コラム

 公開日: 2016-09-22 

良く生きる ~インタラクティブ・アートとしてのカウンセリング~

先日、某都立高校に勤務する友人の日本史の授業を見学する機会が有りました。
2年生の生徒に対して、自由民権運動に関して教えていました。

「自民党や公明党のように政府を支持する立場の政党を何と言うか知っている?」
「与党」
「そう。それじゃ、民進党や共産党のように政府と対立する立場の政党は?」
「野党」
「そうだね。当時は、自由党や立憲改進党のような、現在野党と呼ばれる立場の政党を『民党』と言い、立憲帝政党のような、現在与党と呼ばれる立場の政党は『吏党』と呼ばれたんだ」

「当時、『しゃかいとう』という政党が有ったんだよ、社会党ではなくて『車界党』と書くんだ。普及して来た鉄道馬車を規制するために人力車夫たちが結成したんだ」

友人は生徒たちと軽妙なやり取りをしながら、まるで劇のように授業を進めて行きます。
生徒たちは吸い込まれるように授業に集中しています。
授業中に『その時歴史は動いた』の板垣退助遭難のビデオが劇中劇のように上映されます。

私は授業を聴きながら、まるで自分が自由民権運動当時の日本にいるようなビビッドな感覚を覚えていました。
そして、現代の日本の状況が写し鏡を見るように思い起こされて来ました。

歴史というものはただ過去の出来事を学ぶだけのものではありません。
過去の歴史を振り返ることによって、現代の社会がどのようになりたって来たのか、とか、現在の制度がどのような意味を持っているのかを理解することが出来ます。
また、現代が抱えている問題をどのように解決すれば良いかを歴史に学ぶことも出来ます。

友人の授業は、歴史的叙述を外から見ているだけでなく、その中に入って体験し、感動し、「ああ、そうだったのか」と理解する、体験型のインタラクティブ・アートと言った趣きのあるものでした。

翻って見れば、カウンセリングも体験型のインタラクティブ・アートと言えます。
歴史の場合には、叙述を体験化する方向であるのに対し、カウンセリングの場合には、体験を叙述化する方向である点で流れに違いは有りますが、クライエントとカウンセラーの相互の関わりで創り上げていくインタラクティブな作業です。
いや、歴史も最初は事実の体験が有って、それを叙述するところから始まった訳だし、カウンセリングも叙述した後でまた体験に戻る繰り返しが有るし、マクロ的に見れば両者のプロセスは同じかも知れません。

両者の違いはむしろ、体験を質的にどう捉えるかに在ると思います。
歴史の場合には、体験した事実についてどのような共通認識を持つか、という点が問題になるのに対し、カウンセリングの場合には、体験に伴う感覚を自分の中でどのように意味付けるか、という点が大切になる、のが違いかと思います。

私たちは日常生活を送る上で絶えず様々な体験をしています。
その体験に伴って何らかの感覚を感じ、その体験を意味付けて、自分の中で整理する、という作業を無意識のうちに行っています。
しかし、メンタル・メタボリズムが滞ると、感覚が感じられなくなったり、感覚を感じてもその意味付け・整理が出来ず、モヤモヤした状態になったり、それが高じて身体に症状が現れて来たりします。

メイウッドのカウンセリングでは、クライエントに体験に伴う感覚にていねいに触れてもらいます。
すると、例えば、「空虚」だと感じていたものが、実は逆に「燃え殻がいっぱい詰まった状態」だったことが分ったりします。
「ああ、そうだったのか」という驚きとともに、クライエントは解放感を感じます。

そのようにして、体験の新しい側面が見えると意味付け・整理が出来、また次の体験に伴う感覚が現れて来ます。
そして、その感覚に触れて、意味付けして、を繰り返して行くとメンタル・メタボリズムが復調し、生きることが楽になって来ます。

生きることそのものがアートと言えます。
クライエントとカウンセラーが相互に協力して、良く生きるためにアートを促進するカウンセリングは、正にインタラクティブ・アートそのものと言えるかも知れません。

この記事を書いたプロ

オフィス・メイウッド [ホームページ]

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