コラム

 公開日: 2016-12-20 

ワンルームマンション1戸につき50万!?豊島区のファミリー呼び込み計画

30㎡未満のワンルームマンションに事実上の”罰金”を課す豊島区

ワンルームマンションの建築を規制する動きはますます強くなっています。

特に、東京都では最低限の専有面積を定めるなど、23区すべてで狭小住宅を規制するなんらかの条例や指導要綱があります。加えて、敷地面積にも最低限度の面積を定めている区も複数あります。


その急先鋒といわれるのが、豊島区が2004年から導入している狭小住戸集合住宅税(通称「ワンルームマンション税」)です。

豊島区は「狭小な住戸を有する集合住宅の建築を抑制し、得られた税を良好な住宅供給の支援に投入することによって、ゆとりある住環境を実現する」としており、要は「広めの部屋を作れ」と号令をかけているのです。

●1戸当たり50万円を建築業者に課税。少なくとも2018年度までは継続
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具体的には、30㎡未満の住戸が9戸以上ある共同住宅(アパート・マンション)を建築した業者に、1戸あたり50万円を課税するものです。

10戸あるワンルームマンションを作れば500万円(=50万円/戸×10戸)の税金が余分にかかるのです。


これは法定外普通税(地方公共団体がその必要性と意思により総務大臣の許可を受けて設けることができる税)であり、豊島区が独自に定めた税です。

建築業者間では「これは税金ではなく、事実上の罰金だ」ともいう声もありますが、豊島区は「負担が重くなるという状況を作り出すことで、1戸あたりの面積が少しでも広い住宅の供給を誘導していきます」と、その姿勢を崩しません。

実際、施行から10年が経過した2014年には、豊島区税制度調査検討会議が「課税対象の狭小住宅はは2004~2012年度に年平均763戸と、1999~2003年度より28.6%減少した。抑制効果が出ており、継続すべき」とする報告書を提出、さらに5年間の制度継続も決まりました。

単身世帯の偏りを打破しファミリー向けの良質な住宅を増やす意図

豊島区内の最近の世帯構成は、全世帯のうち単身世帯が約56%という偏った状況で、区内の住宅で30㎡未満の集合住宅の占める割合は約40%にもなります。いずれも23区で最も高くなっています。

この状況を受け、豊島区は「地域の構成員を限定させ、子育て、教育、福祉、町会活動など、多様な世帯が協力して地域ぐるみで行うべきまちづくりに将来、重大な支障をきたすことが懸念される」としています。


実際、2016年10月26日に総務省が確定させた2015年国勢調査によると、全国的に一人暮らし世帯が増加、平均世帯人数は東京都で1.99人と初めて2人を割り込むほどになっています(全国では2.33人)。

全国的な一人暮らし化が進行しているのですが、特に豊島区に単身世帯が集まることで少子化を引き起こすことなどに危機感を覚えているのです。安定した税収のためにも、定住者となるファミリー世帯を誘致したいのです。

ワンルームマンションは地域社会の融和を乱す迷惑施設?

ワンルームマンションに住む入居者が、ゴミ捨てのルールを守らなかったり騒音を出したり、お互い誰が住んでいるかわからず地域社会を乱す原因であるという批判もあります。

さらに、住民票を移さない人も少なくなく、これらの居住者の税金が居住地域で徴収できておらず、行政インフラの費用負担がなされていないといった主張がなされることもあります。


確かにそのような側面もあるかもしれませんが、だからといって、建築業者に課税してもその問題は解決しません。

行政の仕組みの問題であり、適切な指導や納税制度の見直しで対処する性質のものでしょう。

住宅セーフティネットとしての活用も。規制だけでなく柔軟な活用

お部屋を探す際、ワンルームマンションは何といっても安いことが魅力です。

それが規制されることで、広い面積の賃料の高い部屋を選ぶか、既存の古い物件で我慢するしかないという状況を引き起こし、学生や一人暮らしの高齢者が住み辛くなることが懸念されています。


また、高齢者の単身世帯も多い現在、収入の乏しい高齢者や近年急増している一人親世帯、生活保護対象者などにとって、住宅セーフティネットとして今後ワンルームマンションのニーズは高まっていくでしょう。

確かにワンルームは増えすぎているといえます。一方で、例えば間取りやバリアフリーなど設備面含め簡易な改修でそれらの需要層を吸収可能かどうかといった、より柔軟な検討がなされることを期待したいです。

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