コラム

 公開日: 2017-01-05 

地方のアパートローン急増に金融庁が調査。リスクを考慮した不動産経営を

サブリースのリスクを認識しないままアパート経営が急増

節税を目的としたアパート・マンション経営が急増しており、それに伴い、(賃貸住宅用の建築資金を融資する)アパートローンの融資残高も膨れ上がっています。

ハウスメーカーなどから「賃貸住宅を建てれば相続税評価額が下がりお得ですよ。家賃保証を行うので、空室リスクもありません」などと、事業計画を精査しないまま賃貸アパートを建築、安易に賃貸経営に乗り出すオーナー(土地所有者)が続出しているのです。


その結果、サブリースという名の賃貸借契約を業者と結び、初めこそ家賃収入がありますがその後、サブリース会社より度重なる家賃減額の請求を受け、蓋を開けてみると赤字経営。節税どころか、ローンの支払いにも窮する事態になっていることがかねてより問題視されてきました。

特に2015年1月から相続税の基礎控除額が▲40%も縮小したことなどを受け、ここにきて金融機関のアパートローン残高が急に膨れ上がっており、金融庁と日銀が監視を強化し始めたのです。

具体的には、金融庁が地方銀行105行を対象都市、特にアパートローンを伸ばす銀行などを抽出、年明けにも調査を実施し、適宜是正するのです(2016年12月14日付け日経新聞朝刊)。

●地方銀行は収益源として積極融資。賃貸住宅が過剰に建設される結果に
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日銀によると、2016年9月末の国内銀行のアパートローン残高合計(「貸出先別貸出金」における”個人による貸家業”)は約22兆円、前年同月の約21兆円に比べ約1兆円(+4.4%)も伸びています。

これは、貸家に限定すれば住宅着工戸数が12カ月連続で増加していることと符合し、人口が減る中、賃貸アパートの供給が過剰になっている様子がうかがえます。


銀行としては、日銀のマイナス金利政策で収益が伸び悩む中、融資先を血眼になって探しています。

(マイホーム用の)住宅ローンが過当競争の様相を呈し空前の低金利となる中、アパートローンは金利が高く金融機関としても”おいしい”収益源なのです。

不動産投資にはリスクあり。目先の利益(一過性の節税)にとらわれない

節税を目的とした不動産投資は危険です。しかも一時の相続税の出費を節約するために、今後数十年にわたる返済リスクを冒すのです。

アパート建設を持ち掛けられた土地所有者は、サブリースを前提として「リスクはありません」などといかにも安心な事業である印象を受けるようですが、投資には必ずリスクがつきまといます。


サブリースの問題は古くから問題視されており、今年9月には、家賃水準が変動する条件をあらかじめ明確にして、書面・口頭両方でオーナーに説明することが義務付けられました

事実上の減額リスクの周知義務ですが、登録が任意の賃貸住宅管理業者登録制度に賛同する会社のみに適用され、また建築業者の営業に対する規制もない状況でさらなる規制強化が望まれます。

●サブリースの提案などに問題がなかったかに重点を置いた調査
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今回の金融庁の調査では、銀行の貸し倒れリスク調査よりも、融資を受けた土地所有者がきちんとリスクを把握しているか(業者側が適切な提案をしているか)に重きを置いた調査・是正をするようです。

日経新聞などによると、実際の節税効果をオーナーが認識した上でアパート経営に乗り出しているかを検討するようです。


つまり、サブリース契約における家賃減額や、修繕費などの出費があることなどリスクを説明した上で提案しているか、貸出後の事業実態を把握しているかなどを調査するもので、不適切な点があれば、指摘・是正します。

実際にどれほど踏み込んだ調査になるかはわかりませんが、不動産取引の健全化に向けた一歩になることを期待します。

人口減少が加速する地方でローンが過熱。立地の見極め・選別を!

日銀によると、融資全体に占めるアパートローン比率は地方銀行で10%弱、信用金庫では15%超にまで広がりをみせています。

しかも地銀の内、アパートローンを急増させているのが三大都市圏「以外」です。


不動産投資は、入居者を確保できなければ収益があがらないことに加え、その名が示す通り住宅は「不動」な資産です。人口推移や立地は極めて重要な指標の一つです。

しかし、それと逆行するように人口も世帯も減少が進む地方でアパートローンが過熱している実態が浮き彫りになっており、将来の空室利率上昇も懸念されています。

●賃貸アパート・マンション経営は事業計画の精査・検討が第一歩
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不動産投資は、多くの人が暮らしたいと思う場所(立地)に住宅を建てる(または既存住宅を購入する)ことが鉄則であり、土地が空いているからといって建物を建てても投資回収できません。

サブリースも元本保証の預金のようなものでは決してなく、通常の賃貸借契約であり家賃減額もあれば退去(契約解除)もあります。


一方で、二極化時代といわれるように、都市部と地方、都市部の中でもさらに二極化しています。逆に言えば、人が利便性の高い地域に集まる時代になっており、むしろ都心部では土地が足りない状況ともえいます。市町村が「立地適正化計画」で居住地を誘導する動きも出ています

つまり、賃貸経営全体が否定されうるものではなく、適切な立地であるかどうかなど、事前の綿密な調査検討が重要でありそれが堅実な不動産投資の大前提ということです。

不動産投資は経営者という自覚が必要といえます。まずはリスクを真正面から認識し、投資家本位に考えたローン組成を考えましょう!

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