コラム

 公開日: 2012-02-10 

【ワンポイントQ&A】営業職等のみなし労働時間制、メリット・デメリット

【今回のポイント】

1.みなし時間をどの程度にするのかが大事

2.みなし労働時間とする範囲によっては、残業代が発生する

3.サービス残業のためと従業員が不満を抱かないよう、実態とかけ離れた時間を設定しない


みなし労働時間制とは実際の労働時間の長短にかかわらず、「1日単位で○時間働いた」として扱う制度です。

みなし労働時間制を大別すると、以下の3つに分けられます。
1)事業場外労働のみなし労働時間制
2)専門業務型裁量労働制
3)企画業務型裁量労働制

主に営業職等に利用される制度として「事業場外労働のみなし労働時間制」があります。

この制度の対象となるのは、
1)労働時間の全部又は一部を事業場外で労働した場合で、
2)使用者の具体的な指示管理が及ばず、労働時間の算定が困難なとき
となります。(労働基準法38条の2第1項)

事業場外で労働した場合であっても、使用者の具体的な指示管理ある場合には、労働時間の算定が可能であり、みなし労働時間制の対象とはなりません。

具体的には、次のような場合には適用されないとされています。(厚生労働省通達 S63.1.1基発第1号)

1)数名のグループで事業場外で業務に従事する場合に、メンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合

2)事業場外で労働する場合、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合

3)事業場(社内)で、訪問先・帰社時刻など当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに労働し、その後事業場にもどる場合

最近問題となるのは携帯電話・スマートフォンなどの取り扱いで、会社が定期的な連絡を義務づけたり、随時指示をしたりし業務の進捗状況を把握できるような場合は、労働時間の算定は可能となるため、この制度の適用はできないと考えられています。

事業場外労働のみなし労働時間制では、労働時間の捉え方がいくつかあります。

1)所定時間を超えて労働することが通常必要となる場合
業務を行うために、所定労働時間を超えて労働することが必要な場合があります。
このような時には業務行うのに通常必要とされる時間を労働したものとみなします。(労働基準法第38条の2第1項ただし書)

業務の繁閑を平均的にみて、業務を行うのに必要な時間が9時間とすれば、みなし労働時間として定める時間は9時間とします。

2)労働時間が法定労働時間を超える場合
みなし労働時間制を利用することで労働時間が法定労働時間を超える場合には、超えた分の労働時間は、時間外勤務として割増賃金を支払う事となります。

上記の、みなし労働時間が9時間のケースでは、1時間分が割増賃金の対象となります。

3)労働時間の一部について事業場外労働をした場合
1日の労働時間の一部を事業場内で労働した日の労働時間は、みなし労働時間制によって算定される事業場外で業務に従事した時間と、別途把握した事業場内での業務に従事した時間とを合わせた時間が1日の労働時間とされます。

たとえば所定労働時間が8時間、事業場外のみなし労働時間を5時間と定めた場合、午前中3時間は社内で事務処理し、午後から6時間外勤をしたとしても社内で勤務した時間を含めて所定労働時間の8時間を労働したこととされます。

対して1日の所定労働時間は8時間、事業場外のみなし労働時間も8時間と定めた場合に、朝から外勤で6時間勤務をし、その後会社へ戻り、社内で事務処理を2時間したとしても、社内での事務処理分は時間外労働となりこの時間外労働ついて割増賃金の支払いが必要になります。休日・深夜労働についても同様です。

この制度を上手に活用すれば「労働時間管理がしやすい」「残業代を抑える」などの効果が得られるでしょう。

しかし一方で、実際の労働時間とあまりにもかけ離れたみなし労働時間を設定することは、労働者に不満を募らせる要因となりますので注意が必要です。

また上記のように事業場外労働と社内勤務が混在する場合には、社内勤務分の労働時間はみなし労働とすることはできず、場合によっては時間外手当の支払いが発生する事となるため、みなし労働時間の設定をどうするかよく検討した上で、休日・深夜勤務を含めた労働時間の把握が求められます。


★就業規則の作成・見直し、労務管理に関する疑問、
社員のやる気が出る人事・賃金制度の仕組み作りなど
ご相談・お問い合わせはお気軽に
↓↓↓
http://www.nari-sr.net/contact/
メール info@nari-sr.net
03-4300-0485(平日10:00~18:00)


マイベストプロ東京 IT業界を元気にするSE出身社労士
なりさわ社会保険労務士事務所の取材記事はこちら!
http://pro.mbp-tokyo.com/nari-sr/

この記事を書いたプロ

社会保険労務士法人スマイング [ホームページ]

社会保険労務士 成澤紀美

東京都渋谷区幡ヶ谷2-14-9 ヤナギヤビル4F [地図]
TEL:03-6300-0485

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
なりさわ社会保険労務士事務所 成澤紀美さん

元システムエンジニアならではの視点で、IT業界の人事労務の問題を解決します(1/3)

 新宿から京王新線で2つめの幡ヶ谷駅から徒歩1分。代表の成澤紀美さんを中心に、ほとんどが女性スタッフで構成される「社会保険労務士法人スマイング」は、とくにIT業界に特化して、人事労務のさまざまな問題に取り組んでいます。実は成澤さん自身が、も...

成澤紀美プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

IT業界の人事・労務トラブル解決、就業規則に強み

事務所名 : 社会保険労務士法人スマイング
住所 : 東京都渋谷区幡ヶ谷2-14-9 ヤナギヤビル4F [地図]
TEL : 03-6300-0485

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-6300-0485

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

成澤紀美(なりさわきみ)

社会保険労務士法人スマイング

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
社労士業務の専任担当者、給与計算実務経験者を募集中です

現在、業務拡大に伴い、社会保険労務士業務である各手続専任担当者と、給与計算業務担当者を募集しています。!...

月に一度、金曜日が半休という制度を導入している企業
イメージ

長時間労働の是正など、企業は多様な働き方ができる環境の整備が求められきており、社員が働きたくなる職場環境の...

[ 人事・労務 ]

不祥事を抑制する、会社の「価値観」の共有
イメージ

大企業を始めたとした企業の不祥事のニュースが絶える事がありません。なぜ、不祥事は繰り返されるのでしょうか...

[ 人事・労務 ]

働き方は量より質へ
イメージ

長時間労働、過重労働が問題になる中、在宅勤務を活用し、場所に捉われない働き方=モバイルワークを、企業が積極...

[ 人事・労務 ]

大学の就職内定率は、過去2番目の高水準
イメージ

文部科学、厚生労働両省の調査によると、来春卒業予定の大学生の10月1日時点の就職内定率は、前年同期比4.7ポイン...

[ 人事・労務 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ