図]
(2011年11月28日移転)
TEL : 042-444-0582

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

042-444-0582

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

西山実(にしやまみのる)

税理士法人シンフォ二ア

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
動画による相続税セミナーのご案内です

お申し込みはこちらへ

[ 相続税・贈与税 ]

「調布 相続相談センター」開設しました!
調布 相続相談センター

「税理士法人シンフォニア」と「くすのき法律事務所」の共同運営で、「調布 相続相談センター」を開設いたしまし...

[ ごあいさつ ]

国外転出課税

平成27年税制改正の中でも最も注目されるのが「国外転出課税」です。これは1億円以上の有価証券等を保有する者...

[ 税制改正のゆくえ ]

寡婦控除と寡夫控除

確定申告が始まっていますが、市役所の税務相談会などで担当していると寡婦控除について質問を受けることがありま...

[ 所得税 ]

2年前納された国民年金保険料の社会保険料控除について

先日税理士会支部の所得税確定申告の無料相談会の担当者説明があり、その席で注意点として情報を頂いてきましたの...

[ 所得税 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ