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 公開日: 2016-08-26  最終更新日: 2016-10-05

投資家は要チェック!将来の収益から価格を算出する「収益還元法」(2/3)

投資家は要チェック!将来の収益から価格を算出する「収益還元法」(1/3)」では、「収益還元法」という価格の求め方について、「直接還元法」と「DCF法」(Discounted Cash Flow Method)の2つがある事を学びました。

今回は「直接還元法」にフォーカスして、より詳しく見ていきましょう。

年間収益は根拠をしっかり検討し、収益の範囲にも注意

直接還元法は、一期間の収益と還元利回りという2つの指標のみで計算するため、計算自体はとても簡単です。ただし、逆に言えば2つの指標のみで決定されるため、数値の設定にはそれだけ深く検討しなければなりません。


まずは収益とはどの範囲を含めるのかという点。本来は、賃料収入をそのまま収益とするのではなく、不動産経営における費用を差し引いたものとします。また、過去の値を使うのではなく、将来の空室率などの予想を基に、適正な賃料を定める必要があります。

もっといえば、敷金などの預り金は収益ではありませんが、その運用益は収益に含まれるため、金利水準など経済状況も加味することがあります。

還元利回りが肝。利回り次第で価格が大違い

還元利回り(投資家が期待する利回り)も、単純に賃料収入だけを収益と計算する場合には表面利回りなどから推測すべきですし、費用も差し引いた純収益とする場合には、その地域の実質利回りなどを調査することが必要です(基本的には純収益が使われます)。


この還元利回りは設定方法によって収益価格がとても大きくかわります。例えば年間収益1,000万円の不動産があったとして、還元利回り4%と5%では、収益価格がそれぞれ「2億円」「2.5億円」と、差額5,000万円も違ってきます。

厳密に検討する場合には、例えば以下の4種類が考えられます(不動産鑑定評価基準(国土交通省)より)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
還元利回りを求める方法を例示すると次のとおりである。

(ア)類似の不動産の取引事例との比較から求める方法
この方法は、対象不動産と類似の不動産の取引事例から求められる利回りをもとに、取引時点及び取引事情並びに地域要因及び個別的要因の違いに応じた補正を行うことにより求めるものである

(イ)借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法
この方法は、対象不動産の取得の際の資金調達上の構成要素(借入金及び自己資金)に係る各還元利回りを各々の構成割合により加重平均して求めるものである。

(ウ)土地と建物に係る還元利回りから求める方法
この方法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合に、その物理的な構成要素(土地及び建物)に係る各還元利回りを各々の価格の構成割合により加重平均して求めるものである。

(エ)割引率との関係から求める方法
この方法は、割引率をもとに対象不動産の純収益の変動率を考慮して求めるものである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

実際の取引事例から逆算する

(ア)については、周辺で実際にあった取引事例を使って逆算するものです。つまり、成約価格=収益価格として、実際の年間収益(を推測したもの)を基に以下のように計算するものです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
還元利回り=1年間の収益÷収益価格
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これに加えて、その他の事情を加味して合理的に補正したものを使いましょうというものです。

資本コストを計算する

(イ)については、資本コストという概念を用いたものです。つまり、不動産の購入には「自己資金+金融機関からの借入金」によって資金を賄いますが、それぞれの期待利回りを算出し、それを加重平均することで還元利回りとするものです。

もう少し違う言い方をしてみましょう。銀行と投資家が「不動産株式会社」という不動産の会社に融資および出資し、不動産株式会社は不動産の賃料収入から、銀行と投資家にそれぞれ利息と配当を出すとします(あくまでイメージです)。


その場合、銀行は不動産株式会社から優先的におカネを返してもらえます(実際には、投資家に貸し付けているため返済が滞った場合には、投資家自ら返してもらえるためです)。投資家は虎の子である自分自身のおカネを投資します。投資家は銀行よりも多くリスクを取っており、期待利回りが銀行より高いのです。

つまり、銀行が期待する期待利回りは貸付金利であり、投資家はそれを上回る配当率を望みます。その加重平均をとって、還元利回りとするのです。

具体例でみてみましょう。仮に評価したい不動産を、自己資金20%+借入金80%で購入するとします。銀行からの借入金利が2%、自己資金が5%とした場合、還元利回りは以下の通り「2.6%」となります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
還元利回り「2.6%」=(5%×20%+2%×80%)÷(20%+80%)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここで、「自己資金の還元利回り」をどのように算出するかその唯一無二の方法はありません。考え方としては、もし自己資金を不動産に投資するのと同程度の金融商品、例えば比較的リスクの少ない株式などに投資した時に期待される利回りを、自己資金の還元利回りに設定することが一つの方法でしょう。

(ウ)(エ)については、複雑となるため詳細を割愛します。

以上みてきた直接還元法、どこまで厳密にするかどうかは個々人の自由ですし、検討項目を増やし時間をかけたからといってそれが優れているというわけではありません。ただ、一つ一つの意味をしっかりと理解することで、数値に惑わされず、評価額が適正か否か自分で判断できるようになりましょう。

次はいよいよ、「DCF法」(前回、よく分からない記号の羅列が沢山出てきましたね~)について、具体例を用いてマスターしていきましょう!

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