コラム

 公開日: 2013-05-19 

資産価値上昇と相続税

昨今のアベノミクスの効果で、国内の資産価値が上昇しつつあります。この資産価値の上昇が、相続税に与える影響を考えてみます。

相続税は、通常は被相続人の死亡時点(相続時)の財産の評価額をもとに税金が計算されます。この例外がいくつかありますが、そのひとつが「相続時精算課税」です。

相続があったときに相続税が課税されますが、この相続税を補完する目的で贈与税が設けられています。

この贈与税、一般的にも知られている年110万円という基礎控除額があります。一年間のうちに贈与により取得した財産が110万円を超えると贈与税が課税されます。この制度を贈与税の「暦年課税」と呼んでいます。

贈与税にはこの「暦年課税」の他に「相続時精算課税」という制度があります。

65歳以上の親が20歳以上の子どもに贈与をする場合に、相続時精算課税の制度を選択することにより、2,500万円の贈与までは贈与税が課税されません。贈与財産が2,500万円を超えると20%の税率で贈与税が課税されます。

この2,500万円は相続時精算課税を選択した年以降、同じ贈与者(親)から同じ受贈者(子)への贈与について累積して用いられます。

例えば、合計3,000万円を親からもらう場合に、3年かけて各年1,000万円づつもらうと、1年目、2年目は2500万円に満たないので、贈与税はゼロ、3年目で2,500円を500万円超えますので、500万円×20%=100万円の贈与税が課税されます。

この贈与者が亡くなった場合、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産を相続財産に合算して相続税を計算します。そして、相続時精算課税の適用を受けていた受贈者(子ども)が納付すべき相続税を算出するときに、贈与税として納付していた100万円を相続税から控除することになります。差し引いた金額がマイナスの場合には、税金の還付を受けることになります。

前置きの説明が長くなりましたが、この相続時精算課税の適用を受けて相続税を計算する場合の価額は、相続時ではなく、贈与時の価額で計算することになります。

不動産や上場株などの評価額が変動する財産については、贈与時点の評価額よりも相続時点の評価額が上昇している場合には、贈与がなかった場合と比較して相続税負担が軽減されることとなります。もちろん逆の場合もあります。

平成25年の税制改正により、平成27年1月1日から相続時精算課税の対象が拡大されます。贈与者は65歳以上から60歳以上、受贈者は子だけではなく孫まで対象となります。今後、利用を検討する方も増えてくると思います。

相続時精算課税は、遺言によらず財産の承継者を決めることができるため「生前相続」などとも呼ばれます。上記の金額の変動リスクを念頭において、税理士と検討してみてはいかがでしょうか。

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