コラム

 公開日: 2013-05-26 

外れ馬券は必要経費になるか?

外れ馬券が必要経費として認められた判決が大きく報道されました。

この報道により「当たり馬券の払い戻しって課税されるんだ」「外れ馬券の購入費用が必要経費になることがあるんだ」などと、いろいろな反応があるようです。

個人の所得に課税をする「所得税法」は、なかなか難解です。個人が得る所得を分類して、その分類にふさわしい課税方法を考えています。

たとえば、公務員やサラリーマンがもらう給与・賞与については「給与所得」と分類して、給与所得控除という概算経費を認めています。

個人事業や不動産貸付を営んでいる場合には、「事業所得」「不動産所得」などと分類して、収入から必要経費を控除する他に、青色申告を申請することなどで、青色申告特別控除を認めています。

土地や株式などを売却して得た所得については、他の所得と合算せずに、税金を計算します。

このように所得分類を定めるのは、その所得に対して税金を払う能力があるのかどうなど、それぞれに考え方があってのことです。

その所得分類のOther(その他おおぜい)なものとして、「一時所得」と「雑所得」があります。

法律には、次のように書いてあります。

「一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」

「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。」

難しいですね。

書きぶりは似ていますが、一時所得の説明の中には、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外」とあるところに注目です。

一時所得は、偶発的なところに着目して、収入から経費を引いて、更に50万円の特別控除を認めた上で、2分の1をして課税がされます。一方、雑所得は、収入から必要経費を引くのみの課税方法です。

また、一時所得において、経費の範囲をその収入に直接要した金額に限っているのに対し、雑所得ではそのような限定はありません。

一時所得の具体的な例は、所得税法ではなく税務職員のルールブックと言える「通達」の中で定められています。懸賞の賞金品、福引の当選金品等と並んで、競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等が一時所得になるものとして示されています。

なるほど、馬券の払い戻しなどは、福引の当選みたいに、まぐれで当たるものであり、営利を目的とする継続的行為などではないから、一時所得だとする考え方は理解できます。

「まぐれ」などと言うと、競馬ファンには怒られそうです。しかし、一時所得に分類されることにより、特別控除の50万円までの「もうけ」には課税されないという特典でもあります。

競馬の素人の私は全く知らなかったのですが、今やパソコンソフトで自動的に馬券の購入が行わうことができるんですね。

今回の被告は、「回数、金額が極めて多数、多額で、機械的、網羅的」な取引を大量にやっており、いわばFXなどの取引と同じであり、雑所得と判断されました。

「雑所得」と認められた結果、外れ馬券の購入費は必要経費に認められることとなったわけです。

今回の判決では、パソコンソフトなどで購入履歴が全部残っている人であったことが重要だと思います。

馬券を全部現金で窓口購入している人であれば、たとえ運良く万馬券に大当たりしたとしても、これを雑所得と主張して、購入記録のない外れ馬券の購入費を必要経費にすることは困難だと思います。

今回の判決は、「一時所得」と「雑所得」の所得分類をじっくり考える良い機会でした。また「通達」ではなく、世の中の動きをきちんと捉え、法律解釈をすることが重要であることを再認識する機会でもありました。

みなさまは今回の判決どう思われたでしょうか?

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