コラム

 公開日: 2011-03-09  最終更新日: 2011-03-10

過労自殺、国を賠償提訴 遺族「月200時間の残業協定は違法」


日本経済新聞
月に最大200時間の残業を認めた労使間協定と、それを受理した労働基準監督署の対応は違法だとして、過労自殺した男性(当時24)の遺族が22日、国と会社に約1億3千万円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
原告側弁護士によると、民間企業での過労自殺を巡って国の行政責任を問う訴訟は初という。

訴状によると、男性は2007年にプラント補修大手の新興プランテックに入社し、補修工事の監督などを担当。
同社は組合と「納期が切迫すれば時間外労働を月200時間まで延長できる」との協定を結んでおり、男性は08年7月には残業時間が月218時間に達し、同8月に精神障害を発症。同11月に自殺した。
千葉労基署は10年9月に労災認定した。

労働基準法は時間外労働を延長する場合、労使間協定を労基署に届け出ることを義務付けている。
延長は原則月45時間までだが、建設業など一部業種には上限を設けない例外規定がある。

原告側の川人博弁護士は「月200時間という残業協定は異常で、例外規定自体も違法の疑いが強い。事後に労災を認めてお金を払えばいいという問題ではない」と主張。
会社側に是正を求めないまま協定を受理した労基署の責任を問うとともに、訴訟を通じて労働行政の改善を求める考えを強調した。

千葉労働基準監督署の話 訴えの内容を把握しておらず、コメントできない。
新興プランテックの話 訴状が届いてから内容を検討したい。
(以上、記事より)


少し前の記事になりますが、労働基準法ではいわゆる「36協定」を労使間で締結し、これを労働基準監督署へ届出をしないと、時間外勤務・休日勤務は1分もできないものとなります。

これを届け出る事で、一定限度内での時間外勤務や休日勤務ができるものですが、これが特別条項という形の特例を設ける事で、さらに限度時間を超えて勤務できるものとなります。

今回のケースでは、この例外規定の設定が月間200時間の時間外勤務を協定しているというもの。

通常の勤務時間+200時間の時間外勤務とし、週2日の休日をとったと仮定すれば、1ヶ月で376時間、1日あたり17時間勤務となります。

過度な残業が、直ちに発症の原因となるとは限らないにしろ、恒常的だったとすれば身体・精神への影響はゼロではないでしょう。

今回注目されるのは、この労使協定を受理した労働基準監督署に対する責任を問う点です。

会社=使用者側への労災責任を問い、責任度合いに応じた損害賠償を求めるのが通常ですが、今回は過度な協定内容をそのまま受理した責任が行政側にもあるとされています。

この訴えが直ちに労働基準監督署の対応につながるともいえませんが、少なくとも特別条項がついている36協定が届け出されて際には、残業見込みなどに注意して欲しいとは思います。

企業側も、単に特別条項を設けて協定を締結すればよいとするのではなく、本当に必要とされる時間や回数はどの程度となるのか算出した上で、協定内容を検討する必要があるといえます。


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