コラム

 公開日: 2016-09-11  最終更新日: 2016-10-05

不動産業界の悪しき風習「囲い込み」を生む「両手取引」の罠

不動産屋を本気にさせろ!オーナーと不動産屋が結ぶ「3つの媒介」」でオーナーと不動産屋の契約方法について3つの媒介契約がある事をご説明しましたが、今回は売買契約(賃貸契約)の際の不動産屋(仲介業者)の二つの取引形態「片手取引」と「両手取引」について見てみましょう。

特に、「両手取引」が生む、悪徳不動産屋の違法行為「囲い込み」については要チェックです。

「両手取引」では、報酬が2倍もらえる!?

まず、不動産取引には「片手取引」と「両手取引」の二つがあり、これらは買主と売主の間に入る仲介業者の数によって決まります。


上の図の通り、「片手取引」とは所有者から売却を依頼された「元付仲介業者」とは別の不動産会社(客付仲介業者)が買主を探してきた場合です。

もう一方の「両手取引」は、所有者から売却を依頼された不動産業者が、自ら買主を見つけてきた場合であり、売主と買主の窓口が同じ不動産会社となります。

不動産会社の取り分となる「仲介手数料」について見てみると、「両手取引」の場合は売主と買主の両方から報酬をもらえ、「片手取引」と比べ2倍の報酬がもらえることになります。つまり、不動産屋から見ると、「両手取引」は”おいしい”取引なのです。

実は違法ではない「両手取引」

両手取引は、「安く買いたい」と願う“買主”と「高く売りたい」と願う“売主”の間に1つの不動産屋しか入らず、(交渉という展開にならないため)どちらか一方の願いしか叶えられず、利益相反の関係にあると言われます。

はたして、こんなことが起こっていいのでしょうか。


仲介業者を買主(売主)の代理人とした場合の「双方代理」という考え方に基づくこの考え方は民法でも禁じられています。

しかし、不動産屋は「仲介」業者であって「代理人」ではないというのが実際のところです。買主と売主の間に立って中立な立場で契約を締結させるという点においては、片手も両手も同じ立場であり、「双方代理」にはならないのです。

つまり、「両手取引」自体は違法ではないのです。

両手取引を全面否定してはいけない

これまでの説明から「両手取引=ダメ」というイメージがついてしまいがちですが、実は両手取引そのものが悪いわけではありません。

例えば、売却を依頼された元付仲介業者が買主を見つけるため他の客付仲介業者へ依頼したものの、依頼した客付仲介業者はなかなか買主を見つけられず、結局は自社で買主を見つけてしまった。なんて場合はどうでしょう。

この場合、元付仲介業者が売主の依頼に対して健全に仕事をした結果であり、「両手取引とならざるを得なかった」と言うべきでしょう。


もちろん、わざわざ他の不動産業者を客付仲介業者としてつける事も選択肢の一つとして考えられますが、業務が複雑となり、取引が遅くなるデメリットを隠せません。

さらに言うと、客付仲介業者が行う業務と元付仲介業者が行う業務の両方を1社で請け負っているわけですから、“報酬が2倍”という点においても合理的と言えば合理的なのです。

問題は自社利益にこだわる「囲い込み」

そうは言っても、買主・売主の立場から見ると、それぞれに仲介業者がつき、互いの要求に対して折り合いをつけていく「片手取引」が健全であり、どっちつかずの「両手取引」は避けたいものです。

不動産屋から見ると“報酬が2倍”というメリットに惹かれ、自社で買い手を見つけるために、自社で抱える顧客との取引にこだわる動機となってしまいます。

これにより、広く買い手を募集せず、顧客を限定して物件情報を提供してしまうために、堅実な取引が行われない事があります。これが、不動産業界の悪しき風習「囲い込み」です。


「囲い込み」とは、売主から売却を依頼された不動産屋が、自社で買い手をつけることにこだわるあまり、両手取引にこだわりすぎる場合に行われます。

具体的には、REINSに登録しなかったり、「買いたい」という問い合わせに対し「申し込みが入っている」などと嘘をついたりと、片手取引を拒否する行為です。これは、買主にとって取引が制限されるだけでなく、売主にとっても販売機会が大幅に失われる事になります。

両手取引(囲い込み)で失敗しないための対策方法

もちろん、健全な不動産取引を行う不動産屋がほとんどであり、悪質な業者はほんの一部であると信じたいものです。しかし、実際に大手不動産屋による「囲い込み」が問題になっており、大々的に報じられているのも隠せない事実としてあるのです。


囲い込みの対策方法としては、おかしいと感じたことや気になったことがあれば、何でも確認してみる事が一番です。例えば、強引な営業を感じた際には「ところで、これは片手取引ですか?」とストレートに聞いてみましょう。

自社が両手取引を行っている事を再認識させると共に、そのような踏み込んだ質問をしてくる買主に対して、担当の営業マンは襟を正して対応するようになるでしょう。

また、売主の場合は、専任媒介ではなく、一般媒介で契約したり、REINSを細かくチェックするのも一つの方法です。

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納得のいく不動産取引のため、何でも相談できるパートナー(不動産屋)を探すと共に、ご自身が身に付けておくべき”不動産の知恵”として、この「囲い込み」は絶対に覚えておきましょう!

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