コラム

 公開日: 2011-06-28  最終更新日: 2011-06-29

【公的年金・保険】中国社会保険法施行で大打撃 保険料の掛け捨て・二重払い

ダイヤモンド・オンライン
7月1日、中国で、新たな「社会保険法」が施行される。本法案は昨年10月末の全国人民代表大会常務委員会で可決された。
そこには、日本人を含めた外国人就業者に対する社会保険法の適用が明文化されていたが、適用除外の猶予措置が講じられるとの見方が有力だった。
だが、最近になって、猶予措置の未実施が決定的となり、中国に進出している約 3万社の日系企業に、衝撃が走っている。

問題は大きく分けて二つある。
まず、保険料の「二重払い」である。
日本では労使折半で厚生年金保険料を支払っており、さらに、中国駐在員について中国でも保険料を支払うことになると、両国で保険料を二重に負担することになってしまう。
厚生労働省が、駐在員数の多い北京市の平均賃金を基に試算したところ、中国へ支払う1人当たりの保険料負担額(企業負担と駐在員負担の合計額)は年間約83万円となる見通しだ。
中国には日系企業の駐在員が約7万人いることから、総額約580億円もの二重払いが発生する計算だ。

次に、保険料の「掛け捨て」問題である。
中国では保険加入期間が15年を超えないと年金が支給されない。
そもそも、中国側の年金記録が整備されているとは考えにくく、適正な年金が支給されるのかどうかは怪しい。

「中国における格差問題解決の一助となる社会保障分野の整備がなされること自体は歓迎すべきこと。だが、施行が迫った今もなお、制度の詳細が明らかになっていない」(経団連幹部)と困惑気味だ。中国の省市自治区ごとに制度の運用方針が異なるともいわれており、制度開始時の混乱は避けられそうにない。

問題解決の“出口” は、社会保障協定の早期締結しかない。
協定が結ばれると、駐在期間が短い場合には、駐在国の社会保険料を負担しなくてもすむなど、負担軽減が考慮される。
「その経緯は不明」(厚労省国際年金課)だが、すでに、ドイツ、韓国は中国と協定を締結している。ある製造業幹部は、「ドイツにはフォルクスワーゲン、韓国には現代自動車があるように、両国は自動車産業を中核にした製造業大国。保険料負担は、日本の製造業のコスト競争力を削ぐことにもなりかねない」と危機感をあらわにする。

中国との協議、署名、日本の国会承認など一連の手続きを考慮すると、「協定締結までには3年かかる」(厚労省)。
その日程を少しでも早めようと、厚労省は、中国側の窓口である人力資源・社会保障部に、7月上旬の協議開始を申し入れている。
もっとも、10ヵ国以上が、中国へ同様の要請をしていると見られ、「中国国内の対応に、協定締結に向けた対外業務が加わり、中国側の関係部署のマンパワーが足りない」(電機メーカー幹部)ことを懸念する声が上がっている。
(以上、記事より)

震災後の経済動向から海外進出、特に中国への進出を検討している企業が増えてきている中、社会保険料の二重払い・掛け捨て問題は、積極的に海外進出を予定している企業にとっては大きな課題となります。

日本から出向く従業員だけではなく、現地で採用する従業員の社会保険料負担もとなると、人件費コストとしては相当な額を見込まなければならないでしょう。

また省市自治区ごとに運用方針も異なるとすれば、できれば社会保険料率が低いところにしたいと思いつつも、経済特区などは社会保険料が低くなるとは思えず、所得税と合わせ、海外駐在員と進出企業には厳しい対応といわざるを得ません。

年金協定も早々に締結されるのは難しく、7月から施行されるにも関わらず未だに制度詳細が確認できないとなると、ふたを開けてみてビックリという事になるのでしょうか。

今後の動向をつぶさに確認していく必要があるようです。


社会保障協定の概要
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/pdf/shakaihoshou-gaiyou02.pdf

主要各国の年金制度
http://www.nenkin.go.jp/agreement/system/system_01.html

社会保障協定の仕組みと手続きについて(日本年金機構)
http://www.nenkin.go.jp/agreement/index.html#p03

社会保障協定に関する質問Q&A
http://www.nenkin.go.jp/agreement/question/index.html

各国との社会保障協定、関係法令
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/shakaihoshou-kyoutei.html



★就業規則の作成・見直し、労務管理に関する疑問、
社員のやる気が出る人事・賃金制度の仕組み作りなど
ご相談・お問い合わせはお気軽に
↓↓↓
http://www.nari-sr.net/contact/
メール info@nari-sr.net
03-4300-0485(平日10:00~18:00)


マイベストプロ東京 IT業界を元気にするSE出身社労士
なりさわ社会保険労務士事務所の取材記事はこちら!
http://pro.mbp-tokyo.com/nari-sr/

この記事を書いたプロ

社会保険労務士法人スマイング [ホームページ]

社会保険労務士 成澤紀美

東京都渋谷区幡ヶ谷2-14-9 ヤナギヤビル4F [地図]
TEL:03-6300-0485

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
なりさわ社会保険労務士事務所 成澤紀美さん

元システムエンジニアならではの視点で、IT業界の人事労務の問題を解決します(1/3)

 新宿から京王新線で2つめの幡ヶ谷駅から徒歩1分。代表の成澤紀美さんを中心に、ほとんどが女性スタッフで構成される「社会保険労務士法人スマイング」は、とくにIT業界に特化して、人事労務のさまざまな問題に取り組んでいます。実は成澤さん自身が、も...

成澤紀美プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

IT業界の人事・労務トラブル解決、就業規則に強み

事務所名 : 社会保険労務士法人スマイング
住所 : 東京都渋谷区幡ヶ谷2-14-9 ヤナギヤビル4F [地図]
TEL : 03-6300-0485

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-6300-0485

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

成澤紀美(なりさわきみ)

社会保険労務士法人スマイング

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
社労士業務の専任担当者、給与計算実務経験者を募集中です

現在、業務拡大に伴い、社会保険労務士業務である各手続専任担当者と、給与計算業務担当者を募集しています。!...

月に一度、金曜日が半休という制度を導入している企業
イメージ

長時間労働の是正など、企業は多様な働き方ができる環境の整備が求められきており、社員が働きたくなる職場環境の...

[ 人事・労務 ]

不祥事を抑制する、会社の「価値観」の共有
イメージ

大企業を始めたとした企業の不祥事のニュースが絶える事がありません。なぜ、不祥事は繰り返されるのでしょうか...

[ 人事・労務 ]

働き方は量より質へ
イメージ

長時間労働、過重労働が問題になる中、在宅勤務を活用し、場所に捉われない働き方=モバイルワークを、企業が積極...

[ 人事・労務 ]

大学の就職内定率は、過去2番目の高水準
イメージ

文部科学、厚生労働両省の調査によると、来春卒業予定の大学生の10月1日時点の就職内定率は、前年同期比4.7ポイン...

[ 人事・労務 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ